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  • 井戸沼尚也のニッポン沼めぐりっ!

独自技術を駆使したリペアとマニアックな品ぞろえ! 東京「沖田ギター工房 渋谷店」に行ってみた!

沖田ギター工房 渋谷店 & OGS WORKS

  • 制作・企画・編集:デジマート 文:井戸沼尚也 撮影:市原泰介 協力:沖田ギター工房

日本各地に点在するという、ハマったら抜け出せない機材の沼スポット。自他共に認める機材好きで1日に5回デジマートを見る男が、全国の沼を訪ねて歩く連載、それが「ニッポン沼めぐりっ」! 今回は東京の「沖田ギター工房 渋谷店」に突撃です!

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定番の待ち合わせスポットからスタート!

 今回訪れる「沖田ギター工房 渋谷店」は、独自の技術を活かしたリペアとオリジナル・ギターの製作・販売を柱とするショップだ。本店は千葉にあり、これから訪問するのは渋谷店なので、待ち合わせ場所は定番のJR渋谷駅のハチ公前に決定。ここで私は沼めぐり取材班と合流した。

地方出身&犬好きなので、待ち合わせはやはりハチ公前! 外国人観光客がものすごく多かったー!

 「沖田ギター工房 渋谷店」は現在、予約制となっている。当然我々もアポイントを入れており、訪問までは時間がある。ということでブラブラ・タイム、スタートゥ!

駅前の建設中のビル。ずっと上を見ていると、そちらが下のような気になって怖くなります(笑)

 渋谷ストリームという複合施設の一角に、めっちゃ美味しいレモネードを出す店があると聞いたので、早速飲みに行ってみる!

あ、多分ここですね!




おや??

あれ、なんだか様子がおかしい……




がーん
閉店

ぐわっ、挨拶文に誤字を発見!(×ご愛嬌 ◯ご愛顧)……じゃなくて、閉店っ!!

 ついてないぜ……。まぁ、この店、LEMONADE by Lemonicaは全国に店舗があるらしいので、見つけたら私の代わりにぜひ飲んでみて。

きれいになったと噂の渋谷川沿いにたたずむ。手すりはきれいだと思います!

沖田ギター工房 渋谷店」へGO!

 こうしている間にも時間はどんどん過ぎていくので、「沖田ギター工房 渋谷店」に向かうことに。

目印の渋谷警察署を背景に、パシャリ! ここから都道412号を西麻布・六本木方面へ進みます

渋谷二丁目の交差点まで来ました〜

渋谷二丁目の交差点から
青山トンネル方向へ
真っ直ぐ行くと




「沖田ギター工房 渋谷店」到着!

交差点からざっと60mくらい先の道路沿いのビル! ここの2階です!

 取材当日、ビルの表には看板がなかったが(いつもなのかな?)、ビルのエントランスを入ったところでジミ・ヘンドリックスの看板がお出迎え!!

いえーい! チョークでこの感じを出すのは難しそうだけど、すごくいい感じ!

工房はビルの2階にあるので
エレベーターを使って上階へ

ごんぬずばー

 店内は、思っていたよりコンパクト! 

 しかし、1本1本「これはなんですか」「これを弾かせてください!」 と言いたくなるような個性的なギターが並ぶ!

よーく見てください! 私には気になるギターばっかりですよ!

そして圧巻の
マンドリン・ウォール!

マンドリンの壁!

マンドリン、マンドリン、マンドリン、マンド

こちらも!

リン、マンドリン、マンドリン、マンドリン……

 ぬうう、まだ店内をざっと見回しただけだが……この店は、これまでの沼めぐりにはなかったタイプの店だということは、わかる!! 

 するとそこに渋谷店 店長の前山伸二郎さんが登場!

