本器は、1953年製のヴィンテージ・テレキャスターをベースに、モダン配線(フロント/センター/リア)、スラントしたサドル、厚過ぎないグリップ等を採用した、扱いやすい仕様を持つリイシュー・モデル。ヴィンテージは高額になり過ぎて実戦では使いづらい。ヴィンテージ所有者の普段使いや、ヴィンテージに近いトーンで使いやすいテレキャスターが欲しい人には最高の1本だ。
まずはクリーンで試奏開始。ループをバックに、適当に弾いてみる。やはりこのモダン配線でセンターを使えるのは非常にありがたい。カッティングで、チキチキしつつ耳に痛くないサウンドが簡単に作れる。フロント、リアも良いトーンだ。
次に、クリーンのまま、オープンのGを中心にした循環コードを弾く。引き締まった低音弦、鈴のように鳴る高音弦、これぞテレキャスターのサウンドだ。良いテレを持つと、Gコードを弾きたくなる。
最後に歪ませてみる。リアの、コツンとしたアタックが本当に心地よい。リアは「ブロードキャスター・ブリッジ・ピックアップ」だそうだ。これ、よいなぁ。コンプ、フェイザー、ショート・ディレイ等との相性がいいことも、間違いない。
弾きやすく、音が良く、見た目も良いテレキャスター。こういうギターを1本持っていると、家に帰るのが楽しくなるはずだ。欲しい。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:アッシュ■ネック:メイプル■指板:メイプル■フレット:21■ピックアップ:ツイステッド・テレ・ネック・ピックアップ、ブロードキャスター・ブリッジ・ピックアップ■コントロール:ボリューム、トーン、3ウェイ・ピックアップ・セレクター■ペグ:ビンテージ■ブリッジ:ビンテージ・スタイル・ブラス・サドル■カラー:バタースコッチ・ブロンド
価格:オープン・プライス(市場実勢価格:370,000円前後)
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。