ES-335、特に60年代前半位までのES-335はブルースやロックのギター弾きにとって憧れの1本だ。だから、誰も手放さない。たまに市場に出ても非常に高い値が付いていて、買うことができない。なんとかして欲しい──そうした声をギブソン・メンフィスが聞いたのかどうか、63年型の335を製造から50年の節目にあたる今年、発売してくれた。カッタウェイのホーンの形状まで見直しての復刻だという。
63年製ES-335といえば、エリック・クラプトンがクリームでかなり歪ませて使用していたことが知られている。私もさっそく歪ませて、試奏開始。リア・ピックアップを使って弾いたが、やはり音が図太い!かといって高音域が足りないということもなく、全音域でドンと出てくる感じ。深く歪ませてもブルージーな味わいが残っているのもたまらない。50年代後半製335のリイシューには丸太のような太いグリップのものがあるが、これはいたってノーマルな握り具合。普通に演奏できる。
次にフロント・ピックアップを選んでボリュームを落としてコードを刻み、続いてアンプをクリーンにしてカッティング。最後はまた歪ませて弾いてみた。歪みもクリーンも太く、新品特有の固さも感じなかった。ブロック・インレイ、コントロールのつまみ、チェリーの色味など、見た目も非常に魅力的。ブルージーなロックをやりたい人に、お勧めの1本だ。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:メイプル ■ネック:マホガニー ■指板:ローズウッド ■フレット:22 ■ピックアップ:バーストバッカー1(フロント)、バーストバッカー2(リア)■コントロール:ボリューム×2、トーン×2、3ウェイ・トグル・スイッチ ■ペグ:クルーソン ■ブリッジ:ABRブリッジ&ライト・ウェイト・ストップ・バー ■カラー:シックスティーズ・チェリー(写真)、ヒストリック・バースト
価格:485,100円
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。