クワイアン探訪
- 2024/11/15
Kelii
ハワイのウクレレ・ブランドとしては、早くから日本で認知されてきたケリィ。無駄な装飾は排除し、あくまでもシンプルにウクレレの演奏性とサウンドを追求。さらに高品質ながらもリーズナブルな点が人気だ。このブランドの創始者、ケリィ氏がウクレレピクニック2024に来日。会場のブースにケリィのウクレレがたくさん並んでいたのも記憶に新しく、これを気にケリィ・ブランドについてもっと知りたい!と思った人も多いはず。そこでここではレギュラー・シリーズを中心にケリィ・ウクレレの魅力をご紹介しよう。
1990年代からハワイ・オアフ島で製作されているウクレレ・ブランドKelii(ケリィ)。シンプルなデザインと明るく鳴りの良いサウンドが特徴だ。国内ではつじあやのが愛用しているウクレレのブランドとして知られている。初期のヘッド・ロゴはイラスト・ロゴのみで、ブリッジは四角いスクエア・タイプだったが、その後、ボディ・エンド側に突き出しを持つ現在のブリッジ形状となり、ヘッドには大きな“Kelii”のブランド・ロゴを追加。パーフェロー指板の時期を経て、現在の仕様に至っている。
現在日本で手に入れることができるレギュラー・モデルとしては、コア単板ボディのゴールド・シリーズと、マホガニー単板ボディのブロンズ・シリーズの二本柱となっているようだ。それぞれソプラノ、ソプラノ・ロング・ネック、コンサート、テナーの4サイズが用意されている。さらに上位機種として、100年以上前に伐採され、ホテルの日陰棚として活用されていた貴重なハワイアン・コア材を用いたビンテージ・シリーズと、厳選したカーリー・コア材を使用したプレミアム・シリーズがラインナップ。以前のモデルはフリクション・ペグだったが、現行モデルではすべて操作性と安定性の高いプラネタリー・チューナー、ゴトーUPTが取り付けられている。
今回試奏したモデルは、現行のゴールド・シリーズとブロンズ・シリーズのそれぞれソプラノとコンサート・モデル。計4本を弾き比べてみた印象としては、弾きやすく扱いやすいウクレレ。適度な音量でコントロールしやすく、音楽ジャンルや演奏スタイルに左右されないオールマイティなモデルというイメージだ。ネックもスリムでフィンガリングしやすい。ボディ材やサイズによって、若干音量や音色が異なっており、コアを使用したゴールド・シリーズならきらびやかで明るい音、マホガニー・ボディのブロンズ・シリーズなら甘く落ち着いた音がする。ソプラノは歯切れの良い音で、コンサートはふくよかで大きな鳴りといった具合だ。一般的な傾向どおりだが、それぞれの差異はそれほど大きくはなく、しっかりと統一された音色の範囲内の中で、細かくバリエーションを設けているという印象。その意味でも精度の高さとばらつきの少なさを感じた。
手にとりやすい価格帯で、なおかつ安定した作りのウクレレを求めているような初心者や、ライブや部屋弾き用に扱いやすいモデルが1本ほしいという人にオススメしたいブランドだ。
ボディにコアを使用したゴールド・シリーズ。コア・ボディらしい明るく鳴りの良いサウンド・キャラクターが持ち味だ。適度な音量感なので、幅広いレパートリーに対応する扱いやすさも備えている。指板、ナット、サドルにもコアを採用。ペグは操作性と安定性の高いゴトーのUPTを搭載している。ブロンズ・シリーズと見た目が似ているが、ボディ内のラベルとヘッド・ロゴがゴールドなので見分けがつく。軽快なストローク・サウンドを求める人ならソプラノ、そのうえでより大きなサウンドが欲しい人はコンサート・モデルがオススメだ。
こちらはボディにマホガニーを使用したブロンズ・シリーズ。ゴールド・シリーズのサウンド・キャラクターはそのままに、ややトーンを絞ったようなマイルドな音がする。こちらの指板、ナット、サドルにはマホガニーを採用。ボディ内のラベルとヘッド・ロゴのブロンズがマッチング・カラーとなっている。ポロンと優しく奏でたい人はソプラノ・サイズ、長いサステインを必要とする曲や、甘い音色でソロ・ウクレレを楽しみたい人はコンサート・サイズがオススメだ。ゴールド・シリーズとともに、出荷時にはサバレス弦が張られている。
もともとは父親が経営していた店で売るためのウクレレを作ったのが製作をはじめたきっかけ。でもいつの間にかウクレレ製作の方に軸足を置くようになって約30年、今はひと月に約30本を作るようになっています。コアはハワイ島の材を仕入れて、製材するところから手がけています。ケリィは老舗のブランドのいいところを研究して生まれたシンプルなウクレレだけど、いつもベストを尽くして作っているのでぜひ手にとってみて下さい!
価格:¥121,000 (税込)
価格:¥93,500 (税込)