本機のボディに使われている木材は、アフリカ産の「アユース」という樹木。バスウッド以上に軽量で、クセのないトーンの木だ。それを70年代タイプのストラトに採用したところが憎い!70年代のストラトには重い個体が多く、“もう少し軽ければ……”と思っている人も少なくないはずだから。本機は、手にすると“おおっ”と声が出るほど軽い。早速、音を出してみた。
音の印象も、ボディと同様に“軽い”。しかしこれは悪い意味ではない。非常に軽やかで、伸びやかで、印象としてはストラトのセミアコ版のようなイメージ。低音の“ゴリッ”としたところが少し削られて、上品な音だ。70年代のストラトとは方向性が違う音だが、どちらも良い音である。動画では、見た目のイメージから「ディープ・パープル」してしまっているが、「リトル・フィート」なんかも最高だろう。コンプをかけて、スライドで弾いたらバッチリはまる。他にも歌モノのバック等で、幅広く活躍しそうなギターだ。
これまではギターのボディ材として使われなかった「アユース」を採用したフェンダー・ジャパンは、流石である。環境保護の意味でも、音楽に新しい血を入れていく意味でも、こうした新しい試みは重要だ。皆さんにも、ぜひ試奏してみて欲しい一台。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:アユース ■ネック:メイプル ■指板:メイプル ■フレット:21 ■スケール:648mm ■ピックアップ:STシングル(ジャパン)×3 ■コントロール:ボリューム、トーン×2、5ウェイ・ピックアップ・セレクター ■ペグ:シャーラーFキー ■ブリッジ:ダイキャスト・ブロックS5Dカレント ■カラー:ナチュラル
価格:94,500円
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。