先進的なナイロン弦ギターのメーカーとして知られるゴダン。近年は、エレクトリック・ギターの制作にも意欲的で、今回シンプルなフル・アコースティックの新製品を発表した。
ピックアップが1つに、ボリュームとトーンが1つずつ、付いているものはそれだけ。ネックの握りに変なクセもなく、何も考えずにプレイに専念できるのがありがたい。
オーソドックスなジャズ・プレイヤーがターゲットなのだろう。私もなんとなくグラント・グリーンのように弾けないかなと思って演奏してみたところ、演奏の内容はご覧のありさまだが、スイートで、かつ甘すぎない音が実に気持ちが良かった。試奏時は確か、トーンもボリュームも、10から1目盛りか2目盛り下げた程度。両方とももう少し絞れば、より雰囲気が出ただろう。鳴りはまだ新しいギターだと感じさせるものだが、3年程しっかり弾いたらすごく良い音になりそうで、育てる楽しみのあるギターだ。
ブルース系のプレイとの相性も良く、古いツイードのアンプで弾いてみたいと思った。大人の男の部屋には、こんなギターが1本くらいあってしかるべきだと思う。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:カナディアン・ワイルド・チェリー ■ネック:シルバー・リーフ・メイプル ■指板:ローズウッド ■フレット:21 ■スケール:630mm ■ピックアップ:カスタム・ゴダン・ハムバッキング ■コントロール:ボリューム、トーン ■ペグ:クルーソン・タイプ ■ブリッジ:アジャスタブル・タスク・バイ・グラフテック ■カラー:ナチュラル、サンバースト
価格:オープン・プライス(市場実勢価格:152,250円前後)
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。