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- 2024/11/16
Headway/HD-SAKURA’21 SF,S-ESU/ATB
ヘッドウェイの桜モデルが2024年で10周年を迎えた。“和”と“ストーリー”を感じさせるデザインも魅力の1つで、日本の四季をテーマにしたモデルは人気が高い。今回はヘッドウェイが過去に生産した“春”をテーマとした数多くの桜モデルの中から1本にスポットライトを当て、彼らが大切にしてきた“ストーリーのあるギター作り”を紹介しよう。
ほとんどの人が桜と聞いてイメージする季節は春に違いない。ただし、桜に対してどのような思いを抱くか、どんな風景やストーリーを思い浮かべるかは人それぞれだ。
2014年に誕生した春の桜モデルは、さまざまな桜に対するイメージに応えるように、“夜桜”モデルも含め徐々にバリエーションが増え、多彩な春の桜をギターで表現してきた。カラーの違いやグラデーションなどで移り変わる空の色や景色などを表現し、インレイで桜の美しい表情を描き、ギターに春の桜にまつわる物語を宿してきた。また、特定の地域で産出された桜も含めた幅広い桜材を用い、それぞれの特徴を引き出したモデルも製作している。
だからこそ桜モデルは魅力的で、多くのギター・ファンの心を掴んだ。今後もヘッドウェイからは、独創的でストーリー性の高い桜モデルが登場し続けるだろう。
2021年に12本限定で製作された特別な春の桜モデル。ATBでは初となるパープルハートを挟んだヤマザクラの3ピース・バックも特徴で、センターに和傘の女性が月に照らされ夜桜を見上げるデザインがストーリー性を高めている。この3ピースのセンターにインレイなどの装飾を入れる手法も、この頃から桜モデルの定番となっていく。また和傘の女性は、他の季節の桜モデルにも登場する象徴的なデザインのひとつとなった。
トップのホワイト・スプルースには、百瀬恭夫氏が考案した34セミ・フォワード・シフテッド・スキャロップドXブレイシングが施され、リッチでレスポンスが速く、ミドル・レンジの明るいトーンを生む。また2020年頃からATBモデルなどで定番となったサウンドホール・カバーも特徴で、和傘のインレイも精緻で美しい。パープルハートの突板や指板には奥ゆかしい桜と花びらが入れられている。
この年からデザイナーも参加し、さらにデザインも洗練されていった。そういう意味では、桜モデルのターニング・ポイントとなった1本と言えるかもしれない。
本記事は、『アコースティック・ギター・マガジンVol.100』(2024/04/26発売)に掲載された「Sakura Model 10th Anniversary 2014-2024~桜モデルが紡いだ物語」を抜粋/再編集したものです。誌面ではさらに、マスタービルダーの安井雅人氏へのインタビューやアニバーサリー・モデルの紹介コーナーも掲載。
詳細はこちら:https://www.rittor-music.co.jp/magazine/detail/3124112001/