ヘッドウェイの桜10周年記念モデルとして“漆桜”と“四季桜”が登場!
- 2024/11/11
Positive Grid / Spark MINI
小型デスクトップ・アンプのPositive Grid Spark MINI。多種多様なアンプ・モデル/エフェクターを使用でき、さらにバッキング・トラック生成や楽曲のコード分析まで行なえるという、まさに“次世代”と呼べる性能を誇るアンプだ。この連載では様々なギタリストにSpark MINIのサウンドと機能を体感してもらう。第3回は村田善行がレビューする。
2インチ・スピーカーを2基搭載する10Wデスクトップ・アンプ。専用アプリ(iOS/Android)を使うことで様々な機能へアクセスできる。アンプ/エフェクターを選択してサウンドメイクができるほか、バッキング・トラックを自動生成するSmart Jam、YouTubeにアップロードされている楽曲のコードを分析するAuto Chordsといった機能を搭載。Bluetooth接続でスマートフォン/タブレットなどから音楽を再生することもできる。USBオーディオ・インターフェースとしても使用可能だ。
専用アプリSparkの画面。GATE→COMP/WAH→DRIVE→AMP→MOD/EQ→DELAY→REVERBの順番でチェーンが組まれており、それぞれのカテゴリーで多種多様なアンプ/エフェクター・モデルを使用して音作りができる。作成したサウンドはプリセット・ライブラリーToneCloudで世界中のユーザーと共有可能。気に入ったプリセットがあれば自身のSpark MINIにダウンロードして使うこともできる。
音作りの基本がわかる教育的な面でも優れたアンプ。
このサイズからは考えられないくらい衝撃的に良い音です。底面のパッシブ・ラジエーターが効いていますね。リビング・アンプとしてテーブルなどに置いて使うことが多いと思いますが、そのテーブル自体に音が伝わって鳴ってくれるんです。こういった小型アンプは、スピーカーの口径が小さいためどうしても低域が出せず、真空管でもないので直線的な音になりがちです。しかし、Spark MINIはボリュームを絞った時もヘッドルームに余裕が感じられ、ダイナミクスがつけやすくなっています。ダウン・チューニングにした時も欲しい低域成分が出てきてくれ、サステインも十分に得られました。
また、内蔵エフェクトのリバーブの広がりにも衝撃を受けました。耳の真横にリバーブの余韻が感じられる立体的な響きなんです。2基のスピーカーがそれぞれ外側に向けて少しパンニングして配置されているので、目の前に音が固まらず、リラックスした響きになってくれているのでしょう。そのほかのエフェクトも良くできていて、簡単なパラメーター調整で的確なサウンドになるように作られています。アンプやエフェクトの組み合わせもイメージどおりの音が出てくれるので、音作りはとてもわかりやすいですね。アンプとエフェクトのルーティングは固定になっていますが、ギターの音作りの基本的な並びになっていますし、イメージどおりの的確なサウンドもあって教育的な面でも優れたアンプになっていると感じました。
自然なアンプ・サウンドでDAWへの録音もできます。
アンプ/エフェクト・モデリングは、複雑な機能を省いている分、わかりやすい構造になっています。一方で、モデルの種類はマニアックに考えられていたりするのも面白いところです。“同じトレモロでもこれとこれは違うよね”というように、機材に詳しい人にも刺さるラインナップになっていますね。しかも、種類がありすぎるということではなく、センス良く揃えられている。これも驚いたポイントでした。
オーディオI/O機能で録音してみたところ、凄く自然なサウンドで録れました。よほど特殊な音以外は作れるので、演奏からレコーディングまで対応してくれるモバイル・アンプです。
搭載しているアンプ・モデルは無償33種類+有償6種類。同社がBIASシリーズで培ったモデリング技術により、リアルなアンプ・トーンを再現している。“ゲインを上げた時、ボリュームを上げた時の歪みの違いが実機にかなり近い”と村田もその再現力の高さを評価していた。
価格:¥33,000 (税込)
村田善行
むらた・よしゆき●ある時は楽器店に、またある時は楽器メーカーに勤務。国内外、新旧モデルを問わず、ギター、エフェクト、アンプに関する圧倒的な知識と経験に基づいた楽器/機材レビューを数多く行なっている。