渋谷店 店長の前山伸二郎さん(左)

 早速、コンタクトを試みる。

わし ──ごんぬずば! こちらのお店、1本1本のギターが放つ存在感が、ハンパないっすね。状態の良さそうな、いい顔をしているというか……

前山店長 ── ありがとうございます! 当店はギターの修理・調整に力を入れておりまして、店頭のギターに関しても当工房が修理・調整した方が良いと思う箇所はすべてリペアし、フルチューンアップして提供しているので、それでそう感じられるのかもしれませんね。

 ぬうう、なるほど。ギターはどれもピカピカ、マンドリンもつやがあって、みんなうれしそうな顔しているもんなぁ。

壁にかかっている1枚の写真
こちらが沖田ギター工房の創業者にして
会長の沖田正和氏だ。

数々のオリジナル技術を生み出した、天才肌のギター製作家!

 リペアに力を入れているというだけあって、ここ渋谷店にもリペア・ルームがある。取材当日もあるミュージシャンからビンテージ・ギターの修理の依頼があり、ここで現状の傷の入り具合などを念入りにチェックし、書き取っていた。

窓が大きく、明るい作業スペース

接着面の乾燥、安定を待つギター

ナットはギターのサウンドに大きく影響するパーツの一つなので、加工も真剣勝負だ

 沖田ギター工房といえばリペア、特にヘッド折れやネックのリセットなど難易度の高い修理に定評があるが、そうした技術を活かしてオリジナル・ギターの製作も行っている。

こちらは
↓ OKITA GuitarsのOMOM ↓
というモデル。

極上の材と独自の製作工法による逸品!

 トップはイタリアン・アルバイン・スプルース、サイド&バックはマダガスカル・ローズウッド、ネックはホンジュラス・マホガニー、材はどれも極上だ!

これは是非とも弾いてみたい!
お願いすると
快くOKしていただいた!

手にすると、うっとりして言葉が出ません

弾いて爆笑! 
何これ、良すぎる(笑)

うわー、良すぎて笑いが……

沖田ギター工房のオリジナル・ギターの特徴は、こんな感じ。

  • ボリュームが大きい!
  • 和音の解像度が高い
  • デッドポイントが全くない
  • 音程がフラフラせず響き方がピアノのよう
  • グリップはしっかりめ
  • ハイポジションの音も強い
    ……など

 聞くところによると、ネックジョイントには音のエネルギーを逃さないスペイン式を採用、トップ材はあえてあまり薄くしない(なんと4mm! しかし、鳴る!!)など、製作上のさまざまなこだわりがあるようだ。ネックやボディの剛性が高いので、弦が変な揺れ方をしない。音の切れ際も、きれい!!

わし ──ちなみに、これ……ピックもめちゃいいですね! 私、ピック大好きなんですけど、アコギ用としては最高のピックだと思います!

前山店長 ── 沖田ギター工房のオリジナルのピックで、セルロイド製です。

 これ、セルロイドなのにちょっとウルテムっぽいモチモチ感があって、本当に良いピック!! これを買うためだけに沖田ギター工房に行く価値があるくらい!!

カポをつけても、音が貧弱にならない! これもネックやジョイント部分がしっかりしているからこそ

こちらはドレッドノート・タイプ。
さらに音量が豊か!

こちらはドレッドノート・タイプ。さらに音量が豊か! ネックのシェイプはややVがかっている

 いやー、本当に良いアコギを弾くと、心が洗われますな。こんなギターを手に入れることができたら、毎日の暮らしが豊かになりそう。

わし ──素晴らしいギターでした。オリジナル・ギターは、アコギだけなんですか?

この質問に応えてくれたのは、社長の沖田渉吾氏

沖田社長 ── 実は、公には今回が初公開となるのですが、私が企画したオリジナルのエレクトリック・ギターがあります。

か、かわいい!!!!!

オリジナルギターQuaila the pool

 どことなく、マンドキャスターを連想させる小ぶりなかわいいフォルムだが、スケールは648mmのいわゆるレギュラー・スケール。ミニ・ギターという感覚ではない。早速、弾かせていただいた。

あ、これはヤバいっす!!!

