ヒューストンの工場で、オール・ハンドメイドで製作されているダイアモンド・アンプ。日本ではまだあまり馴染みがないが、ハード・へヴィ系のサウンドを求めるプレイヤーから注目を集めている。この『Assassin』は名前の通り(暗殺者の意)、黒を基調とした“悪そうな”外観のモデル。サウンドの面でも、期待を裏切らない。
EL84を2本搭載した18Wというスペックだが、その音圧はスペックから想像する以上のもの。クリーン・トーンも出せないことはないが、このアンプの本質は歪みにある。これはディスト―ション・アンプであり(オーバードライブではない)、ロック・アンプだ。ザクザクしたリフや叫ぶようなリードを弾く時に、最も輝く。歪みの質は非常にきめ細かく、上質な印象。荒々しいだけの、弾きにくい音ではない。
操作系統もいたってシンプル。プレゼンス・ベース・ミドル・トレブルといったトーン類の他は、ボリュームとゲイン、あとはゲイン・モード・スイッチ(ダイオードを用いて信号をクリップし、歪みの質を変える)のみ。造りがシンプルなうえにハンドワイヤードなので、音質面だけでなく、耐久性や万が一の時の修理のしやすさという面でも安心だ。
これ(歪み)しかできない、けれどこれは誰にも負けないという潔さが売り。イカツイ男性プレイヤーが弾いたら最高にかっこいいし、最近急増している綺麗で上手い女性プレイヤーがゴリゴリ弾いていたら、それはもうメチャクチャかっこいいのではないだろうか。
[SPECIFICATIONS]
■出力:18W ■チャンネル:3 ■真空管:12AX7×3(プリ部)、EL84×2(パワー部) ■コントロール:ボリューム、ゲイン、ベース、ミドル、トレブル、プレゼンス、ゲイン・モード・スイッチ ■入出力端子:インプット、スピーカー・アウト(8Ω×2、16Ω)■外形寸法:510(W)×200(D)×200(W)mm ■重量:9.9kg
価格:99,750円
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。