AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
電子ピアノ/ギター/ベース/フルート/バイオリン
楽器店員の立場から楽器の素晴らしさを多くの人に広めたいという想いで設立された「楽器店大賞」。第3回となる本年度は、「全国の楽器店員が選ぶ今年の楽器」5点、「全国楽器店員がお薦めする楽器にまつわる作品」1点、そして「店員とお客様が選んだ今年のプレイヤー」6組が大賞を受賞。2023年10月23日にヤマハ銀座スタジオにて行われた表彰式の模様をレポートする。
「楽器をもっと世の中に広めたい」「多くの人に楽器を始めてほしい」という想いより、2021年に一般社団法人 全国楽器協会が設立したのが「楽器店大賞」。3回目の開催となった「楽器店大賞2023」では、「全国楽器店員が選ぶ今年の楽器」部門(電子ピアノ・キーボード/ギター/ベース/フルート/バイオリン)と、「全国楽器店員がお薦めする楽器にまつわる作品」部門、そして「店員とお客様が選んだ今年のプレイヤー」部門(ピアニスト/ギタリスト/ベーシスト/フルーティスト/バイオリニスト/プレイヤー特別部門)が設定され、6月から順次行われた投票の結果、各部門の大賞が決定。ヤマハ銀座スタジオにて表彰式が開催された。
表彰式は、島村楽器 代表取締役社長である廣瀬利明氏の挨拶に続き、「全国楽器店員が選ぶ今年の楽器部門」の表彰からスタート。各部門ごとにベスト3が発表され、大賞に選ばれたメーカー/輸入代理店の代表者が登壇。プレゼンターの全国楽器協会 会長 中田卓也氏からの表彰状授与の後、それぞれコメントを述べた。
カシオの最先端技術による本格的なサウンドと革新的なデザインで、理想のライフスタイルを提案する「Privia PX-S7000」が電子ピアノ・キーボード部門大賞を受賞。どの角度から見ても美しい全周デザインで、どんな部屋にも調和する高いインテリア性だけでなく、グランドピアノのような本格的なタッチを実現する「スマート・ハイブリッド・ハンマーアクション鍵盤」を搭載。さらに、カシオ独自の「マルチ・ディメンショナル・モーフィングAiR音源」は、その共鳴音によるグランドピアノならではの響きを徹底的に追求している。投票した楽器店員からは「ピアノは壁際に置くものという概念を覆した画期的な製品」「今年一番お客様に試弾された電子ピアノ」などの声が寄せられていた。
ギター部門を制したのは、ヤマハの「PACIFICA611VFM」。後述の作品部門で大賞を受賞した「ぼっち・ざ・ろっく!」の作中に登場するや、日本中の楽器店で完売が続出したことも記憶に新しい。パシフィカシリーズは、正確な音程、高い演奏性、多彩な音色、高品質なサウンドを持ち、オーソドックスなボルトオン構造でありながら、様々な音楽ジャンルやプレイスタイルに対応できるように構成されている。中でも1990年に登場したPAC600シリーズは、多用途性、パフォーマンス、個性が鍵を握っていた当時のカリフォルニアのセッション・シーンにインスパイアされた、今日までのパシフィカのコンセプトを体現する存在だ。今回大賞を受賞した「PACIFICA611VFM」は、フロント・ピックアップにSeymour Duncan社製のSP90-1、リアには同社製のカバード・ハムバッキングCustom 5を搭載。ブライト感を適度に抑えながらも粘りのある独特なハムバッキング・サウンドから、ヴィンテージ・ソープバー・トーンまで幅広く奏でることが可能な個性派モデルとなっている。楽器店員からは「お客様から安定した高い評価を得ている一番人気モデル」「シリーズを問わず、パシフィカならどれでも欲しいというお客様が多くいらっしゃった」といったコメントが寄せられた。
ベース部門では、40年もの長期に渡り多くのベーシストから高い評価を受け続けてきた、ヤマハ「BBシリーズ」が大賞を受賞。新しいBBシリーズは、40年間愛され続ける伝統のBBシルエットを踏襲しつつも、絶妙なコンター加工や、ボディ、ネック、ヘッド形状をスリムにすることで演奏性を向上させている。さらに、それぞれのモデルに合わせて新たに独自開発したピックアップを搭載。伝統的なBBサウンドはそのままに、中高音域のアウトプットゲインを向上させることで輪郭のはっきりとしたクリアなサウンドを実現した。ボディ裏側から弦を通す「ストリング・スルー・ボディ」構造を採用しているが、ボディ底部を斜めにカットし、45度の角度をつけて弦を通すことによって、サドル部での弦のストレスを軽減し、ボディに伝わる振動のロスを排除することに成功。まさにヤマハを代表する最強のボルトオン・パッシブ・ベースとして進化を遂げている。
今年から新設されたフルート部門大賞に輝いたのは、ムラマツフルートの「HANDMADE DS MODEL」。トーン・ホールには前身のADモデル、DNモデルで培った高精度のドローン製法を採用し、美しいレガート、歯切れの良いスタッカートを優れた操作性を損なうこと無く実現している。楽器店員からは「ハンドメイド・フルートで真っ先に思い浮かぶモデル」「奏者の息にしっかりと応えてくれるため演奏していて楽しいと思います」という声が上がっていた。
同じく新設のバイオリン部門では、Eastman「VL80」が大賞を受賞した。“初めて手にする楽器こそが最も重要である”という経営理念のもと、優れたコストパフォーマンスを実現しながらも手彫りで丁寧に制作されている。分数サイズも豊富にラインナップされており、大人から子供までそれぞれの身体に合ったサイズを選択可能だ。「安い価格帯にありがちな弾きにくさもなく、最初の1本にふさわしい」「価格を抑えながらもバイオリンの基礎をつかむことができるスペック」など、多くの賛辞が寄せられていた。
「全国楽器店員がお薦めする楽器にまつわる作品部門」は、はまじあき原作のアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」が大賞を獲得。楽器店員からは「一大ブームを巻き起こし、多くのギタープレイヤーを生み出したといっても過言ではない作品」「映像、音楽のクオリティの高さに見ていてワクワクした」「作中に登場した楽器が在庫切れになるなど、楽器業界を盛り上げてくれた」など、多くのコメントが寄せられていた。
「店員とお客様が選んだ今年のプレイヤー部門」は5部門+プレイヤー特別部門で、全国楽器店員および一般ユーザーによる投票により、石井琢磨(たくおん)、ヨメトオレのMarco、OKAMOTO'Sのハマ・オカモト、岩崎花保、Ayasa、神田リョウがそれぞれの部門の大賞に輝いた。
プレイヤー部門受賞者たちが披露した圧巻のパフォーマンスによる熱気の中、今年も盛況の内に幕を閉じた楽器店大賞表彰式。次回はどんな楽器、プレイヤーが楽器業界を盛り上げてくれるのか、今から期待しながらこれからも音楽を楽しんでいこう。