グレッチ・ファンのグレッチ愛は徹底している。見た目の素晴らしさはもちろん、グレッチならではのキレのある音が心を捉えて離さないのだろう。比較的フル・アコースティック・タイプの機種が多いグレッチだが、本機はセンター・ブロックありのセミアコ構造だという。早速、弾いてみた。
まずはクリーン・トーンで。コードを弾いて、ビグスビーのアームを使ってみる。澄み切った高音と、プリプリした中・低音。これぞグレッチだ。本機のフィルタートロン・ピックアップには高域がきれいに出るフェライト・マグネットが使用されているそうで、なるほど、この輝くような高音はその効果かもしれない(個人的には、アルニコとフェライトのスピーカーの音の違いになぞらえて考えると、非常に納得がいきました)。フロントとリアのミックスが素晴らしいが、リア単体のカラカラしたサウンドも素晴らしい。
次に、本機はセンター・ブロックありということで、遠慮なく歪ませてみる。もちろんハウリングの類は一切なしだ。サスティンも良好。ロカビリー以外の幅広いジャンルで使えるギターという印象だ。
本機の名前は、パンサー。ピックガードにはそのイラストが描かれている。グレッチ・ファンの方は、自宅にペンギン、ファルコンと本機を並べて、私設グレッチ動物園を開くと楽しいと思う。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:3プライ・メイプル ■ネック:メイプル ■指板:ローズウッド ■フレット:22 ■ピックアップ:ハイ・センシティブ・フィルター・トロン×2 ■コントロール:ボリューム×3、トーン、3ウェイ・トグル・スイッチ ■ペグ:グローバーSta-Tite ■ブリッジ:アジャスト・マチック with PINNED ローズウッド・ベース&ビグスビーB6Cビブラート・テイルピース with グレッチ・ロゴ ■カラー:ブラック、ホワイト
価格:346,500円
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。