ZOOMの技術力には驚かされることが多いが、また1台、凄いペダルが登場した。本機は、歴史的名機のシミュレーションを含む16種のコーラス、26種のディレイ、29種のリバーブ、15種のモジュレーションを搭載し、最大6種類を自由な接続順で使用できるモンスター・エフェクト。それがこのコンパクト・サイズなのだから驚きだ。
サウンド・チェックは、まず素の音でオープンのEコードを弾いて、そのあとコーラス+ディレイをオン。音の広がり方が凄い。これだけで、本機の基本的な性能がわかる。続いて、テープ・エコーの同時2台がけ。そもそもテープ・エコー自体手に入りにくいが、それを2台かける贅沢が手軽に味わえる(ちなみに、3台同時がけを試したら音がぐちゃぐちゃになりました)。飛び道具系も充実している。“壊れかけたシンセのオートアルペジオ風”のサウンドは、弾いていてとても楽しかった。弾いた音の後に微妙にざらついたノイズが入る“ビニールのレコード盤風”も、地味だが面白い。まだまだあるが、ここでは紹介しきれない。
最後に、水中の深いところから泡が昇ってくるようなサウンドを弾いて、試奏はおしまい。とにかく、ギター弾きに必要な空間系のサウンドがこれ1台でカバーできるのがありがたい。大人気だからなのか、私が行くタイミングが悪いのか、楽器店に行くといつも品切れだ。気になる人は、すぐにチェックするべし。これは良いペダルですよ。
[SPECIFICATIONS]
■エフェクト:86タイプ ■コントロール:パラメーター・ノブ×3、カーソル・キー、フットスイッチ ■入出力端子:インプット×2、アウトプット×2、USB ■電源:DC9Vセンターマイナス・アダプター、単三乾電池×2、USBバスパワー ■外形寸法:77.5(W)×130.3(D)×58.5(H)mm ■重量:350g
価格:12,600円
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。