本機は、1957年製のストラトキャスターをもとに製作された日本限定のモデル。50年代のストラトの2トーン・サンバーストの感じも良く再現されていて、実に渋い。早速、音を出してみた。
まずはクリーン・トーンで弾いてみる。リア・ピックアップで弾いても耳に痛くなく、新品にして枯れた味わいがある。なんとなく、ジミー・ヴォーン(お兄さんです、スティービーの)の音のようだ。で、途中からリアとセンターのハーフ・トーンにすると……うわ、これはまるでクラプトンの『レイラ』の頃の音のようではないか(演奏内容は、すいませんが脇に置いておいて下さい)。本機をツイードのフェンダー・アンプに繋げば、相当そっくりな音が出せるはずだ。『ベルボトム・ブルース』を弾いたらさぞ気持ちよかろう。本機は、ネックのグリップもクラプトンがこだわった1弦側が薄くなるVシェイプを採用しているそうで、クラプトン・ファンには手にしてもらいたいギターだ。
深めに歪ませてみても、フロントの味、リアの味がはっきりと出る。どのピックアップを選んでも大差ないという駄目なギターもまれにあるが、本機は流石という感じ。奇をてらったところは何もないが、オーソドックスな良いギターです。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:アルダー ■ネック:メイプル ■指板:ローズウッド ■フレット:21 ■ピックアップ:Fat 50's NK×3 ■コントロール:ボリューム,トーン×2,5ウェイ・ピックアップ・セレクター ■ペグ:ビンテージ ■ブリッジ:ビンテージ ■カラー:2TS
価格:オープンプライス(市場実勢価格:378,000円前後)
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。