楽器からアンプまでを手掛ける総合メーカーのピーヴィーより、革新的な楽器用アンプVypyr VIP2が発売された。本シリーズはエレキギター/エレキベース/アコースティック・ギターに対応し、それぞれの専用アンプのモデリングを搭載する。これだけでも画期的だが、12弦ギターやシタールといった10種類のインストゥルメント、14種のストンプ・モデリングを内蔵し、DSP処理とアナログ回路を組み合わせることで、マルチ・ユースに対応する楽器用アンプを実現している。ラインナップは出力別の3種類で、VIP1(20W)、VIP2(40W)、VIP3(100W)で、今回はVIP2にエレキベースを接続してテストを行った。
セッティングには各セクション毎の設定が必要なので、順を追って解説しよう。まず楽器(ここではエレキベース)を本機に接続したらInstrument typeを選択する。エレキ・ギターであればelectric1か2を、アコギであればacoustic、エレキベースはbassとなる。続いてインストゥルメント/ストンプ・モデリング・セクションで、使用したい楽器/ストンプ・ボックスを選択するが、楽器モデリングはギターが10種、アコギは2種から選択できる(ベースは無し)。ちなみにツマミはポジション毎に2つのモデリングが割り当てられており、いずれかはLEDの色(赤と緑)で確認できる。ストンプの種類は歪みやコンプ、ワウ、フィルターやフェイザーと基本的なものはすべて網羅するが、本機を純粋にアンプとして使う場合、本機能はスキップしてもかまわない。続いてアンプ・モデリングはエレキが8種類でそれぞれハイ・ゲイン、ミディアム・ゲイン、ロー・ゲインの3タイプを選択でき、アコギとベースは同様に2×3タイプで、ベース用はTraceとPeaveyとなる。前者はソリッドなサウンドで、後者はもう少し中音域がブーミーな印象だ。ベーシックな音色コントロールはプリ/ポスト・ゲインと3バンドEQで行うが、ここのセクションは同時に先述したストンプ・モデリング、ディレイ、リバーブのパラメーターも割り当てられる。
駆け足で解説したが、実際のサウンドを聴くとベース専用モデルではないものの、ワット数(40W)にしては低域も充実している印象だ。当然、ベース用としては個人練習向けだが、充実したモデリングとエフェクトは弄りがいがあるので、家に一台あれば相当に楽しめるアンプである。
フロント・パネルのコントロール部分。一番左のinstrument typeで接続楽器を選択し、その隣のinst/stomp、amplifiersで各モデリングを選択する。