日本のオーダーメイド・ギター・メイカーの草分けESPから、トラディショナルでありながらオリジナリティのある新製品AMOROUS NT-CTMが発売された。本機は、ホンジュラス・マホガニーのバック材に、フレイム・メイプルのトップ、そしてホンジュラス・マホガニーのネックと高級材を惜しげもなく使っており、その仕様はビンテージ・レス・ポールと共通する部分が多い。しかし、見た目やプレイヤビリティ等の多くの点で独自のエッセンスが加えられており、最終的には全く異なるオリジナルのギターとなっている。早速、弾いてみた。
まず、深めのゲインでリフを弾いてみる。音がぼやけず、タイトにまとまっている印象。ネック・ジョイントやフレットの処理、ボリュームつまみの周りの掘り込み等、高い技術を駆使し細心の注意を払って制作されているようで、そうしたことが音の解像度の高さにつながっているようだ。音の伸び、艶も文句なし。シュレッダー・タイプのプレイヤーが弾けば、このギターのポテンシャルをもっと引き出せるだろう。
トラディショナルなギターの音は好きだが弾きにくいという人、他の人と同じギターは持ちたくないというプレイヤーにお勧め。指板の端から端まで、バリバリ弾いて欲しい。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:メイプル(トップ)、マホガニー(バック) ■ネック:マホガニー ■指板:ローズウッド ■フレット:24 ■スケール:648mm ■ピックアップ:セイモア・ダンカンAPH-1n(フロント)、同SH-4(リア) ■コントロール:ボリューム、トーン、3ウェイ・ピックアップ・セレクター ■ペグ:ゴトーSG301-05 ■ブリッジ:トーン・プロスT3BP&ゴトー510FA ■カラー:ブラック・チェリー、マリン・ブルー、ティー・サンバースト(写真) ■別売り:ハードケース
価格:609,000円
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。