Positive Grid Spark LIVE meets Toshiki Soejima & Naho Kimama
- 2024/12/13
Deviser
長野県松本市を拠点に、数多くのブランド展開を行なっている国内有数のギター/ベース・メーカー=ディバイザー。彼らが生み出す製品には、国産材や職人によるこだわりの塗装や彫刻などを施したワンオフものも多い。そういった製品を販売店に直接体感してもらうべく開催しているのが“ディバイザー大商談会”だ。どういったイベントになっているのか、ディバイザーの代表取締役である八塚航氏に話を聞いた。
——まずは大商談会を行なうことになったきっかけを教えて下さい。
今の大商談会の原型となったのが、2012年の楽器フェアでした。楽器フェアでは各メーカーが新製品を展示するのが一般的ですが、当時は特に国産のギターとベースが注目されていたこともあり、ディバイザーとして力を入れて多くのワンオフ・ギター/ベースを並べたところ、来場者の反応がとても良かったんです。2014年の楽器フェアでも好評だったので、その体験を元に、2016年に第1回目となるディバイザー大商談会を本社のスペースで行ないました。
——大商談会を開催することで、どのような効果がありましたか?
我々は長野県松本市のメーカーですから、それまでは弊社の営業担当が販売店様へ出向く形が多かったです。しかし、大商談会では販売店のスタッフの方々に弊社の製品を直接見てもらうことで、ディバイザーのギター/ベースをより深く知っていただける機会になりました。お客様との架け橋となって下さるのが販売店の方々ですから、大商談会を通じてギター・メーカーとしての信頼性を高めることは重要だと感じています。
——製品だけでなく、会社自体や製作場も含めて見てもらうことに意味がありそうですね。
はい、そう思いますね。私自身、国内外の色々な工房や工場を訪れ、“そこの空気を感じる”というのが大切だと感じています。この大商談会でも、工場の職人と会話してもらったり、使用している木材を見てもらうことで、販売店の方にとっても良い経験や知識となってもらえればと思っているんです。また、製品作りのストーリーまで含めてお互いの理解を深めることで、その後の弊社製品の販売に活かしていただけることも見えてきました。
——販売店との直接の交流から生まれるアイディアや製品もあるのでしょうか?
ありますね。レギュラー・ラインでは、幅広いユーザーに受け入れられる製品を作るわけですが、“こんなことやったら面白そう”というような、挑戦的なアイディアは大商談会から出てくることもあるんです。
——大商談会にはどれくらいの販売店が参加するのでしょうか?
第1回目の2016年は40程度の販売店様に参加いただき、年々その数は増えてきました。2019年まではディバイザー本社のスペースに来ていただいていたのですが、新型コロナ・ウィルスの影響もあり、2020年からはオンラインでの開催に切り替えています。2022年のオンライン開催では、国内外含めて110ほどの販売店様に参加いただけました。また、2019年からは、春だけでなく秋に“Deviser One Day Guitar Show”というイベントも行なうようになり、現在では自社イベントを年2回開催しています。
——Deviser One Day Guitar Showも、春の大商談会と同じような内容なのですか?
オンライン開催になる前の大商談会は月曜日から金曜日までの5日間行なっており、販売店の方が来られるタイミングでお越しいただいていました。Deviser One Day Guitar Showは名前のとおり、1日だけの開催になっています。扱う製品数に関してはどちらのイベントも同じくらいですが、開催日数の違いから名前を分けているんです。
——現在はオンライン開催になったわけですが、オフラインと違って不安な面もあったのでは?
オフラインで開催していた当時は、まだネット上でどう見せるのか、また見る側もどう受け取るのか、模索している時代だったと思うんです。しかしコロナ禍になってオンラインでのイベントやそのノウハウというものが世の中に浸透したこともあり、オンラインでの開催に踏み切ることができました。どれくらい参加いただけるかと不安もありましたが、すでに商談会を4年間にわたって行なっていたのである程度イベントの認知があり、オンライン開催になっても馴染みのある販売店様は参加を表明してくれたんです。また、オンラインなら参加できるという販売店様も多数出てきて、参加店舗は過去最高になりました。
——オンラインではどのような商談会の内容になっているのですか?
オフラインと同じようにギター/ベースをしっかり体感してもらうことはできないのかと、色々と試行錯誤しました。写真の点数を多くするのはもちろん、動画や製品を360度から見られる3D画像など、Webサイトだけでも完結する内容にしています。また、オンラインではイベントとしての盛り上がりを共有することが難しいです。そこで、開催日より1ヵ月ほど前から製品情報の予告に力を入れ、イベントに向けて弊社スタッフを含め、取引先やユーザーの皆さまが徐々に盛り上がっていけるように努めています。展示品は数量限定の製品が多いため、様々な取引先様から注文の集まる人気の高い商材の受注方法も検討しました。抽選方式を取り入れるなどの工夫を行なっています。
——オンライン開催で感じたメリットはありますか?
先述したように、以前のオフライン・イベントには参加できなかったという方々や海外の取引先の方々にも見てもらえる機会となったということが挙げられます。さらに特設ページやSNS、動画投稿サイトでの情報発信に力を入れたため、エンド・ユーザーの皆様にも商談会の様子がより伝わるようになりました。もともとは“メーカーと取引先の商談が行なわれる会”として始まりましたが、今では弊社製品のファンの皆様への認知も広がり、楽しみにしてくださっている方々も年々増えているんです。ただの商談会ではなく、皆様に楽しんでいただけるショー・イベントとしての新しい見せ方を常に探しています。今後は、またオンラインとオフラインを両立したイベントとしてもステップアップさせていきたいと考えていますね。
——今年は5月23日よりディバイザー大商談会がオンラインで行なわれます。どのようなところに注目してもらいたいですか?
毎回のことではありますが、前年とは違った試みの製品が数多く登場します。弊社の強みである国産材などを用いたアイディアとファクトリーの技術の結集です。毎年自分たちのハードルを上げてしまいますが、だからこそ前回より良いものを作ろうと考えることにより成長もできていると感じます。より多くの取引先様とユーザーの皆様に楽しんでもらえるように全社力を入れて取り組んでいますので、今回もぜひ楽しみにしていて下さい。