1968年、ようやくエフェクターという新しい表現手段が定着し始めた頃、アメリカで創業したエレクトロ・ハーモニックス。第一号機であるブースターLPB-1や、71年リリースの大ヒット・ファズ、ビッグ・マフπなど、いわゆるスタンダードとなった製品も多いが、一方でまさに飛び道具といった、ユニークなエフェクターを積極的に開発するメーカーでもある。
この、一見ワウ・ペダルのようなTalking Pedalも、エレハモ・イズムにあふれた1台だ。まず目を引くのは、この外観ならありそうな駆動部がないこと。オン/オフ・スイッチすらなく、踏み込むことで自動的にオン、足の動きに合わせてあたかも人が喋っているかのような奇妙キテレツな効果を生み出してくれる。かつてはマイクなど大掛かりなセッティングが必要だったトーク・ワウの効果も、手軽に再現可能だ。
野村:すごいな~、コレ。素敵です(笑)。こういうのを待ってました。要はワウ・ペダルっぽい形の、トーキング・モジュレーターみたいなエフェクトなんだけど、僕はこういう発想とか考え方が大好きです。昔“ヨイヨイ”っていうエフェクターがあったんだけどーー“ワウワウ”じゃなくてねーーそれに近いかもしれない。
これはワウ・ペダルとは違って土台の部分がないんだけど、そのデザインの発想もすごいね。オン/オフの切り替えはスイッチじゃなくてセンサーだからつかみづらい、踏む度に本体が逃げて行っちゃう、エフェクト・ボードに組み込みにくいとか難点はあるけど、とにかく面白いですよ。エフェクト自体はすごく繊細で細かいニュアンスも汲んでくれる。本当にオッサンが歌っているみたいですよ。
それから、使う時はワウみたいにリズムとプレイをリンクさせないほうがいいと思う。ひとりポリリズムというか、足はゆっくりで手は普通みたいにずらしたほうがトーキングの感じは出せますね。あと、ファズ具合も調整できるけど、あまり上げないほうが効果はわかりやすいかな。完全に飛び道具というか、用途は限られているけど、すごく欲しいです。