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THE 中古楽器屋

ビンテージ・ショップ・レポート Vol.2

THE 中古楽器屋

老若男女が集う間口の広さは、業界随一!
どんな楽器も差別しないその寛容さは、情報の多さと、実績の証

 中古から新品まで、あらゆる楽器を扱う“THE中古楽器屋”は、いつも若い人から年配の方まで足しげく通うビンテージ楽器界の駆け込み寺的存在のお店だ。地上3階まである各フロアには、あらゆるニーズに応えるギター、アンプ、エフェクターなどが目白押し。思わず目が点の貴重な逸品や、口元がニヤつく超お買い得な品々までが所狭しと並べられている……そんな中で、3階アコースティック・弦楽器売り場の小河内さん、1階ギター・エフェクター売り場の田部さんのお二人が気さくにインタビューに応じてくれた。明るい雰囲気の店内では、その間もお客さんが途絶える事はなかった。

  • 3階のアコースティック・弦楽器売場の一角。ショーケース内にはマーティン、手前にはJ-50を中心とするギブソンが並ぶ。

    3階のアコースティック・弦楽器売場の一角。ショーケース内にはマーティン、手前にはJ-50を中心とするギブソンが並ぶ。

  • JJ-45、J-200など、さまざまな年代のギブソン・フラット・トップが揃う。

    J-45、J-200など、さまざまな年代のギブソン・フラット・トップが揃う。

  • 1階のギター・エフェクター売場。入口付近はリーズナブルな価格の中古品、奥にはさまざまなビンテージがずらりと揃っている。

    1階のギター・エフェクター売場。入口付近はリーズナブルな価格の中古品、奥にはさまざまなビンテージがずらりと揃っている。

種類的にも金額的にも「掘り出し物」がうちの目玉なんですよ

──THE 中古楽器屋さんとは、どのようなお店なのかを教えてください。
THE 中古楽器屋 スタッフの小河内誠さん(以下敬称略):ビンテージも扱える総合専門店、とでも言いましょうか。新品から、いわゆる中古、そしてビンテージと呼ばれるものまで幅広く扱っている楽器店です。

──ビンテージ・ギターは、扱われているギター類のうちどのぐらいの割合なんでしょうか?
小河内:半分近くがビンテージだと思いますよ。エレキだけじゃなく、アコースティックのビンテージもうちは強いですよ。まあ、ビンテージとはいえ、扱っている商品が幅広いのもうちの特徴だと思っています。マイナーなメーカーや国産の古いのもありますから。

──幅広いですね。ここに来れば、通常のビンテージ・ショップでは扱わないものにも出会えるってことですね?
小河内:その通りです。最近では60年代の良いモズライトなんかもいくつか入ったりしています。「掘り出し物」がうちの目玉なんですよ。種類もそうですが、金額的にもそうだと思います。

──でも、ビンテージって言えば高いものなんじゃないですか?
小河内:商品を限定している店ではそうかも知れません。何年までの何のメーカーって決めているような。でも、ビンテージってそういうものだけじゃないと思います。うちで扱っているもので言えば、ものすごく高額なプリウォー(戦前の楽器のこと。アコースティックギターなどで、時代的希少性を越える尊崇を込めてそのように呼称される)から、国産の10万を切るようなもの、中にはジャンクのものまであるので、ビンテージとはいえひと括りにはできないと思います。

──ジャンク品のビンテージですか! それは、どんなものなんですか?
小河内:ジャンクと言っても、基本的には『弾けるもの』と思っていただいて大丈夫です。ただ、修理に高額の費用がかかって採算が合わないものについては、現状渡しという事になることもあります。それでも買い取る時にきちんと査定していますし、できる限りの調整はしてありますから、使い物にならないようなものではないです。

──需要があるってことですよね?
小河内:自分で修理やメンテナンスができる人にとっては非常にお買い得ですし、改造用のパーツ取りとか、まあ、欲しい人はそれぞれです。

──幅広いですね。客層もそれだけバラエティに富んでいるという事ですね。
小河内:そうですね。そうやって、楽器も色々な目線で選べるので、お客様も年配の人から学生さんまでまちまちです。日曜日には子連れで来て楽器選びをしているお父さんも珍しくありませんよ。

──それだけのニーズや、多方面の商品に対応するのは大変じゃないですか?
小河内:うちは長くやっていますから、それだけ扱ってきた商品も膨大です。スタッフも経験を積んでいますし、商品のデータも蓄積されていっています。商品のパーツ・デイトや半田の具合まで、かなり細かくチェックを入れていますから、当然イレギュラーなものはかなり正確に判別できますし、そういう積み重ねが、修理の時のアドバイスなんかにも役に立っています。

