1960年代後半にFender社が非公式で作った幻のギターをハンドメイドで復刻したのが、KAMINARIのSwinger '69。独特な“アローヘッド”や、ボディ・シェイプはそのままに、オリジナルに対して改良も加えられた使える一本だ(ショート・スケールからミディアム・スケールへ、ポリ・フィニッシュからラッカー・フィニッシュへ等)。早速、音を出してみた。
まずはクリーン・トーンでカッティング。ピックアップはフロント、リア、そしてセンターの順で弾く。ストラト系でもテレキャス系でもないサウンドだ。やはり、ムスタングやデュオ・ソニックと出身が近い感じがする。センターの時にはシリーズ配線となっており、動画でもパワーがグッと上がったのがわかるだろう。
そのままクリーンで少しソロを弾いてみた。なんというか、“コロコロとした”サウンドが心地よく、ピッキングに対する反応も非常に良い。デッドストックのコイルをハンドワイアリングしたピックアップのおかげだろうか。少し歪ませてみたが、基本的な印象はクリーンの時と一緒だ。メチャクチャにサスティンが長いギターではないので(それでもムスタング等の仲間では長い方だと思います)、弾いていてそれなりの難しさはある。アームの動きが、とても軽い。
最後は再びクリーンで、コードを弾く。気持ちがいい。このギターはクリーンかクランチ位で弾くのがまっとうな使い方だろう。ノー・エフェクトでの試奏なので試せなかったが、深く歪ませるならファズでミチミチいわせたい。丁寧に作られた、長く使えそうな良いギターだ。このルックスに惚れた人は、買いです。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:アルダー ■ネック:メイプル ■指板:ローズウッド ■フレット:22 ■ピックアップ:KAMINARIオリジナル・フラット・ポールS-top(フロント)、KAMINARIオリジナル・フラット・ポールN-top(リア)■コントロール:ボリューム ■ペグ:ゴトー ■ブリッジ:ダイナミック・トレモロ・ユニット■カラー:デザート・サンド(写真)、ブラック、ホワイト
価格:388,500円
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。