 ぬー、これ、羊の皮を被った狼というか、かわいい見た目だが中身はハイエンド・ギターですわ。ネック周りがめちゃくちゃ弾きやすくて、音の立ち上がりがよく、ピッチが凄く安定しています。サウンドはブライトめで、誤解を恐れずにいえば良いTL系という感じ。

ピックアップもオリジナル

ネジまできれい! ジョイント周りは定評のある畑精密工業製!

 自分だけの個性的なギターが欲しい人にぴったりな1本だ。



 さて
店内で気になるのは
大量のマンドリン!

 普段はマンドリンと無縁の生活をしているのだが、間近で見るマンドリンの美しさにはやられた! マンドリンに関しては、担当の近藤晃弘さんに話を伺った。

 近藤さん ──マンドリンはブルーグラスで使われることが多く、ブルーグラスを演奏しない人にとってはあまりなじみがないですよね。でも、昔のフォーク・ソングでは結構使われていましたし、今アンサンブルの中で使ってもとても面白いので、そういったご提案をしたいと思っています。

マンドリン、めちゃくちゃ美しいです!

 ブルーグラスではGibsonのマンドリンが主流だが、Gibsonは生産数が限られているのと高価なため、マンドリンの入口として手頃な1970年代頃の日本製のモデルを丁寧にリペアしてそろえているとのこと。

 こうなると、実際に音を聞いてみたい! そこで自身がSSWでプレイヤーである近藤さんにお願いして、演奏していただいた。手にした1本は、70年代〜80年代の国産ブランドBlue BellのF-15!

かっこいい! それから、ストラップをかける位置にも注目!!

 見ていたら、自分も弾いてみたくなった(弾けないけど笑)。

楽しい! 小ぶりな楽器が腕の中で鳴っている感じ、楽しいですよ!!

使われている材も美しい!!

 これ、かなり面白いし、アンサンブルの幅が広がるのでギタリストにもお勧め!! と、マンドリンを満喫していたら、前山店長の「ほかにも面白いもの、ありますよ」というささやきが!

うわー
ビンテージのニューヨーク
エピフォン・エンペラー!!!!

うわー、ビンテージのニューヨーク・エピフォン・エンペラー!!!!

めちゃくちゃ存在感ある!
圧倒的!
音も深みがあって(特にロー)最高!!
 

このPUセレクター! 押しボタン式です(笑) かわいい!!

 ビンテージのエピフォンでまだドキドキしているところに、前山店長が「まだあります」と出してきたのが、カスタム K-200!!

ビザールというには非常にしっかりしているカスタム! ネックがうすーい!!!!

この、ロー・ポジションでは頑張ってたくさん入れていたポジション・マークが、上に行くに従ってあんまり入れられなくなっていく感じが最高(笑 )!!

このカスタム、単なるオモシロ・ギターではなく、ディアルモンドのピックアップが搭載されていて良い音するんだよ!

 面白いものがいろいろあるなーと思っていたところに、前山店長の「まだまだあります」というささやきが!!!

うわー、今度はリッケンバッカー A-22 Flying-Pan!!!!! 

博物館クラス きたー!!!

世界最初の量産型エレクトリック・ラップスティール!!

こんな感じで膝に乗せて、スライド・バーを使って弾きます

すごいものが出てき過ぎで、弾きたかったビンテージのリッケンバッカー360は時間切れとなり触れず……無念。

Jet Glo(ブラックのフィニッシュ)がかっこいい!!

先ほど紹介した超良いピックは、小物コーナーで買えます

 ふー
いろいろ、いろいろすごかった。

「沖田ギター工房」の強み

 ここで改めて、社長の沖田渉吾さん、店長の前山伸二郎さん、そしてアコースティック楽器の生き字引のような近藤晃弘さんの3人に話を伺った。

写真左から、前山さん、近藤さん、沖田さん

わし ──今回お邪魔して、色々な製品の良さ、技術の高さがよくわかりました。皆さんは沖田ギター工房の強みをどう感じていますか?

