エレクトリック・ギターの1つの完成型であるフェンダー・ストラトキャスター。多くのプレイヤーが所有する楽器なだけに、“自分だけのストラトが欲しい”と考える人も少なくないだろう。このギターは、まさに特別な仕様の1本。濃い青系のボディに軽くレリック処理が施され、ぱっと見た感じは60年代中期のヴィンテージ・ストラトのレアカラーものという印象。しかし、ネックに施されたバインディングが、特別なストラトだという印象を強めている。 ネックの握りは肉厚なUシェイプで、結構太いと感じるが、フラットな指板に高めのフレットが採用されており、実際にはとても弾きやすい。
サウンドは、パワーがありながらヴィンテージ感も損なわないトーン。フロントピックアップの太くブルージ―なトーンも非常に心地よかったが、ミックス・ポジションの音はストラトのミックスならではの“鈴鳴り感”が強調され、格別だった。撮影時にはそこまで追い込めなかったが、ピックアップの高さを注意深く調整していけば、自分好みのストラト・トーンが容易に得られるはずだ。
音良し、弾き心地良し、そして見た目も特別な1本。ストラト弾きにはかなり気になる存在だろう。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:アルダー ■ネック:メイプル ■指板:ローズウッド ■フレット:21 ■ピックアップ:ハンドワウンドAbby Red Hot×3 ■コントロール:ボリューム、トーン×2、5ウェイ・セレクター ■ペグ:ビンテージ・スタイル ■ブリッジ:ビンテージ・シンクロナイズド・トレモロ
価格:オープンプライス(市場実勢価格:532,000円前後)
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。