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- 2024/11/16
Martin/CTM 000XAE、CTM D-12E KOA、CTM 000-12E KOA
3年ぶりに復活した連載Martin Timesの第3弾! 通算第40回は、島村楽器とのコラボによるマーティン・メキシコのカスタム・モデルが登場。ブラック・フィニッシュのエコ・モデルCTM 000XAE BLKと、豪奢な木目が際立つコア・ボディのCTM D-12E KOA&CTM 000-12E KOAの3本を用意して、お馴染み斎藤誠さんに弾き比べてもらった。
今回ご紹介するのは、日本全国39都道府県に店舗と音楽教室を展開する島村楽器の特別注文による、3種類のモデルだ。どれも型番にカスタム・モデルの象徴である“CTM”を冠しているが、2機種はロード・シリーズ、1機種はXシリーズという、お求めやすい価格帯のモデルとなっている。
ロード・シリーズの2機種は、ドレッドノート・タイプのCTM D-12E KOAと、コンパクトなトリプル・オー・タイプのCTM 000-12E KOAで、レギュラー・モデルにはない、トップも含めたオール・コアのボディを採用しているのが最大の特徴だ。
そして、Xシリーズの1本はCTM 000XAE BLKで、ハードウェアも含めたオール・ブラック仕上げのルックスが魅力となっている。3機種ともピックアップ・システムを内蔵したエレアコ仕様で、サウンドや使い勝手を犠牲にすることなくコストを抑え、ライブでも即戦力となる楽器に仕上がっている。
ショートスケールの000タイプで、人工素材のHPL(ハイプレッシャー・ラミネート)ボディ、バーチ(樺)の薄板を張り合わせたネック、指板とブリッジはFSC(森林管理協議会)認証のリッチライトという、エコな素材を積極的に使用したモデル。ペグなどのハードウェアも含めたオール・ブラック仕上げで、フィッシュマンのMXピックアップを内蔵。森林保護と取り組む島村楽器のEvergreen Projectの対象商品にもなっている。
【Specifications】
●トップ:HPLジェットブラック ●サイド&バック:HPLジェットブラック ●ネック:ブラック・バーチ・ラミネイト●指板:FSCサーティファイド・リッチライト ●ブリッジ:FSCサーティファイド・リッチライト ●スケール:24.9インチ(632.5mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm) ●ピックアップ:フィッシュマンMX ●価格:¥129,000(税込)
HPLのボディは重めだけれど、安心感がありますね。ネックも合板の強みで、狂いにくいでしょう。僕のリトル・マーティンのネックも、何の問題もありません。それに慣れているせいか、今回のデモ・ソングは3本とも同じですが、このギターが一番弾きやすかった(笑)。強めのストロークでも音がバシャーっと散ってしまわずに、ガッ、ガッ、と止まってくれます。僕の000-17よりも黒くて、ステージではカッコ良く見えるでしょうね。
サイドとバックにコアの合板、トップにコアの単板を使用したロード・シリーズのドレッドノート。オール・コアの色調に合わせて、ペグとストラップピンにはゴールドのものを採用。コアの特徴でもある高密度で豊かな倍音が、ドレッドノートのサウンドに新鮮味を加えている。ネックはモダンな奏法にも対応するパフォーマンス・アーティスト・グリップで、ピックアップはチューナー機能付きのフィッシュマンMX-Tを搭載している。
【Specifications】
●トップ:コア ●サイド&バック:コア・ファイン・ベニア ●ネック:セレクトハートウッド ●指板:カタロックス ●ブリッジ:カタロックス ●スケール:25.4インチ(645.2mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm) ●ピックアップ:フィッシュマンMX-T ●価格:¥320,000(税込)
普通のドレッドノートは、鳴りすぎる低音をコントロールする難しさを感じることがありますが、これはトップもコアのせいか、スプルース・トップの楽器ほど苦労しませんでした。今回のデモ演奏よりワイルドにストロークするスタイルの人でも、音が締まって良いかもしれないですね。後半のスウィングするあたりでは、その特徴がよくわかってもらえるでしょう。レコーディングの際、マイクで録音する時にも扱いやすい音なんじゃないかと思います。
ボディのサイドとバックにコアの合板を使用した000は、ロード・シリーズのレギュラー・モデルとしてもラインナップされているが、このカスタム・モデルはトップ材にもコアの単板を使用し、ハードウェアなどのその他の部分もCTM D-12E KOAと共通の特別仕様となっている。指板とブリッジに使用されているカタロックスは、これらの部材に適した硬質なマメ科の木材で、ローズウッドによく似た色がコア材とうまくマッチしている。
【Specifications】
●トップ:コア ●サイド&バック:コア・ファイン・ベニア ●ネック:セレクトハートウッド ●指板:カタロックス ●ブリッジ:カタロックス ●スケール:24.9インチ(632.5mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm) ●ピックアップ:フィッシュマンMX-T ●価格:¥320,000(税込)
000のボディは持った感じの心地良さがありますね。ショートスケールでテンションが柔らかいから、アルペジオとストロークを切り替えるような奏法もやりやすい。サウンドはマホガニーやローズウッドの楽器とは倍音の散り方が違っていて、ドレッドノートよりも明るいサウンドが活かしやすいでしょう。同じ材のドレッドノートよりも幅広い使い方ができると思いますし、より多くの人にとって弾きやすいギターだと言えるでしょう。
CTM 000XAE BLKは、意外にも弾きやすかったのが印象的でした。HPLのトップは抑制が効いていて音が暴れないので、エレアコとして使うにはむしろ好都合だと思います。オール・コアの楽器は、僕も80年代にエレアコをメインで使っていたから、個人的にも愛おしさを感じます。
今回試奏したコア材のモデルは、どちらも明るい音がモノを言うギターというイメージでした。デモ曲の前半のブルージィなパートも、ブルースっぽくなりすぎずに明るいポップソングとして伝わる感じです。デザイン的にも、コア材の明るめの色が白のバインディングとマッチして、それを黒のヘッドプレートが引き締めているのがカッコ良いですね。
グロス仕上げもこの材にぴったりで、メキシコ製のロード・シリーズがものすごく良くなっていることがわかると思います。コアのウクレレを持っている人がアコースティック・ギターを買う時にも、オール・コアのどちらかを選ぶと良いんじゃないでしょうか。
斎藤誠(さいとう・まこと)
1958年東京生まれ。1983年にアルバム『LA-LA-LU』でシンガー・ソング・ライターとしてデビュー。ソロ・アーティストとしての活動はもちろん、サザンオールスターズのサポート・ギターを始め、数多くのトップ・アーティストへの楽曲提供やプロデュース活動、レコーディングも精力的に行なっている。 2018年、MARTIN GUITARのラジオCMでお馴染みのシングル「It’s A Beautiful Day」をリリース。本人名義のライブ活動のほか、マーティン・ギターの良質なアコースティック・サウンドを聴かせることを目的として開催されている“Rebirth Tour”のホスト役を長年に渡って務めており、日本を代表するマーティン・ギタリストとしてもあまりにも有名。また、音楽の楽しい話満載のラジオ番組、FMヨコハマ「MAKOTONE〜It’s a beautiful day〜」を担当中。2022年には13枚目のアルバム『BIG LOVE』をリリース。マーティン・サウンドや卓越したギター・プレイそしてエモーショナルなボーカルを堪能できる最新ライブ情報はこちらから!
斎藤誠 13th ALBUM『BIG LOVE』
『BIG LOVE』情報はこちらから!