沖田社長 ── まずは、会長が編み出したオリジナルの技術を持っていることですね。ネック角をリセットせずに変える沖田式の角度調整や、補強にネック材と同じ材の付き板(柾目)を何層にも張り合わせる沖田式のネック折れ修理など、独自の技術でもとのギターの良さを損なわずに直すことが可能です。それから、40年間リペアをしているので、その間に集積された知識も強みですね。

近藤さん ── 私は以前、大手のギター・ショップに在籍していまして、その頃からたくさんのギターのリペアを沖田ギター工房に頼んでいました。当時から、単に修理されて戻ってくるだけでなく、弾き心地や音程がより良くなって帰ってくるのが特徴でした。見えないところまで徹底してこだわってセットアップするのが強みだと思います。

前山店長 ──私は、お客様が納得いくまでお付き合いするところだと思っています。お客様が納得していないのに、こんなものだと決めつけるような修理は絶対にしません。我々には聞こえていなくても、お客様には聞こえている音もあると思うので、お客様の耳や感じたことを大切に、とことんお付き合いしていきたいと思います。

 なるほど。いろいろ話を伺い、実際にオリジナル・ギターやメンテナンス済みのビンテージ・ギターを弾かせてもらって、「難易度の高いリペアこそ、ここにお願いしたい」と思った。特に、アコギや箱物に関しては、まずここに相談するのが良さそうだ。

 最後に、全員で記念撮影!

手にしているのは、それぞれの一押し!




いやー、良い店だった。


それではいつものアレ、
行っときましょうか……

 いつもの通り、興奮して乾いた喉をビールで潤したい!

渋谷には良い飲み屋がたくさんあるが、
今回はバンドマンがよく行く名店
山家に決定!

以前は24時間営業だった山家。富豪になってずっと注文し続け、実質ここに住むのが夢でした

では、早速いっぱい頂きます!

ビールが進むおかずを用意しました

我ながら、いつもうれしそうだ(笑)

ニンマリ! 我ながら、いつもうれしそうだ(笑)

いたーきます!

いたーきます。グビリ

ゴブゴブゴブ……

うまっ! うまっ!!

うまっ! うまっ!! 本当にうれしそう(笑)

 良いギターに、旨いビール。今日も良い一日だった。

今回はこれにて
ミッション・コンプリート!

「沖田ギター工房 渋谷店 & OGS WORKS」の沼度

水深(楽器の品揃え)★★★★
水質(スタッフの対応)★★★★★
沼の面積(フロアの広さ)★★★
周辺状況(近隣の飲食店等)★★★★★
判定:リペアの技術はもちろん、オリジナル・ギターも素晴らしい! ユーズドやビンテージ・ギターの品揃え、それにマンドリンの品ぞろえも個性的で、実に楽しい沼! 行くべし

店舗情報

沖田ギター工房 渋谷店 & OGS WORKS

okita-kobo.jpg住所:〒150-0011 東京都渋谷区東1-2-23MA東ビル2F
電話番号:03-6805-1877
営業時間:11:00〜19:00(予約制)
定休日:水、木曜日

デジマート・ショップページ
https://www.digimart.net/shop/5018/




<お知らせ>

 ここで突然だが、この不定期連載も
実はこれにて一旦、終了となる。

これまで「沼巡り」を支えてくれた
担当者と記念撮影し、お別れだ。

ここまで読んでくれて、本当にありがとう!!!!!


完!! また、いつか、どこかで!!

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プロフィール

井戸沼尚也(いどぬま なおや)
日本で唯一の、沼鑑定士(自称)。 1日5回デジマートを見る、機材大好きのギタリスト/レビュアー/ライター/ワウペダル奏者。 インスト・ファンク・バンドZubola Funk Laboratoryのメンバー。 2019年3月より、ドラムとギターのみの変態インスト・バンド「Ragos」を始動。マスクをするとデジマート地下実験室の室長に似ているらしい。

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