グランドピアノと同等の木製鍵盤を備えた本格モデル

KAWAI CA95

試奏レビュー:大崎結真 / 撮影:菊地英二

 “プロが使用するコンサートグランドピアノ”を目指して作られたCA(コンサートアーティスト)シリーズの最上位機種。構造にこだわった新型木製鍵盤や、表現力を格段に進化させた新音源、さらにグランドピアノの踏み込みの重さを徹底的に解析した新開発のペダルを採用し、よりグランドピアノに近い演奏性を実現しています。従来のモデルに搭載されていた響板スピーカーの進化も見逃せません。

■サイズ:横1,465mm×奥行475mm×高さ930mm ■質量:87kg ■外装:プレミアムブラックサテン調(写真)、プレミアムチェリー調 ■価格:357,000円 ■お問い合わせ:河合楽器製作所 お客様相談室 ☎053-457-1311 ■ウェブサイト:http://www.kawai.co.jp

インプレッション by 大崎結真

“CA95は豊かな響きを持った楽器”

大崎:弾き始めてすぐ、“デジタルピアノでこれほど豊かな響きが出るものか”と驚きました。豊かな響きで演奏できるということはピアノを弾くうえで一番の醍醐味なので、嬉しくなりましたね。内蔵音源はカワイのコンサートグランドEXからサンプリングした音だそうですが、EXはきらびやかさと繊細さを併せ持ったすごくいい音なんです。それがこのCA95でもきれいに鳴ってくれる。ニュアンスひとつ取っても、赤と黄色のように原色だけでなく、中間部の淡い色合い、グラデーションまで表現できます。こちらがこうしたいと思う意思がしっかり伝わる素晴らしい楽器ですね。また、試奏ながらチューリング・テストを思い出しました。CA95の音を目隠しして聴かせたら、どれだけの人がデジタルピアノだと気づくのでしょうか。

Profile: 大崎結真
東京藝術大学附属高校卒業後に渡欧し、イタリアのイモラ音楽院、パリ国立高等音楽院大学院、パリ・エコール・ノルマル音楽院で研鑽を積む。これまでに、ロン=ティボー国際音楽コンクール、ジュネーブ国際音楽コンクール、リーズ国際ピアノ・コンクール、ショパン国際ピアノ・コンクールなど数々のコンクールで入賞。その実力は高く評価され、著名オーケストラとの共演も多い。2012年10月には3作目のアルバム『レ・ドビュッシー』をリリースした。

CA95の音とタッチ

表現力が増した新音源

 カワイが誇るフルコンサートグランドピアノEXから88鍵すべての音をサンプリングした音源を内蔵しています。時間とともに変化していく音色や、スタッカートで弾いたときとレガートで弾いたときの音の残り方の違いなど、グランドピアノのさまざまな特長を再現。さらに、ダンパーペダル使用時の豊かで広がりある響きも存分に味わえます。

長さを延ばした新木製鍵盤

 鍵盤そのものの長さを延長し、支点の位置をさらに奥に移動した新木製鍵盤。グランドピアノと同等の支点距離を確保したことで、白鍵の奥を弾いてもタッチが重くならず、より繊細な表現が行なえるようになりました。密度と強度を持った木材を何層にも重ね耐久性に優れたこの鍵盤は、ずっしりとした深みあるタッチで演奏できます。

大崎:私は普段、会場の一番後ろまで響くppを想定してギリギリのところを練習していますが、CA95はその微妙なニュアンスの作り込みが練習できるピアノですね。支点の位置が変わったこの新鍵盤と前のモデルを弾き比べましたが、格段に弾きやすくなっています。押した感じがまったく違いますね。木製ならではの温かみある手触りも気に入りました。

CA95の注目ポイント

調律師レベルで音色を調整

 “コンサートチューナー”と呼ばれる機能では、弾き心地を調整して自分好みのピアノを作ることができます。弦を叩くハンマーフェルトの硬さや倍音の共鳴、ソフトペダルの効き具合など、17の項目において調律師さながらの調整が可能となっています。

大崎:私たちピアニストはいつも別の会場で演奏しなくてはならないので、このCA95でぜひ会場の響きを設定して練習してみたいですね。一流の調律師がいなくても、常にこれで自分好みの最良の状態を作れるというのは理想的!

踏み加減を進化させたペダル

 グランドピアノの踏み込みの重さを徹底的に解析したCA95の新ペダルは、デジタルピアノとして最高レベルのペダル操作感覚を実現しました。ハーフペダルにも対応しているダンパーペダルは、効き始めるポイントを自分好みに調整することも可能です。

大崎:3本すべてのペダルにおいて、こんなに微妙に変化が付けられるのかと思いました。自分の足に残っているいつもの微妙な感覚が生かせて、グランドピアノを弾いているかのような錯覚に陥りました。リアリティがあるペダルです。

胴鳴りを感じる響板スピーカー

 背面の響板全体をスピーカーにするという画期的なシステムを搭載したCA95。響板以外に設置された6つの中高音域スピーカーと組み合わせることで、グランドピアノさながらの豊かで迫力ある胴鳴りを実現し、音に包まれるような感覚で演奏が楽しめます。

大崎:裏がこんなふうにスピーカーになっているのには驚きました。一番の聴き手である演奏者にこれだけダイレクトに響きが返ってくるのはいいですね。グランドピアノのように楽器全体が鳴っている感じがして、弾いていて楽しくなりました。

その他のKAWAIおすすめモデル

 CAシリーズのスタンダードモデルであるCA65は、グランドピアノと同じ支点距離を確保した新型木製鍵盤、新音源システム、新開発のペダルを採用し、よりグランドピアノに近い演奏性を実現しています。CN24は、本格的な音源と鍵盤を搭載しながらも価格を押さえたビギナー向けのモデル。奥行き36.5cmとカワイのデジタルピアノの中で最もコンパクトなES7は、高性能のスピーカーを内蔵し、上位機種に迫るサウンドが楽しめるスタイリッシュなモデルです。

KAWAI CA65

■プレミアムローズウッド調(CA65R/写真)、プレミアムチェリー調(CA65C)■価格:273,000円

 

KAWAI CN24

■プレミアムローズウッド調(CN24R)、プレミアムチェリー調(CN24C/写真)、プレミアムブラックサテン調(CN24B)■価格:120,750円

 

KAWAI ES7

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■アイボリーホワイト(ES7 W/写真)、グロスブラック(ES7 B)■価格:153,300円/スタンド、3本ペダルユニットは別売り