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アコースティックエンジニアリングが手がけた“理想の音楽制作を実現する”環境

アコースティックエンジニアリング

“自分の家に、音楽制作に集中できる部屋が欲しい!”……プレイヤーなら、自宅レコーディング、さらには完パケまで行えるDTM環境を持ちたい人は多いはず。そんな夢を実現してくれる建築設計事務所がアコースティックエンジニアリングだ。スタジオやライブ・ハウスなどの防音/音響設計を行う一方、一般住宅の防音室、プライベート・スタジオも多く手がけている。同社はリズム&ドラム・マガジンで“ドラムが叩けるプライベート・スタジオ”も連載しているが、今回は特別編として、ドラムはもちろん、すべての楽器を録音し、音源制作までできてしまう夢のようなプライベート・スタジオを紹介していく!

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千葉県 Sさん邸スタジオ -Studio Bizion-

千葉県で眼科クリニックを営む。楽器歴は「幼稚園の頃に少し嗜みました」というピアノから始まり、ギター、ベース、ドラムとオールマイティに演奏。現在はCWF(Co-Writing Farm)という事務所に籍を置き、ここ数年で世界的に主流となったコライト(複数のクリエイターが集まって作曲するスタイル)に取り組んでいる。

楽器演奏から音楽制作まで、やりたいことを全部詰め込みました

 「中学1年生の頃、B'zの松本孝弘さんに憧れてギターを始めました」というSさんの職業は眼科医。大学病院などの勤務医を経て、今年2月に独立開業を果たした。その医院と、家族と暮らす住居を兼ねた木造3階建ての建物の2階にスタジオがある。中に入ると、一方にドラム・セットとアップライト・ピアノが、反対側にはDAWシステムが並ぶデスクと大型のモニター・ディスプレイ、モニター・スピーカーが整然と並ぶ。壁のハンガーに掛けられたギターも存在感を放ち、まさに“ミュージシャンの部屋”という雰囲気だ。

▲約13畳の広さを持つSさんのスタジオ。ドアを入って左側にはドラムとピアノが置かれ、奥にはCDや映像ソフト、スコア本などが収められた造り付けの棚がある。天井は吸音板で仕上げるのではなく、厚手の吸音パネルと木を組み合わせた作りに。中央にあるのは、動画を観ながらドラムを叩けるようにスタンド設置されたモニター・ディスプレイ。ピアノの手前は、JBLのミキサー内蔵PAスピーカーEON ONE MK2。

 それもそのはず、Sさんはミュージシャンとしての顔も持っている。大学時代に作曲を始め、「自分でなんでも演奏できたほうがいいと思って」ベースやキーボード、ドラムもプレイするようになったSさんは、医師への道をまっすぐ進みながら、音楽も趣味の域を超えて「それぞれの時期でやれること、やりたいことを続けてきました」という。「プロの楽曲コンペに参加したりもしています。子どもが生まれたり、開業の準備だったりでここ数年はできていませんが、しばらくしたら、もっとこのスタジオを活用して制作にも励みたいと思っています」

▲こちら側はDAW作業用のデスクを中心としたエリア。机上にある曲面型ワイド・ディスプレイと正面の55インチ大型ディスプレイの2枚体制で快適に作業できる。デスクはアコースティックエンジニアリングが作ったオリジナルで、スタジオの内装の一部として質感も揃えられている。スピーカーはKRKのパワード・モニターV6 SERIES 4を床置きスタンドで設置。天井の吸音パネルはデスクの手前までで、その奥は、換気の消音設備と吸音を兼ねた下がり天井となっている。

 「だから、スタジオを作るなら楽器を演奏するだけでなく、作曲やレコーディング、ミックスまで、自分がやりたいことを全部できる部屋にしたいと思っていました」と話すSさん。「それを叶えてくれたのがアコースティックエンジニアリングさんです。もちろんお名前は以前から知っていましたし、建物の設計/施工をお願いしたハウス・メーカーさんがアコースティックさんとコネクションがあったのと、僕の先輩にアコースティックさんで自宅スタジオを作った人がいたのが決め手になりました」

