アコースティックエンジニアリングが手がけた“理想の音楽制作を実現する”環境
- 2024/11/25
BOSS / RC-5 & RC-600 & RC-505mkII
魔法の箱、ルーパー。簡単にひとりふた役以上の演奏ができ、ソロ・アーティストにとって強い味方となる。それ以上に、レイヤー・サウンドによる独特のタイム感やハーモニー、そして音像はアンサンブルとも通常の独演とも異なる無二の世界を創り出す。エド・シーランを始め世界中の鬼才たちがその虜となり、もはやループ・ミュージックとも呼ぶべきひとつの音楽スタイルが確立されつつある。そんなルーパーを使ってみたい、もう少し使いこなしたい……という読者のために、シンガーソングライター竹内アンナに登場願おう。3つの用途に分け、代表的なモデルを例にルーパーの使い方をお見せしていく。
初心者向きと言えるのはトラックがひとつのモデル。中でも今回使うRC-5はペダル・スイッチがひとつで操作がシンプル、液晶も付いているのでわかりやすいはずだ。
BOSSのフラッグシップ機であるRC-600。6トラックが用意され、9つのフットスイッチが付いている。XLR端子を含めた充実の入出力に加え、内蔵リズムやエフェクトなども搭載している。
ビートボクサーなどの使用を想定したテーブルトップ・モデル。5トラック備え、システムはRC-600とほぼ共通するが、フェーダーなど手で操作しやすいコントロールが多数備え付けられている。
──今回は普段竹内さんが使っていないものも含め3タイプ紹介してもらいました。改めていかがでしたか?
RC-5は私がルーパーやりたい!と思って一番最初に買ったタイプなので、興味がある人にはすごくいい入り口になると思います。機能が増えるほど考えることも増えますけど、まずはこれで何か重ねてみようってところから始めればいいと思います。ルーパーって難しそうに感じる人が多いと思うけど、意外とそうじゃなくて遊び感覚で始められるものなんです。あと小さいからどこでも持ち運びできて、ちょっとスタジオや友達の家に持っていくこともできます。そういうシンプルさとコンパクトさが魅力かなと思います。
RC-600は初めてでしたけど、視覚的に操作しやすいのがありがたかったです。複数のトラックがあるモデルは、それだけ音楽的に使いこなす難しさもあるけど、使いこなした時の達成感はすごいだろうなって思いました。入出力を含めいろんな機能が充実してるから、1台あればライブ・パフォーマンスが華やかになりそうです。
RC-505mkⅡは普段、私もライブで使用してるRC-505の進化版で、できることが増えててビックリしました。やっぱりテーブルトップの良さって、感覚的に操作できるところだと思います。とりあえず録ってみて、あとからボタンひとつでエフェクトを足せるし、フェーダーがあるのも嬉しいです。画面で見るのと触って操作するのでは全然違うんですよね。ギタリストにはまだあまり馴染みがないタイプでしょうけど、新しく生まれるアイディアがたくさんありそうです。目的の演奏をしたくて使うのもいいですけど、RC-505mkⅡが新しい目的を作ってくれることもあるんじゃないかな。こんなこともできそうとか、インスピレーションの源になってくれそうです。
──RC-505を使い始めたきっかけは?
知り合いのビートボクサーの方が使ってたのを見て、試してみようと思いました。基本的には手で操作する人向けですけど、外部フットスイッチをつなげたり、いくらでもやり方はあるなって。ライブでただ音源を流すんじゃなくて、各トラックを調整したり再生/停止したりしながら、自分でその場の温度感に合わせて楽曲を展開したかったんです。
──ソロ演奏の幅を広げられますよね。
“ひとりだからできない”を“ひとりだからこそできる”に変えられるっていうか。例えば、アコギをループさせればギターを置いてステージの端から端まで走ることもできます(笑)。夢を広げてくれるものだと思います。
──最後に2月発売の新EPのお話も聞かせてください。どんな作品でしょうか?
昨年3ヵ月連続配信をした3曲と新曲2曲を収録しています。新曲のひとつはアコギのスラップをフィーチャーした楽曲で、真似してもらいたいフレーズが散りばめられてますのでぜひ(笑)。それぞれ違ったサウンドの5曲ですけど、“些細な日常を丁寧に切り取る”ことを一貫したテーマにしているので、そういった部分を感じ取ってもらえたら嬉しいなと思います。
アコースティック・ギター・マガジンでは、未来のルーパー使いを発掘すべく、コンテストを開催します。ルーパーの楽しさに触れ、夢中になるきっかけとなれば幸いです。
グランプリ1名の方には、賞品としてBOSS RC-600を進呈します。ルーパーを使ったアレンジの可能性に挑戦してください!
応募フォームや詳細はこちら。
→アコギマガジンWeb
https://acousticguitarmagazine.jp/looper-contest/
本記事は、『アコースティック・ギター・マガジンVol.95』(1/27発売)の特集記事、“未来の表現スタイルをその手に、アコギ弾きのためのルーパー活用術&製品ガイド”を抜粋したものです。特集では基礎知識の解説に加え、Anly、井草聖二、まるやまたつやの実例インタビュー、ReNが最新9モデルを紹介するコーナーも。興味のある方はぜひ本誌もチェックしてみてください。
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価格:オープン
価格:オープン
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竹内アンナ
1998年生まれ、アメリカ・ロサンゼルス出身。5歳で京都へ移住。中学1年生でギターを手に取る。2018年、SXSWへ出演し同年にメジャーデビュー。2020年に1stアルバム『MATOUSIC』を、2022年3月に2ndアルバム『TICKETS』をリリース。2023年2月、5枚目となる新作EP『at FIVE』を発売する。