まさにロックのアイコンといえる、ギブソンのフライングV。今回、試奏したのはカスタム・ショップ・メイドの70s Flying V VOSモデルだ。
まず、弾いてみての第一印象は“あらら、弾きづらくない”。恥ずかしながらフライングV初体験であり、プレイヤビリティに関する先入観があったのだが、ボディを脚で挟んで固定してしまえば演奏上何の問題もない。ネックも太からず細からず、フレットもギブソンらしいミディアムのもので、問題ないどころか思った以上に弾きやすい。
肝心の音は、太くて腰がある、多くの人がイメージするギブソンのハムバッカーサウンドそのものだ。歪ませたセッティングとの相性は抜群で、ピッキングに対する喰いつきが良く、巻弦で弾くリフが快感だ。ここで、形に惑わされずにクリーン~クランチを試してみると……やはりギブソンらしいサウンド。ブルージ―なプレイには最高だし、アルペジオを“細くし過ぎたくない”ときにもよさそうだ。
Flying Vファンにはもちろんお勧めだが、ギターを胸の位置で弾くようなおじさんプレイヤーにも、恐れずに試してみることをお勧めしたい。実際に弾いてみて、ロックだからフライングVを弾くのではなく、フライングVを弾くアティテュードこそがロックなのだと感じた。
[SPECIFICATIONS]
■ボディ:マホガニー ■ネック:マホガニー ■指板:ローズウッド ■フレット:22 ■ピックアップ:SUPER74ハムバッカー×2 ■コントロール:ボリューム×2、トーン、3ウェイ・トグル・スイッチ ■ペグ:シャーラー ■ブリッジ:ストップ・バー・テイルピース&ABR-1
価格:550,200円
[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。