AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
SAKURA UKULELE
国産の和材を積極的に活用してきたディバイザーから、2023年に誕生した新たなウクレレ・ブランドSAKURA UKULELE。すべてのモデルに桜材を採用し、その材の魅力を打ち出していくことをコンセプトに掲げている。ここではその第一弾のソプラノ、第二弾のコンサート、そして完成したばかりの桜モデル10周年記念モデルを、つじあやのに試奏していただいた。
国産の和材を積極的に活用してきたディバイザーと、その生産工場である飛鳥がはじめて桜材を使用したのは2014年のこと。飛鳥の代表、八塚悟氏が偶然、杢の美しい桜材を見つけて仕入れてきたのがきっかけだった。あまり楽器には使われてこなかった材で、一般的な楽器用の材とは異なる特性を持っていることから加工には苦労したものの、試しにウクレレを製作して、“ヘッドウェイ”ブランドで2014年のTOKYOハンドクラフトギターフェスに出展してみると、大きな反響を得ることに。そこで今度はヘッドウェイの本流であるアコースティック・ギターを製作してみたところ、こちらも高く評価され、本格的な桜モデルの開発がスタート。桜ギターは今やヘッドウェイを代表する人気シリーズのひとつとなっている。
一方、桜材を使ったウクレレも依然として作られてはいたが、ヘッドウェイはアコースティック・ギター・ブランドということもあって、スポット的な製作にとどまっていた。そんな中、桜シリーズの原点回帰の意味も含めて、あらためて桜材のウクレレ開発に着手することになる。弦の張力などの関係から、ギターでは見送られていたネックへの使用もウクレレなら問題ないことが判明。さらに桜材に特化したシリーズであることを強く打ち出すため、2023年にまったく新たな桜専門のブランドSAKURA UKULELEを立ち上げることになった。
その第一弾として登場したのがソプラノ・サイズで、パープル、ブロンド、夜桜カラーの3色がラインナップ。ボディには単板の国産の山桜、ネックにも国産山桜が使われ、ネックは3ピースとすることで強度が高められた。木目がうっすらと透ける上品なサテンマットで仕上げられ、パープルハートの指板やピックガード、桜の花びらをモチーフにしたデザインは既発モデルの仕様を踏襲しながら、山型ヘッドと“さくら”のひらがなをアレンジしたロゴマークが新たなブランドの顔となっている。
▲“さくら”をアレンジしたロゴマーク(写真左)。そして指板を彩るポジションマークは桜の花びらがモチーフ(写真中央)。10周年記念モデルはポジションマークをはじめ全体的に花びらが舞うようなデザインでディバイザーのアコースティック・ギターにも用いられているインレイ“さくらチェーン”を採用(写真右)。
今回試奏したのはその第一弾のソプラノ(#1)と第二弾のコンサート(#2)、そして完成したばかりの桜モデル10周年記念モデル(#3)の3本。10周年記念モデルはこれまでの仕様とは異なり、ペグはアジャスタブル・タイプを採用。光沢のあるグロス仕上げになっているほか、ボディ正面に対して、斜めに色が変わっていくグラデーション・カラーがポイントとなっている。
▲ペグはゴトー製で、10周年記念モデルは軸の高さを調整できる話題のUK700(写真左)。ブリッジや指板、ピックガードにはパープルハートを用いている(写真中央)。SUS2-SAKURA GRDのヘッド裏には桜材活用から10周年を記念するアニバーサリー・ロゴが(写真右)。
桜材はやや硬質な材だが、独特の粘りもあることで、適度な音のハリの中にもほのかな奥行きと深みが感じられるのが特徴。つじあやのは“桜のイメージもあるのか、日本の風土に合った柔らかな音という気がしますね”とコメントしていた。そのたおやかな音色をぜひ一度味わってみてほしい。
Tsuji's Comment 優しくてまろやかで、深みのある音色がしますね。しっとりとした音ではあるんですけど、暗すぎないというか、ポップな曲やバラードにもいいと思います。可愛らしいデザインなので、女性にも愛されるでしょうし、男性が家でゆったりとくつろぎながら、ポロンと弾くのにも合いそう。マット塗装の手触りが柔らかで、手の馴染みもいいです。ネックも分厚くなくて、弦も押さえやすいですね。
【Specifications】◾️ボディ:オール・サクラ単板 ◾️ネック:サクラ ◾️指板:パープルハート ◾️ブリッジ:パープルハート
Tsuji's Comment ソプラノから持ち替えてみると、サイズがひとまわり大きな分、さらに音に深みが感じられますね。ベースの音もしっかりとしていて、より落ち着いた音という印象です。音に安定感もあるので、すべての弦をバーンとストロークで鳴らしたくなりますね。これだけ存在感のある音なら、いろんな楽器と一緒に演奏しても音が埋もれないでしょうし、アンサンブルの支えになってくれそうです。
【Specifications】◾️ボディ:オール・サクラ単板 ◾️ネック:サクラ ◾️指板:パープルハート ◾️ブリッジ:パープルハート
Tsuji's Comment 通常モデルとは塗装が違うからか、音の深みは残しながらも、ややカラッとした感じがありますね。それはソプラノもコンサートも同じです。10周年記念モデルということで、特別な1本を手にしているという気持ちも高まりますし、手にピタッとくるこの塗装だとか、絵柄にしても通常モデルとは異なるので、そうした違いも楽しめますね。グラデーションの色合いもきれいです。
【Specifications】◾️ボディ:オール・サクラ単板 ◾️ネック:サクラ ◾️指板:パープルハート ◾️ブリッジ:パープルハート
《ウクレレ・マガジンVol.31 SUMMER 2024連動》
本記事は『ウクレレ・マガジンVol.31 SUMMER 2024』連動です。
ぜひ誌面と合わせてお楽しみ下さい。
価格:オープン
価格:オープン
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つじあやの
京都市生まれ。高校時代からミニライブや作詞・作曲活動を開始。1999年に『君への気持ち』でメジャー・デビュー。2002年にはスタジオジブリ映画『猫の恩返し』の主題歌に起用された「風になる」が大ヒット。近年はさまざまなイベント・ライブへの出演のほか、CMソング、映画音楽、ドラマ音楽の制作など、シンガーソングライターの枠にとどまらないマルチ・クリエーターぶりを発揮している。