いわゆる“デカ・ヘッド”でトラスロッドのブレットなし、そして張りメイプルのホワイトのストラトキャスターとくれば、もう絶対にジミ・ヘンドリックスしか思い浮かばない。朝方のウッドストック、爆音でアメリカ国歌を奏でた、アレです。
この試奏では、エフェクターの動画以外は絶対にノー・エフェクトという鉄の掟があるのだが、今回ほどファズが欲しいと思ったことはない。無論ファズがあればあの音になるのかといえばそんな簡単な話ではないが、このギターのミドルの張りや、ローのバリンバリンした感じ、これをマーシャルに繋いでファズをかませば、かなり近づくと思うのだ。
本機は、メイプル・ネックの上にメイプル指板を貼っているわけだが、土台となるネック本体はクオーターソーン(柾目)という贅沢な仕様。そしてピックアップはフェンダーの伝説のピックアップ職人、アビゲイル・イバラが監修したとか。これらの点が、本機のサウンドに貢献しているのだろう。指板のRはきつくなく、フレットも大きめのものが採用されているので、ビンテージのようなチョ―キング時の音詰まりは少ないだろう。
ホワイトの色味が単純な白さではないせいか、ギターになんともいえない存在感がある。ストラト好きなら、ぜひ手に取ってみて欲しい1本だ。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:アルダー ■ネック:メイプル ■指板:メイプル ■フレット:21 ■ピックアップ:69ストラト×3 ■コントロール:ボリューム、トーン×2、5ウェイ・ピックアップ・セレクター ■ペグ:シャーラーF ■ブリッジ:アメリカン・ビンテージ・シンクロナイズド・トレモロ ■カラー:オリンピック・ホワイト
価格:オープン・プライス(市場実勢価格:370,000円前後)
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。