──ということは、店で修理をしていただけるんですね?
小河内:それは、ビンテージ・ショップとしての最低条件じゃないでしょうか。うちでは買っていただいた商品には5年間の無料保証がつきます。調整なんかはいつでも引き受けますよ。それに、程度次第では無料ではないですけど、買った商品じゃなくても持ち込んでいただいたものについてはリペアを受け付けています。近くのライブハウスに出る方で、本番前に音が出なくなっちゃったとかで持ってくる人もいますよ。もちろん、買い取ったものなんかの修繕も当然うちでやりますし。

良い悪いではなく、ビンテージと現行品は「違う」ということを理解するのが大切だと思います

──買い取りの方も幅広く?
小河内:それもうちの大きな特徴の一つです。買い取りはビンテージに限らず、現行品だろうが、それこそジャンク品だろうが承ります。もちろん査定はいたしますが、管楽器でも、ドラムでも、基本的に何だって受け付けていますよ。でも、そこが普通のビンテージ・ショップよりも強みなんじゃないでしょうか。

──確かに、広く楽器を買い取っていただけるというのは、客の立場から言えばとてもありがたい話です。
小河内:買い取りというのは、お客様と店の両方にメリットがあると思いますよ。ビンテージ楽器に限らず高いものはありますからね。買い替えができるのはお客さんの一番のメリットだと思います。逆に、店としては、買い取りというのは仕入れのチャンスでもありますから、珍しい楽器を買い取りで手に入れる事もできたりします。

──でも、そのためには色々な楽器を知っていなければいけませんよね?
小河内:そういう所でも、溜めているデータが役に立っていますよ。また、買い取ることで新しいデータも増えますし、それによって、もっといろいろなパーツなんかについても詳細な情報が得られますし。

──やっぱり、ビンテージを求めるお客さんなんかは、オリジナル・パーツにこだわる人も多いんでしょうね。
小河内:それは、一概には言えないです。特にその傾向が強いのはエレキ・ギターのお客様ですね。もちろんコレクターの方でミント・コンディションを求めておいでの方はジャンル問わずですが。知る限りでは、アコースティックのお客様は、意外にその辺りは寛容ですね。パーツが替わっていてもそれがそのギターの「今の音」なんだと納得されて買っていかれます。ビンテージでも何でも、ちゃんと弾かれる方は、音に惹かれるわけですから。

──ビンテージに限らず、楽器というのは、結局「音」が大切だということでしょうか?
小河内:そうだと思います。昔の方が絶対に良いってこともありませんし。良い悪いじゃなくて、ビンテージと現行品は「違う」ということを理解するのが一番大切な事なんじゃないでしょうか。

  • FENDER ’69 Rosewood Telecaster

    FENDER ’69 Rosewood Telecaster / \3,990,000 最も高価なテレキャスターとして知られる、オリジナルのローズウッド・テレキャスター。これはその希少な初年度モデル。圧巻の存在感とローズウッドのウエイトで、脳天までシビレること間違い無しの名品だ。

    THE中古楽器屋/Fender USA(ビンテージ)を探す

  • GIBSON ’61 Les Paul SG Custom

    GIBSON ’61 Les Paul SG Custom / \1,470,000 レスポール・カスタムの直系モデル、SGカスタム。そのオリジナル初年度の個体がこれだ。1ピース・マホガニーのクリーム・ボディ、そして、スウィング・アウェイ・プル・サイドウェイ・トレモロの主張は圧倒的。

    THE中古楽器屋/Gibson(ビンテージ)を探す

  • GRECO '70s GO-1200

    GRECO '78 GO-1200 / \126,000 センの美しい木目を持つフラット・トップと、印象的なヘッド形状で女子人気の高い、国産ビンテージ・グレコ。前後合わせて24個ものポールピースを持つピックアップを見ても、当時の国産ギターの水準の高さがうかがえる。

    THE中古楽器屋/Greco(ビンテージ)を探す

ビンテージも気軽に見てもらえるのが、うちの良い所だと思います

続いて、1階ギター・エフェクター売り場の田部徹さんにお話を伺った。

──今、こちらのお店では、どんなビンテージ・ギターに人気が集まっていますか?
中古楽器屋 スタッフの田部徹さん(以下敬称略):1Fのエレキ・ギターのコーナーだと、レスポール系が熱いですね。ギブソンは335なんかもコンスタントに入れ替わっています。ナロー・ネックになる前のものがよく選ばれていますかね。フェンダーだと、ジャズマスター系…ジャガーなんかが人気です。ストラトは今ひとつなので、逆に狙い目かも。ミュージックマスターの廉価版は女子高生なんかにも人気です。

