ギタリスト安達久美とBoorocksのコラボレーションによって生まれたディストーション・ペダルがKumi Distortion AK-1だ。赤いボディに描かれた、白抜きの本人シルエットがシグネイチャー・ペダルであることを主張している。
レベル、トーン、ゲインという基本的なコントロールに、シングルコイル、ハムバッカーどちらでも極上のディストーション・サウンドを生み出すというファット・スイッチが装備されている。取り扱い説明書に記載されている本人のセッティングによれば、シングルコイルを使用時にはファット・スイッチをオンに、ハムバッカーの時にはオフにしているらしい。早速、それにならって弾いてみた。
まずはシングルコイル。ファット・スイッチをオンにしたセッティングだ。なるほど、どうしても細くなりがちなシングルコイルの音に、腰がある。しかし、“ただ太くしてみました”ではなく、ちゃんとシングルコイルのおいしいところ、倍音の出方などはそのまま、いや強調されている位か。フロント・ピックアップで3弦12フレットや14フレットを弾くと、物凄く気持ちの良い音が出る。ピッキングやチョーキングのニュアンスを大事にしたいプレイヤーにはおススメだ。次にハムバッカー。ファット・スイッチ・オフでも十分な太さ、伸び、艶がある。歪みのきめが細かく、ハムバッカーでも大味になり過ぎない。
“シングルの時はこれ”、“ハムの時はこれ”と、お気に入りのペダルを持つプレイヤーは多いだろう。ただしライブで2種類のギターの持ち替えが必要な場合、そのペダルを2台つなぐかどうかは大いに悩むところ。そんな人に、ぜひ試してみて欲しいペダルだ。
[SPECIFICATIONS]
■コントロール:レベル、トーン、ゲイン、ファット・スイッチ ■入出力端子:インプット、アウトプット ■電源:9V電池、9VACアダプター ■外形寸法:110(W)×110(D)×45(H)mm ■重量:393g
価格:オープン・プライス(市場実勢価格:39,800円前後)
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。