本機は、東京都内のギター・ショップ『ヒストリーク・ギターズ』のオリジナル・アンプ。同店代表の今井康雅氏はビンテージ系の機材に対する造詣が深く、多くの著書や執筆活動でも知られている。ビンテージのプロフェッショナルが作るアンプとはどのようなものか、早速プラグを挿してみた。
結論から言うと、これはツイードアンプのレプリカではない。より広い場面で使える、ビンテージのテイストを持ったモダンな小型アンプだ。
ツイードアンプは素晴らしいトーンを持っているが、時には低音がダブついたり、歪みがマディ過ぎたり、良い音を得るには多少ボリュームを上げる必要があるなど、扱いやすいアンプとはいえない(それでもよいと思わせるトーンを持っているから名機なのだが)。それに対して本機は、トーンはクリアで、より広いレンジと、より深く・濁らない歪みを持っている。
小型・軽量で、アンプを持って電車で移動できそうな位だが、その割に出音が大きい。爆音バンドでなければリハーサルやちょっとしたライブでも使えるだろう。マスターボリュームが付いているので、その音質を自宅で再現できるのも嬉しいポイントだ。
[SPECIFICATIONS]
■出力:20W ■真空管:12AX7×2(プリ部)、6V6GT×2(パワー部)■コントロール:ゲイン、ボリューム ■入出力端子:インプット ■スピーカー:ジェンセンC10R ■外形寸法:370(W)×220(D)×350(H)mm ■重量:8.2kg
価格:194,250円
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。