ギブソンのカスタムショップから、ヒストリック・コレクション発売20周年を記念して、'57年のレス・ポール・カスタムの復刻版が発売された。世界限定でわずかに100本という、ごく少数のみの生産だ。黒々としたエボニー指板、分厚い1ピースから削り出したマホガニーのボディなど、非常に贅沢な仕様となっている。
そのサウンドは、レス・ポール・スタンダードに比べると、よりストレートな印象。細かくいうと、良いスタンダ―ドは実際に弾いている音程と別の音程が倍音でかすかに鳴っているような感じだが、それはほとんど感じず、もっとすっきりしている。ミドルは非常に豊かに出ているが、マホガニー・ボディのギターの一般的なイメージ(太く、丸い)より、もっとハイもしっかり出ているところが特徴だ。ピックがあたる“コツッ”としたアタックが心地よい。ストレートなロックには最高だ。本機はネックの握りやフレットの処理が滑らかで、実に弾きやすかったことも付け加えておく。
漆黒のボディにゴールドのパーツ類。“ブラック・ビューティー”と呼ばれているのも納得の美しさだ。見てよし、弾いてよしの極上の1本。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:マホガニー ■ネック:マホガニー ■指板:エボニー ■フレット:22 ■ピックアップ:カスタムバッカー×2 ■コントロール:ボリューム×2、トーン×2、3ウェイ・トグル・スイッチ ■ペグ:オールド・ワッフル・バック ■ブリッジ:ストップ・バー&ABR-1 ■カラー:ブラック
価格:863,100円
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。