──女子高生ですか。そんなに若い人にも、ビンテージは人気があるんですか?
田部:まあ、ビンテージと言っても、10万くらいで買えるものもあるので。今時の女の子は思い切りも良いですし、やっぱりビンテージの中には軽いものも多いので、実用的に使っていると思います。ギブソンのメロディメーカーなんかも、ガールズ・バンドにはオススメですよ。持っていたらカッコいいです。

──確かに、若い子達も入りやすい雰囲気のお店ですよね。
田部:そうですね。ビンテージも気軽に見てもらえるのが、うちの良い所なんじゃないでしょうか。

──若い子でも、試奏させていただけるんですか?
田部:年齢は関係ないですよ。熱意があるなら、話しかけて欲しいですよね。ちゃんとビンテージを理解している人、または、ビンテージ楽器を理解したい、買いたい…って本気で思っている人には、試奏も可能な限りさせてあげたいと思っています。

──アンプなんかで音出しして試せるんですか?
田部:もちろん。ビンテージ・ギターもビンテージのアンプで鳴らしたいと思うのは当然です。うちは2Fにビンテージのアンプもたくさんありますから。大音量で試奏できますよ。

──それはいいですね。やはりギターの音は大音量で試さなくちゃ。
田部:ギターだけじゃなくて、1Fにあるエフェクターも同時に試せますよ。わざわざアンプを持ち込まなくても、この店にあるもので完結できます。3Fのアコギ・コーナーも同じです。お客様の望む環境で試奏していただくのが一番です。もちろん、自前のアンプを持ち込んでいただくのも大歓迎ですよ。

──それを聞いて安心しました。若い子たちも含め、ビンテージってだけで二の足を踏んでいた人たちも、これから楽器を見にこちらのお店に来やすくなったと思いますよ。
田部:それが一番嬉しいですね。ビンテージ市場だって、若い子も含めてアピールしていかないと今後はないですからね。でも、本当にビンテージの楽器は素晴らしいものが多いです。今まで生き残ってきたようなものは、特に。ビンテージって、本当にギターが好きな人にこそ買ってもらいたい、そんな楽器なんですよね。

  • ギターだけでなく、エフェクターなどにも博識な小河内さん。レアなビンテージ楽器の話を、一つ一つ丁寧に解説していただきました。落ち着いた話しぶりが素敵な店員さんです。

    ギターだけでなく、エフェクターなどにも博識な小河内さん。レアなビンテージ楽器の話を、一つ一つ丁寧に解説していただきました。落ち着いた話しぶりが素敵な店員さんです。

  • ギターの事を語る時の、楽しそうな笑顔が印象的だった田部さん。ご自身もTHE 中古楽器屋さんでギターを買われるそうです。お客さん目線の親身なアドバイスが欲しい方は、是非この方に相談しよう。

    ギターの事を語る時の、楽しそうな笑顔が印象的だった田部さん。ご自身もTHE 中古楽器屋さんでギターを買われるそうです。お客さん目線の親身なアドバイスが欲しい方は、是非この方に相談しよう。

取材を終えて

 この居心地よさは何だろう……取材が進むにつれ、そう感じざるを得なかった。店員さんもそうだが、店全体が自然体で、ストレスのない空間を演出してくれている。なるほど、若い人が多く訪れるというのも納得がいく。このお店は、ビンテージ・ショップというものへ定義に対して、実にわかりやすい解釈を与えてくれる。そこは「誰が訪れても良い場所」なのだ、と。ビンテージ楽器に造詣の深い人はもちろん、これからビンテージを知りたいという入門者にも、一度訪れる事をお勧めしたい…そう思わせてくれる楽器屋さんだった。

THE 中古楽器屋[東京都新宿区]

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●住所:〒169-0073 東京都新宿区百人町1-11-23 1F〜3F
●アクセス・地図:JR大久保駅から徒歩10秒(地図を見る)
●TEL:03-5386-4560(1F)、03-5386-4565(3F)
●営業時間:11:00~20:00 ※水曜日のみ(祝日除く)15:00~20:00
●定休日:毎週水曜日
●店舗詳細
1F エレキギター売場 デジマート店(http://www.digimart.net/shop/61/)
3F アコースティック・弦楽器売場 デジマート店(http://www.digimart.net/shop/63/)