アメリカ・テキサス州のギター工房ビッグテックス・ギターズから、軽めのレリック加工が施されたテレキャスター・タイプが登場した。
このギター、ちょうど弾く時に右手の肘に隠れてしまうのが残念だが、カウガールのステッカーが貼られており、アメリカンな雰囲気むんむんだ。モデル名の63は、確か本家が指板をスラブからラウンドに変更した年。なのに、分厚いラウンド張りの本機に63という名前を付けるおおらかさも、なんだか微笑ましい(もしかしたら過渡期の最終仕様を狙ったのかもしれないが……)。
試奏してみると、サウンドは腰があって、張りもある、これぞテレキャスタ―(タイプ)といったサウンド。かるーくクランチさせてのコード弾きは、たまらない響きだ。リアにしても耳が痛くないのは、ミドル~ローがしっかり出ているからそう感じるのだろう。これは恐らく、搭載されているローラー・ピックアップと、分厚いローズ指板の影響ではないか。
テレキャス・タイプはリズム楽器として非常に優秀だが、実は単音でソロを弾くにもとても良い楽器だ。ピッキングやボリューム・コントロールによく反応し、シンプルなフレーズにも表情を与えてくれる。
このギターは弾いた後に、「ああ、やっぱりテレキャス・タイプは良いな」という満足感がある。ぜひ、ブーツとハットを着用のうえで弾いて欲しい。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:アッシュ ■ネック:メイプル ■指板:ローズウッド ■フレット:21 ■ピックアップ:ローラー・ピックアップ・スペシャルT×2 ■コントロール:ボリューム、トーン、3ウェイ・ピックアップ・セレクター ■ペグ:ゴトー ■ブリッジ:ビンテージ・スタイル ■カラー:ビンテージ・ブロンド、ソニック・ブルー(写真)、シェル・ピンク
価格:オープン・プライス(市場実勢価格:239,400円前後)
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。