▲正面から壁にかけて施された多面的かつ左右対称のデザインは、スピーカーからの音を正確にモニターするため。ワイド・ディスプレイを奥に傾けているのも同じ理由だ。正面のディスプレイに映る“Bizion”はスタジオの名前で、大好きなB'zと、眼から連想される“Vision”を掛け合わせたもの。机上にはSさんが敬愛する人たちからもらったサインが置かれているほか、ヤマハの小型アンプTHR30 II Wireless TAK MATSUMOTO、ジム・ダンロップのワウ・ペダルcry baby TM95など、B'z松本孝弘に由来するアイテムも見える。

▲デスクの下部は手前に引き出すことができ、MIDIキーボード(NATIVE INSTRUMENTS KOMPLETE KONTROL A61)の演奏/操作を行えるようになっている。正面のディスプレイは、以前使っていたテレビを有効活用。そのサイズに合わせて設計された両脇の青い吸音パネルが音響的にうまく作用し、間接照明とのマッチングも良いと設計担当者も太鼓判を押す。その吸音パネルを横に走る木の桟が等間隔ではないところも目を引くが、これは見た目の面白味だけでなく、反射音を拡散させるための工夫でもある。

 スタジオを作るにあたってSさんがまず重視したのは、やはり音が外に漏れないこと。スタジオは静かな住宅地にあるのだが、「夜ドラムを叩いても、道を歩いている人が気付かないくらいにしたい」とリクエストしたそうだ。そして完成したスタジオは、Sさんが期待する以上の遮音性能を確保。「この建物の中にこんな部屋があるなんて、ご近所さんはたぶんどなたも気付いていないと思います」

▲スタジオ平面図と遮音性能。屋外に面するところは遮音壁が厚めになっており、D-70等級というかなり高い性能が出ている。DAWデスク側(左)とドラム&ピアノ側(右)で壁の形状と作りが大きく異なるところにも注目。また図面に描かれたイメージのように、実際にこのスタジオでバンド練習もしたことがあるというSさん。「ライヴに向けてのバンド練にも十分な空間でした。自宅でバンド練なんて、いざ経験してみると本当に夢のようだと改めて実感しました。クリエイターとしてもバンドマンとしても理想的な空間になっていると感じます!」。

スタジオを作ることで、建物への愛着が何倍も大きくなる

 スタジオの価値を決めるのは遮音性能だけではない。そこで鳴る音がどれだけ心地よく聴こえるかが、本当の意味でスタジオの生命線となる。しかも、Sさんのスタジオには響き方の違ういろいろな楽器があり、DAWを駆使した楽曲制作の場でもある。それぞれに適したルーム・アコースティックを、豊富なノウハウとアイディアで実現するのがアコースティックエンジニアリングの腕の見せどころ。具体的には、部屋の寸法比率を適切に設計した上で、壁/床/天井の吸音と反射のバランスをエリア別に整えるという、正攻法だが豊富なノウハウとアイディアが求められるアプローチが採られた。

▲DAWデスク側が吸音を多めにしたデッド寄りの音響設計なのに対し、ドラムとピアノのある側は適度にライヴになっている。それに貢献しているのが造りつけの棚で、吸音壁と交互にすることで音を吸いすぎず、なおかつ本やCDを入れると低域が程良く吸われる効果がある。「棚はぜひつけたかったし、ギター・ハンガーもここにぴったりハマりました。パズルのように要望が叶って嬉しかったです」。

