AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
Sakura Ukulele
桜材をはじめとする国産の和材を積極的に活用しているディバイザーから、桜材に特化した新たなウクレレ・ブランドSakura Ukuleleが誕生した。そしてこのたび、例年開催されているディバイザー大商談会の場で記念すべき第一弾のラインナップも発表。新ブランド誕生の裏にどのような経緯があったのか。Sakura Ukuleleのブランディングを手がける多田健人氏に、ディバイザーによる桜材を用いた楽器製作の歩みや、新ブランド設立の背景などをうかがった。
国産の和材を楽器用の材として積極的に活用しているディバイザー。中でも桜材を用いたモデルはアコースティック・ギターのHeadway(ヘッドウェイ)ブランドを中心に、人気シリーズのひとつとなっている。
ディバイザーとその生産工場である飛鳥がはじめて桜材を使用したのは2014年のこと。八塚悟社長が木材市場を訪ねた際、偶然に杢目の美しい桜材を見つけて仕入れてきたことがきっかけだった。当時、桜材は楽器用の材としては一般的ではなかったが、とてもきれいな材だったため、これで何かを作れないだろうかということで、桜の優美で親しみのあるイメージからウクレレを製作してみることになった。
こうして完成したのがHeadway UCB-SAKURAだ。オール桜ボディで、ネックはアフリカン・マホガニー。ブリッジと指板にはパープルハートが使われた。楽器では珍しい桜材を使用したモデルということで、せっかくなら何か遊び心を加えてみようと、ポジションマークやピックガードには桜の花びらをデザイン。実に個性的で雅なルックスに仕上がった。
そして2014年のTOKYOハンドクラフトギターフェスに出展してみると、想定以上の反響を得ることになる。そこで今度はHeadwayの本流であるアコースティック・ギターでの開発が進められた。そうして完成した桜ギターはウクレレ同様に高い評価を獲得。その後は夜の桜をイメージしたカラーをはじめとして、さまざまなバリエーション・モデルを製作することになり、桜ギターの認知度は急速に高まっていった。
一方、桜材を使ったウクレレも依然として製作は続けられていたが、Headwayはアコースティック・ギター・ブランドということもあり、ウクレレはスポット的な製作にとどまっていた。そんな中、ギターでは弦の張力などの関係から、ネックには実績のある定番のマホガニーなどが使われ、桜材はおもにボディのサイド&バックに使用されていたが、弦の張力の弱いウクレレならネックに桜材を使うことも可能ではないだろうか。そうなれば桜の持つ風合いや手触りをより深く感じてもらえるのではないか。さらには和材を積極活用しているディバイザーの姿勢をより国内外にアピールすることができるのではないかという機運が徐々に社内に高まってきた。
そこで桜シリーズの原点回帰の意味合いも含め、再び桜材を使ったウクレレ・モデルの開発に着手することになる。2014年以来、桜材に長く向き合ってきた豊富な製作ノウハウをもとに開発が進められ、ネックにも問題なく桜材が使用できることが判明。さらに桜材に特化したウクレレであることを強く打ち出すため、Headwayブランドからは独立させ、2023年、新たなウクレレ・ブランドSakura Ukuleleを立ち上げることになった。
こうして完成したのが今回のモデルだ。サイズはソプラノで、紫色のSUS-SAKURA PURPLE(6月発売予定)、白ピンクのようなSUS-SAKURA BLONDE(7月発売予定)、夜桜カラーのSUS-YOZAKURA(8月発売予定)の3色がラインナップ。材の構成はどれも同じで、ボディには1枚板による単板の国産山桜が使われている。ネックも国産山桜で、3ピース・ネックとすることで十分な強度を確保。どのモデルも木肌の見える上品なサテンマット仕上げとなっている。
指板やブリッジ、ピックガードへのパープルハートの使用、桜の花びらを模したポジションマークやピックガード、基本構造などは、従来のモデルを踏襲しているが、先端が山型になったヘッド形状とロゴマークが今回の新たなブランドの顔となっている。
そのロゴやヘッドのデザインは、社内のデザイン部署に所属する女性デザイナーが手がけたものだ。
“女性目線で女性のデザイナーが手がけているというのも、当ブランドの特徴のひとつかと思います。ロゴをよく見ていただきますと、「さくら」というひらがなの文字を用いて、ウクレレの形になっているんです。今後は海外市場への展開も視野に入れておりまして、日本を象徴する桜材を用いていることに加えて、デザイン面にもそうした日本の文化を盛り込むことで、海外のみなさまにも大きく興味を持っていただける仕様になっているのではないかと思います”。(多田氏)
桜材はやや硬質な材で、サウンドの特性としてはハリのある音色。しかし、メイプルのような同系統の材に比べると、独特の粘りがあるため、ほのかな奥行きと深みも感じられる。また、ネックにも硬質な桜材を用いていることで、マホガニー・ネックの従来モデルに比べて、音量は大きくなっている。
ハワイの主要なウクレレがハワイアン・コアで作られているように、日本のメーカーとして日本を象徴する桜を素材に用いることで、世界的にも日本生まれのウクレレ・ブランドであることをアピールしていきたいと多田氏は語る。第一弾はソプラノ・サイズだが、今後はコンサート・サイズや、豪華なリミテッド・モデルも随時展開していく予定だ。特定の和材に特化した画期的な取り組みとして、大いに注目していきたい。
Sakura Ukuleleは2023年にディバイザーが新たに立ち上げたウクレレ・ブランド。2014年、その当時は楽器に使用されることが一般的ではなかった桜材を用いたウクレレを同社の代表的ブランド、Headwayで製作してみたところ、大きな反響が得られたため、続いて桜材を使用したアコースティック・ギターを開発。そちらが成功すると、桜材のシリーズはギターが中心となった。しかし、社内で桜材をウクレレ全体に用いたモデルを開発していきたいという機運が高まったことから、Headwayとは別に、桜材に特化した新たなウクレレ・ブランドSakura Ukuleleを設立。そのブランド名のとおり、すべてのモデルに桜材を使用し、その材の魅力を打ち出していくことをコンセプトに掲げている。
*今年のディバイザー大商談会は5月23日に開催。予告ページはディバイザー公式HPで公開中。
価格:¥98,000 (税別)
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