国産の質の高いアコースティック・ギターで知られるTearsから、エレクトリックのセミ・アコースティック・タイプが発売された。プロ・ギタリストの意見を参考に作り上げられたという本機は、ラミネイト・メイプルのボディにマホガニー・ネックという王道の組み合わせを、極薄のラッカーで仕上げたもの。Lindy Fralinのピックアップ、CTSのポットにSwitch Craftのジャック/スイッチ、GEやBeldenのビンテージ・ワイヤーなど、その仕様にも全く隙がない。サウンドも期待通りのものだった。
まずはクリーンで、単音プレイ。ピッキングのニュアンスが良く出る枯れたトーンで、ブルージーなラインを気持ちよく弾くことができる。次に、センター・ミックスのポジションでカッティング。シングル・コイルのギターほど鋭くなり過ぎず、適度にチャンキーで心地よい。続いてクランチで、指弾き。はじいた時のアタックの具合、その後のサスティンの粘り具合、歪みの加減等が、タッチ一つでコントロールできる。最後は深めの歪み。この手のセミアコのリア・ピックアップは意外とロックできるが、本機は特に深い歪みとも相性が良いようだ。
ボディの重量、ネックの握りも適正で、弾きやすさも文句なし。エフェクトの乗りもよさそうだが、できれば素に近い形で弾いて欲しいギターだ。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:メイプル(トップ&サイド)、マホガニー(バック) ■ネック:マホガニー ■指板:ローズウッド ■フレット:22 ■スケール:628mm ■ピックアップ:リンディ・フレーリン・ピュアPAF×2 ■コントロール:ボリューム×2、トーン×2、3ウェイ・ピックアップ・セレクター ■ペグ:ゴトー ■ブリッジ:チューン・オー・マティック・タイプ ■付属品:ハードケース
価格:252,000円
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。