90年代の一時期、スクワイア・ブランドから発売されていたスーパーソニックが、フェンダー・メキシコから発売された。ぱっと見ると、左利き用のギターのような感覚を覚える。ボディの形も変わっているが、ヘッドも通常とは逆向きだ。実際に抱えてプレイヤー目線でヘッドを見ると、正面からの写真で見る以上に“変な感じ”がするが、持ったバランスは決して悪くない。
コントロールも変わっていて、この仕様でつまみは2個なら普通はマスター・ボリューム、マスター・トーンとなりそうだが、本機はフロント・ボリュームとリア・ボリューム。トグル・スイッチもレス・ポール等とは逆で、“上”にするとリア、“下”に倒すとフロントだ。うーん、変わっている。
演奏性は、普通に良い。ミディアム・ジャンボのフレット、Cシェイプのネックなど、これを弾きにくいと感じる人は少ないはずだ。搭載されているシンクロナイズド・トレモロはかなり優秀で、乱暴に演奏してもチューニングの狂いが少ない。サウンドは、“艶やかさ”より、“暴れ具合”を重視しているタイプ。ファズやハイゲイン系のペダルと相性が良さそう。
エフェクト・ボードに飛び道具系のペダルを複数入れているような人に、おススメ。ライブで使えば、きっと目立つ。対バンの人に楽屋で「そのギター、なんですか?」と聞かれそうだ。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:アッシュ ■ネック:メイプル ■指板:ローズ ■フレット:22 ■ピックアップ:アトミック・ハムバッキング×2 ■コントロール:ボリューム×2、3ウェイ・トグル・スイッチ ■ペグ:ビンテージ・スタイル ■ブリッジ:ビンテージ・スタイル・シンクロナイズド・トレモロ ■カラー:アップル・レッド・フレイク、ダーク・ガンメタル・フレイク(写真)、サンファイヤー・オレンジ・フレイク
価格:113,400円
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。