Positive Grid Spark LIVE meets Toshiki Soejima & Naho Kimama
- 2024/12/13
SHURE/GLX-D6+
プロのステージでは定番とも言えるギター/ベース用ワイヤレスSHURE GLX-D6がアップデートし、GLX-D6+として新発売される。多くのアーティストのサポートやレコーディングで活躍し、多様なステージでワイヤレスを使ってきたギタリスト外園一馬によるレビューを見ていこう。
このたびSHURE からリリースされたGLX-D1+(トランスミッター/左)と、GLX-D6+(レシーバー/右)。トランスミッターとレシーバー
インプット端子が画期的、すごく便利ですね。
──普段はどんな時にワイヤレスを使っていますか?
初めてワイヤレスを使ったのは、ドーム・クラスのコンサートで、動きのある演出が求められた場面でした。今は曲によって移動が必要な場合に、ワイヤレスを使っています。
──GLX-D6+で音を出してみて、どのように感じましたか?
実は過去に、現場によっては“ワイヤレスにすると音質がちょっと不安”と言われたこともあるんですよ。だけど今回GLX-D6+を使ってみて、ワイヤレスでも違和感なく自然に弾けるので驚きました。僕はカッティングのスピード感を大事にしていて、ワイヤレスだとどうしてもそれを表現できない気がしていたんですけど、GLX-D6+は遅延や劣化をほとんど感じなかったので、これは凄いと。実際に現場で使ってみて、仲間でワイヤレスとシールド・ケーブルの聴き比べなんかもしてみたんですけど、みんな音の違いには気づかなかったですね。
──今回のアップデートで、レシーバー側にインプット端子が付きました。
これもすごく便利で、画期的ではないでしょうか。ワイヤレスを使わずにシールドを直接つなぐことができるので、ワイヤレスを使う場合でも、使わない場合でも、同じ内容のボードで済みます。チューナーが付いているのも便利ですよね。ミュート・スイッチとしても使えるし、チューナーとしての精度もとても良かったです。現場ですぐ使えるという印象でした。
──そのほか設計面で気づいた点は?
レシーバーは電源としてDC9Vが使えるのが便利ですね。エフェクターと同じパワー・サプライが使えますから、ボードの中のチューナーと置き換えればワイヤレス・システムが完結します。サイズ感も良くて、重量感も適度で安心感がありますね。
──トランスミッターの電池性能が向上し、17時間の連続使用が可能になりました。
そんなに長い時間は必要ないと思う人もいるのかもしれませんが、プロの現場だとこれくらいの時間がほしいですね。ギタリストが現場入りする前からギター・テックが機材のチェックをすることもあり、それからリハーサルを長時間やって、お客さんを入れて、そのあとに本番……という形になるので、楽器が現場に到着してから本番が終わるまで、かなり長時間になります。リハと本番だけ使おうと思っても、何かのミスでトランスミッターの電源が入ったままになってしまうかもしれないし、そういう場合でも17時間使えれば十分ですね。
宅録のときにもワイヤレスはお薦め。
──どんな人にお薦めしますか?
ライブでステージングを自由にしたい人にはお薦めしたいです。サポートで入るコンサートでも、ギターは前に出ることが多いんですよ。ドラムやキーボードは動けないので、バンドの中で演出的に動きやすいのはギターですから、自由に動き回れると演出の幅が広がると思います。足下からケーブルがなくなってスッキリするので、演奏に集中できるのも良いポイントですよね。
──基本的にはライブ専用機でしょうか?
いえ、ライブをやらなくても、宅録をしている人にもワイヤレスはお薦めですよ。自宅で録音をしていると部屋の中がケーブルだらけになってしまいますが、ワイヤレスを使うと驚くほど快適になります。今回のGLX-D6+は、レコーディングされた音としてもシールド・ケーブルとの違いがわからないくらいの音質になっていますよ。家のリビングなどでも気軽に弾けるし、ワイヤレスの便利さに慣れてしまうと戻れないかもしれませんね(笑)。
※旧型受信機と新型送信機の組み合わせには互換性がありません。
外園一馬
そとぞの・かずま●1989年、北海道小樽市生まれ。12歳からギターを弾き始め、ビートルズを皮切りにロック、ブルース、ジャズ、ソウル、ファンク、カントリーなど幅広い音楽を吸収する。大学在学中からプロ・キャリアをスタートし、2014年に上京して以降はKinki KidsやDREAMS COME TRUE、坂本真綾など幾多のライブ&レコーディングに参加。