 さらに、スタジオは普通1階に作るのがセオリーだが、Sさんのスタジオは2階にあり、音響的に有利となる天井高の確保が一般的には難しい。しかし、建物全体を担当したハウス・メーカーと初期段階からすり合わせを行うことで、なるべく天井を高く設計してもらうことができたそうだ。「同じ階に手術室もあるので、そのためにも2階は天井を高くしてもらいました。スタジオの天井は、設計士さんのアイディアで吸音パネルの間に凹みを設けて照明をつけているんですけど、それも天井を高くしたからできたことです」

▲出入り口は木製防音ドア×2枚で構成。内側はスタジオの内装に合わせたオリジナルで、防音ドアではあまり見かけないデザインの取っ手がついている。奥は既製品だが、機材の出し入れに便利なように横幅を少し広げた特注品。吸音パネルの隙間に照明を挟んだ天井の様子はこの写真でもわかる。

 そんな照明に関するこだわりが随所に見られるのも、このスタジオの特徴の1つだ。天井にはダウン・ライトのほか、ダクト・レールを使った可動式ライトも設置。「僕がここでギターを弾いたり、子どもがピアノの練習をするときに、楽譜をピンポイントで照らせるようにお願いしました」。DAWデスク側のダウン・ライトも灯りの向きを変えることができ、ディスプレイへの映り込みを避けられるようになっている。明るさだけでなく色も変えられる間接照明も、スタジオのムード作りに一役買っている。

▲間接照明の色を変えた様子。昼間でもここまで印象が変わる。「同じライティングになる瞬間は二度とないというくらい、いろんな顔を持っている照明なので楽しいです」。

▲三重ガラス構造の採光窓。部屋の広さに比べるとそれほど大きくはないが、それでも外の光を取り込むには十分で、スタジオを明るい雰囲気にしてくれる。「自然の光が入ってくると、長く部屋にいても気持ちが塞ぎ込むことがなく、とても気に入っています」。

▲良い音は良い電源から生まれる……ということで、一般のコンセント(右)に加えて、ノイズカット・トランスを経由した機材用コンセント(左)も用意。

 「子どもの頃からの夢が詰まったスタジオです」と、Sさんは何度も喜びを口にした。「お値段の面でも、アコースティックさんは本当に頑張ってくださいました。もちろん、それでも決して安い買い物ではありませんが、スタジオを作ることで建物に対する愛着が何倍にもなると思うんです。さらに僕の場合は、子どもに託す将来へのビジョンも、このスタジオに投影されています。アコースティックさんと打ち合わせをしていた頃はまだ言葉も話せなかった子どもが、今ではここで僕と一緒に音楽を奏でてくれていて……幸せですね。スタジオを作ることに反対するどころか、むしろ子供の頃からの夢を応援してくれた妻や親には本当に感謝しています」

▲パールのドラム・セットにジルジャンのシンバルという組み合わせは、B'zのサポートを長く務めてきたシェーン・ガラスに倣ったセレクト。スタジオ作りに合わせて購入したもので、選ぶ際は自身もドラマーであるアコースティックエンジニアリングの設計担当者が相談に乗ってくれたそうだ。

アコースティックエンジニアリングとは?

 株式会社アコースティックエンジニアリングは、音楽家・音楽制作者のための防音・音響設計コンサルティングおよび防音工事を行う建築設計事務所。1978年に創業して以来、一貫して「For Your Better Music Life」という理念のもと、音楽家および音楽を愛する人達へより良い音響空間を共に創り続け、携わった物件の数は2,000件を超えている。現在も時代の要請に答えながら、コスト・パフォーマンスとデザイン性に優れ、「遮音性能」、「室内音響」、「空調設備」、「電源環境」、「居住性」というスタジオの性能を兼ね備えた、新しいスタイルのスタジオを提案し続けている。

株式会社アコースティックエンジニアリング

【問い合わせ】
TEL:03-3239-1871
Mail:info@acoustic-eng.co.jp
住所:東京都千代田区九段北2-3-6九段北二丁目ビル

HP:http://www.acoustic-eng.co.jp

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