真空管アンプのレスポンスが得られるペダルとして好評を博したVOXのValvenergyシリーズに、新たに4種類のモデルが加わった。
“自分が所有する機材に真空管のニュアンスを加えるエフェクター” をテーマに、すべてのモデルに次世代真空管Nutubeを搭載し、ブースター「Power Burst」、真空管式コンプレッサー「Smooth Impact」、オーバードライブ「Fuel Injector」、グラフィック・イコライザー「Tone Sculptor」というギタリスト必携のエフェクトを網羅。前後に組み合わせたギターやエフェクター、そしてアンプの持ち味を活かすエフェクターで、シンプルで飽きの来ない、自然でいつまでも弾いていたくなるようなペダルに仕上がっている。“～系” とはカテゴライズできないVOXオリジナルのサウンド、そしてNutubeを活用することで他では真似のできない真空管らしい有機的なサウンドを、試行錯誤や調整を繰り返してボイシング。
エフェクト・オン／オフ時のバッファー回路にもこだわっている。Nutubeの良さを生かすためには、ギターからの最初の入口となる初段に良質なバッファーが必要ということで、今回新たに専用のバッファー回路を開発。エフェクト・オフ時には、バッファード・バイパスでありながら3mのシールドをアンプに直接プラグインした時のような、自然なレスポンスと軽やかな弾き心地を実現している。また、エフェクト・オン時においてもバッファーの特性は生かされており、Nutubeならではのコンプレッションと合わせて、軽やかで弾きやすく、ニュアンスを生かした演奏が楽しめる。
さらに今回の筐体は、それぞれのエフェクターのサウンドをイメージしたデザインのエッチングがトップ・パネルに施されている。ボードに入れた時のビジュアルも、エフェクターを選ぶポイント。有機的なデザインを施したValvenergyシリーズは、ボードの中をクールに彩ることだろう。
POWER BURST（VE-PB）
ナチュラルなコンプ感やサチュレーション感が得られる、1ノブ／3モードのシンプルなブースター。ナチュラルながら、ただ音量を上げるだけではなく、ブースト・ツマミを回していくことによって、“真空管らしい” コンプ感やサチュレーション感が得られる。ギター・ソロでグッと前に押し出したい時にもちろん、他の機材のサウンド・キャラクターは変えないままパワー感を加えたり、サウンドに硬さを感じる場合にも力を発揮。“粘り” のあるサウンドをもたらすため、チョーキング・ビブラートなど、ブルースから長きに渡って受け継がれているギターならではのテクニックをうまく表現できる。また、ブーストを目一杯上げてアンプをドライブさせれば、王道のロック・サウンドとなる。
なお、ミニ・スイッチで選択する3種類のモードは、「トレブル」が高域を強調したモードで、高域を押し出したい場合に適している。「ナチュラル」は自然なチューブ・サウンドで、基準となるモード。「ミドル」は中音域を強調したモードで、分厚いサウンドを出したい場合やソロに適している。
POWER BURST（VE-PB）
POWER BURST（VE-PB）
SMOOTH IMPACT（VE-SI）
Nutubeの電源電圧の変動によって発生するゲイン変化を利用した、真の真空管式コンプレッサー。ペダル・タイプでは初となる真空管式コンプレッサーで、他の方式のコンプレッサーとは違ったナチュラルな弾き心地が魅力となっている。従来のVCAやオプティカル方式、FET方式ではなく、非線形な領域を生かした、クリッピングとも異なる真空管由来の倍音が特徴。コンプ感を強調したカッティングはもちろん、コンプのニュアンスを感じさせない設定でも軽いタッチでしっかりと音を出すことができるため、コンプレッサーが苦手なプレイヤーや現代風のクリーン・トーンのバッキング、タッピングなどにも大きな効果がある。また、ソリッド・アンプやデジタル機器に接続することで、真空管のニュアンスを加えるという使い方もおすすめ。
ミニ・スイッチでキャラクターをチョイスすることが可能となっており、「VTG（ビンテージ）」モードはアタックを強調した、サステインも長めなクラシックなサウンドで、カッティング奏法に効果的。「NAT（ナチュラル）」モードは、その名の通り自然なニュアンスが得られる。一方、引っ込みがちな高音弦のニュアンスが前に出てくるため、モダン系のバッキングやタッピング奏法をする際などにも最適。「SAG（サギング）」モードは、ビンテージの真空管アンプを大音量で鳴らした時に発生するサグを再現。真空管アンプと同様の自然なコンプレッションと歪みが得られるため、トランジスター・アンプやデジタル・モデラーなどの機材と組み合わせて、真空管アンプらしさを出したい場合に最適。
シチュエーションや好みに合わせて上記の3つのモードから選び、チューブ・ゲインとコンプで調整、最後にアウトプットで音量を合わせることで、簡単な音作りを実現している。
SMOOTH IMPACT（VE-SI）
SMOOTH IMPACT（VE-SI）
FUEL INJECTOR（VE-FI）
クセがなく倍音が豊かで、自然なコンプレッション感やバイト感のあるオーバードライブ。アンプ・メーカーであるVOXが考えるオーバードライブ・ペダルとして、エフェクターらしい歪みではなく、アンプらしい歪みが特徴のエフェクターとなっている。VOXオリジナルの歪みペダルを出すため、この世にありそうでないオーバードライブを目指してボイシングを入念に行ったとのこと。また、プリアンプ的に色付けするエフェクターとは異なり、自然な特性のままNutubeで歪ませることにより、接続先のアンプをより歪ませたような音色が得られる。TS系をはじめとした多くのドライブ・ペダルと比較しても圧倒的に倍音成分があり、真空管アンプのようなコンプ感が大きな特徴。真空管アンプと同じようにNutubeを多段で歪ませることで生まれる倍音と、真空管ならではのバイアス変動が作り出す粘りのある音色が、アンプらしい音色を生み出す。この特徴により、クリーンな設定のアンプで使用すると、気持ちのいいドライブ・サウンドが得られる。そして、本機はサウンドに “粘り” を付加。チョーキングをした時にもグッと持ち上がるので、弾き手のニュアンスを余すことなく表現。クリーン・アンプに合わせて本機でドライブさせる場合にも、クランチ気味のアンプにブースターとして活用する場合にも威力を発揮することだろう。
FUEL INJECTOR（VE-FI）
FUEL INJECTOR（VE-FI）
TONE SCULPTOR（VE-TS）
ギターの音作りに特化した周波数帯とQ幅を設定できるグラフィック・イコライザー。 プリアンプ部にNutubeを搭載することで、レベルを上げると真空管特有の倍音とコンプレッションが付加される。周波数帯域は、感覚的な音作りがしやすい100Hz／250Hz／570Hz／800Hz／2.2kHz／5.6kHzに設定。積極的な音作りのために、一般的なグラフィック・イコライザーよりもQ幅を広くすることで、より効果が出やすくなっている。バッキングとソロとの切り替えはもちろん、トータルの調整としても使いやすい。また、プリ部にNutubeを搭載しているため、レベルを上げて歪ませると、とても音楽的な歪みが得られる。細かい調整がしやすいよう、あえてセンター・クリックを設けていないのもポイントだ。各弦がすっきり聴こえるよう、低域を下げ目、高域を上げ目に設定してクリーン・トーンでのアルペジオで活用したり、ミッドをブーストさせてギター・ソロ時に音を抜けやすくしたり、逆にドンシャリに設定して、ヘヴィなバッキングのサウンドを作ることも可能。
TONE SCULPTOR（VE-TS）
TONE SCULPTOR（VE-TS）
