ジャズ・ギターにお薦めのシールド・ケーブル4選
- 2024/12/04
Martin/000-15E、000C12-16E Nylon
好評連載Martin Timesの第43回目は、コスト・パフォーマンスに優れたメキシコ製のマホガニー・トップ・モデル=000-15Eと、試奏者の斎藤誠とも関わりの深いマーティン製ナイロン・ギターの000C12-16E Nylonを紹介!
今回ピックアップしたのは、USA工場の技術を受け継いだメキシコ工場で生産される000-15Eと、今回マイナーチェンジが行なわれたUSA製の000C12-16E Nylonの2モデル。
000-15Eは、ボディ・トップに持続可能なプランテーション・マホガニー、サイド&バックにサペリを採用し、環境に配慮しながらも“オール・マホガニー”の風合いを色濃く残した1本。000C12-16E Nylonは、サテン・フィニッシュなどでのコスト・コントロールによって、クオリティはそのままにマーティンのエレガットの系譜を引き継いでいる。
それぞれの特徴を斎藤誠による試奏&インプレッションとともに見ていこう。
Xブレイシングが施されたボディ・トップにはインドで植林されたマホガニーが使われ、環境への配慮も感じられる新モデルの000-15E。このモデルは、サイド&バックにサペリが使われているためオール・マホガニーではないが、中音域がウォームで高域のきらびやかさもあり、近いニュアンスの音色と弾き心地を楽しめる。
ほどよいグリップが握りやすいネックにはハードウッドが使われ、指板とブリッジにはカタロックスを採用。スケールは、25.4インチ(約645.2mm)だ。指板に入れられたダイアモンド・ポジションマーク、ブラックのペグ・ボタンにはビンテージ・ライクな雰囲気が感じられる。
すべて単板が使われているが、ボディをサテン・フィニッシュで仕上げてコストを抑え、求めやすい価格を実現。さらにライブでも即戦力となる、チューナー内蔵のピックアップ・システム“E1”も搭載し、個性的なルックスに加え、高いコストパフォーマンも魅力のモデルだ。
【Specifications】
●トップ:インディアン・プランテーション・マホガニー ●バック:サペリ ●サイド:サペリ ●ネック:セレクト・ハードウッド ●指板:カタロックス ●ブリッジ:カタロックス ●スケール:24.9インチ(632.4mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm) ●ピックアップ:マーティンE1 ●価格:¥228,000(税込)
さすがマーティン。1〜6弦までのバランスがいいよね。このままお借りして次のライブで使いたくなりました。それに、ピックアップが付いているからライブで生きる。
今回はカントリー・テイストを入れた曲を演奏してみましたが、オール・マホガニーのようなボディから鳴る音色はぴったり。手の甲でミュートしながらカッティングする演奏を、僕は勝手に“ニール・ヤング弾き”と名付けていますが、そういった男気のあるフレーズも似合います。
あと、指板の角が面取りされていて弾きやすい。僕の今のスタイルには、相性がいいギターですね。
プロ・ミュージシャンの愛用者も多い、マーティンのエレガット。2019年に“000C Nylon”が廃番となったが、翌2020年に“000C12-16E Nylon”としてバージョン・アップして登場。そして2024年、モデル名はそのままに、マイナー・チェンジを伴いリニューアルされた。
今回の変更点は、フィニッシュとピックアップ。グロス・トップからオール・サテン・フィニッシュに変更され、ピックアップはマーティンのE1にアップデート。ボリューム&トーンに加え、フェイズ・コントロールとチューナー機能がプラスされ、ライブでの実用性がさらに高まった。
“000C Nylon”との違いとしては、サイド&バック材にマホガニーを採用し、指板やブリッジもエボニーにグレード・アップされている点が挙げられる。これらにより、奥行き感のあるしっとりした音色が楽しめる。また、色白なトップはスプルースで、ナイロン弦モデルだがファン・ブレイスではなく、ユニーク(Aフレーム)Xブレイシングが採用されている点も特徴だ。
ネックはハードウッドで、スケールは26.44インチ(約671.6mm)を採用。ナット幅は1 7/8インチ(約47.6mm)とスティール弦のモデルよりも幅広だが、ロー・プロファイル・シェイプのため握りやすい。
【Specifications】
●トップ:スプルース ●バック:マホガニー ●サイド:マホガニー ●ネック:セレクト・ハードウッド ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:26.44インチ(671.5mm)●ナット幅:1 7/8インチ(47.6mm) ●ピックアップ:マーティンE1 ●価格:¥396,000(税込)
これは、待っていましたというモデル。長年(2003年〜)愛用しているギター(000C16-SNGTE)と同じナイロン弦で、僕にとってマーティンのエレガット・モデルは名器なんです。今使っているギターも音のバランスが素晴らしく、最初から何も変えずに使えました。
このモデルはサイド&バックがマホガニーになっているためか、落ち着いてしっとりした音の印象です。ナイロン弦を弾くと聞いていたので、“哀愁のナイロン”という曲を作ってきましたが、ぴったりでしたね(笑)。
ガット・ギターは、1本持っていると音楽の幅が広がりますよ。
今回弾いた2本は、ルックスも魅力ですね。ナイロン弦のモデル(000C12-16E Nylon)は、マーティンならではのカッタウェイ・ボディを楽しめますし、もう1本(000-15E)はオール・マホガニーのように見えて個性的。
僕はオール・マホガニーのギターを持っていないので、ステージにこのギターが並んでいたら、ライブを見に来てくれた方が“何あれ?”となって面白みが違うよね。
あと、僕のギターの歴史はガット・ギターから始まっています。1stアルバム『LA-LA-LU』も、ほとんどガット。それに、家で弾くのもガット・ギターが多い。ポロン、ポロンと鳴らすとリラックスできますし、音楽的な思考も広がるんですよ。ナイロン弦を特別だと思っている方も多いですが、エレキやアコギと同じだと思って、試してみてほしいよね。
今回弾いた2本はルックスも含め、歌い手や弾き手のカラーをさらにプッシュできる個性があるギターだと思いました。
価格:¥228,000 (税込)
価格:¥396,000 (税込)
斎藤誠(さいとう・まこと)
1958年東京生まれ。1983年にアルバム『LA-LA-LU』でシンガー・ソング・ライターとしてデビュー。ソロ・アーティストとしての活動はもちろん、サザンオールスターズのサポート・ギターを始め、数多くのトップ・アーティストへの楽曲提供やプロデュース活動、レコーディングも精力的に行なっている。 2018年、MARTIN GUITARのラジオCMでお馴染みのシングル「It’s A Beautiful Day」をリリース。本人名義のライブ活動のほか、マーティン・ギターの良質なアコースティック・サウンドを聴かせることを目的として開催されている“Rebirth Tour”のホスト役を長年に渡って務めており、日本を代表するマーティン・ギタリストとしてもあまりにも有名。また、音楽の楽しい話満載のラジオ番組、FMヨコハマ「MAKOTONE〜It’s a beautiful day〜」を担当中。2022年には13枚目のアルバム『BIG LOVE』をリリース。マーティン・サウンドや卓越したギター・プレイそしてエモーショナルなボーカルを堪能できる最新ライブ情報はこちらから!
斎藤誠 13th ALBUM『BIG LOVE』
『BIG LOVE』情報はこちらから!