ここ数年で新たな進化を遂げたデジタルピアノの魅力を紹介!

デジタルピアノ最新事情

文:高山博

 今やすっかりお馴染みの存在になったデジタルピアノですが、ここ数年で新たな進化を遂げています。ここでは、そういった最近のデジタルピアノの魅力を紹介しましょう。

♫ 演奏者によるタッチの差まで表現

 ほとんどのデジタルピアノでは、実際のグランドピアノを1音1音デジタル録音(サンプリング)して、それを再生することでリアルなサウンドを生み出しています。このときに問題になるのが強弱に応じた変化ですが、現在のデジタルピアノでは、ppからffまで非常に細かなデータを内蔵することで、自然でなめらかな音色変化を実現しています。また、ただ強弱の変化に対応するだけでなく、ほかの弦との共鳴や、ダンパーペダルを踏んだときの弦の響き、さらには、スタッカートで弾いたときとレガートで弾いたときの減衰の違いや、ペダルを踏む深さや速さによるサウンドの変化も再現。打鍵や離鍵のデリケートなニュアンスやペダリングによる音色のコントロールがグランドピアノさながらに行なえ、演奏者の微妙なタッチの差にも反応する弾き応えのある楽器となっています。同時発音数も充分にとられ、ペダルを多用する曲でも音切れがありません。

 

♫ 弾きやすく指に馴染む鍵盤

 ピアノ表現の要とも言える鍵盤ですが、最近のデジタルピアノでは、高級グランドピアノを思わせる象牙/黒檀調の白鍵と黒鍵を備えています。表面に適度な摩擦と柔らかさがあり、滑りにくくしっとりと手に馴染む鍵盤です。こういった触り心地とともに、演奏中の感触もまた大きく進化しています。多くの鍵盤では、鍵盤を押し下げたときに、グランドピアノのアクションが動作するような“カタッ”といった感触(レットオフ)が感じられるようになっています。また、これもグランドピアノ同様に、高音部になるほど軽くなる鍵盤タッチも再現。こういった鍵盤のタッチに関しては、各メーカーがとても力を入れている部分で、この数年で大きく進歩しています。かつてのデジタルピアノとはまったく違うタッチになっていますから、ぜひ一度試奏してみてください。

 

♫ 本格的なスピーカーを搭載

 多くのモデルが、数十ワットのアンプと、高音用/低音用といった複数のスピーカーを備えています。これは、本格的なオーディオセットに匹敵する構成です。さらにスピーカーの位置も工夫されていて、演奏者を包み込むような広がりと、まるでそこに弦があるかのような自然な響きを実現しています。また、クラシックをはじめ多くの曲の演奏データも内蔵していますから、お手本として活用するだけでなく、自動で演奏させてオーディオ機械のように楽しむこともできます。こういった楽曲をインターネット経由でダウンロードできるのも、最近の機種で増えてきている機能です。

 

♫ 自分に合ったピアノにカスタマイズ

 調律が不要なのもデジタルピアノの大きなメリットですが、整音に関してはユーザーが自由に行なえる機種が増えています。調律師がハンマーのフェルトを起毛するように、アタック音の硬さを調節したり、弦やボディの共鳴具合を調節して響きの質を変えたりと、まるでオーダーメイドのように自分好みのピアノに仕立てることが可能。もちろん、重く/軽くといったタッチによる反応も調節できます。

 

♫ 美しいデザイン

 最近のデジタルピアノでは、グランドピアノ同様の黒く光沢のある塗装を採用したり、グランドやアップライトピアノを強く意識したフォルムを持つものが増えていて、その面でも本格的なピアノを弾いている気にさせてくれます。また、デザインだけでなく機能面でも、天蓋を開閉してサウンドを変化させられるようにしたものも出ています。一方で、デジタルピアノならではの自由度を生かして、モダンなインテリアとマッチするすっきりしたデザインや、奥行きを大幅に狭めてコンパクト化を実現した機種も豊富。今までサイズやデザインの問題でピアノの購入を諦めていた人も、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。