Riggioは、フェンダー、ギブソンで公認リペアマンとして経験を積み、数多くのビンテージ・ギターに触れてきたというJoe Riggioさんが個人で作っているギター。本機は指板がスラブ・ボードなので、61年前後のストラトをモデルにしているのだろう。当時はなかった5点セレクター・スイッチが付いている。フロントからハーフ・トーンも含めて順にサウンドをチェックしていった。
少しボリュームを落としても音の輪郭がぼやけたりせず、ストラトらしい鈴鳴り感もある。どのポジションも良いが、個人的に特に気にいったのはリア・ピックアップの音。耳に痛くなく、軽やかで、乾いた感じの音が素晴らしい。少し歪ませても良い感じ。ピッキングのニュアンスが出しやすい。アームを使ってもピッチがほとんど狂わないのは、ナットの溝切りなど細かいところまで手を抜かずに作っているからだろうか。
最後に、リフをセンター、リア、フロントの順で弾いてみる。どれも素晴らしいサウンドだが、私はやはりリアの良さが印象に残った。
5点セレクターを採用しつつも、指板のRやフレットはビンテージ・タイプを採用するなど、随所にこだわりが見られる本機。私は以前、61年製のストラトを所有していたが、それと比べると本機の方が音の雑味が少なくて、幅広い音楽で使えそうな印象。ビンテージ・ストラトの音を現代の音楽に使いたい人、良いストラト・タイプが欲しいがありきたりのものでは嫌な人に、おススメ。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:アルダー ■ネック:メイプル ■指板:ローズウッド ■フレット:21 ■スケール:648mm ■ピックアップ:Lollarビンテージ・ブロンド×3 ■コントロール:ボリューム、トーン×2、
5ウェイ・ピックアップ・セレクター ■ペグ:クルーソン・タイプ ■ブリッジ:シンクロナイズド・トレモロ ■カラー:3トーン・サンバースト ■付属品:ハードケース
価格:オープン・プライス(市場実税価格:438,900円前後)
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。