日本のギター作りのレベルの高さを思い知らされる
Tokai製レス・ポール・タイプ!

Tokai
HLS-125F

[2013/9/19] 文&試奏:井戸沼 尚也/写真:星野 俊

 70年代後半から、レス・ポール・タイプの製造には定評があったTokai。本機は125Fという型番からもわかる通り決して最上級の機種ではないが、高い技術と受け継がれてきたノウハウによって、非常に良質なレス・ポール・タイプとなっている。

 まずは歪ませて、サウンド・チェック。皆が“太めのハムバッカーサウンド”としてイメージする、そのまんまの音だ。バックの音源がラテン調で、ギターがこのサウンドだと、これはもうどうしてもサンタナになってしまう。甘めだがバックに埋もれないフロント、アタッキーなリア、どちらも良い感じ。音がネバネバと糸を引くようで、なんだかエロい。いつまでも弾いていたくなるサウンドと弾き心地だ。クリーン・トーンでも少し弾いてみる。フロントも良いが、リア・ピックアップを選んだ時のカキコキしつつ耳に痛くないアタックが心地よい。

 仕様については、ディープ・ジョイントやネックの仕込み角等、細部にわたってこだわりが満載だ。ただ、プレイヤー視点でいえば仕様以上に、弾きやすくて、音が良くて、ギターとしての“人相”も良く、値段も抑えめ。これのどこに文句があるのか。日本のギター作りのレベルの高さを思い知らされました。

 あまり褒めすぎるのも気が引けるので、もし個人で所有してどこか手を加えるとしたら、フロント・ピックアップをもう少しバイト感のあるタイプに変えたい。それぐらいで十分満足できる良いギターです。ああ、結局褒めてしまった。

Tokai
HLS-125F

[SPECIFICATIONS]
■ボディ:メイプル(トップ)、マホガニー(バック)■ネック:マホガニー■指板:ローズウッド■フレット:22■スケール:628mm■ピックアップ:Mk-2×2■コントロール:ボリューム×2、トーン×2、3ウェイ・トグル・スイッチ■ペグ:クルーソン・タイプ■ブリッジ:LS-VBブリッジ/LS-VTテイルピース■カラー:バイオリン・フィニッシュ(写真)、チェリー・サンバースト■付属品:ギグバッグ
価格:131,250円

[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。