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- 2024/11/16
Line 6 / Helix Floor
Line 6 Helixシリーズを愛用するトップ・アーティストたちに、その活用法と導入によるベネフィットを披露してもらう本連載。その第20回目は、マキシマム ザ ホルモン2号店“コロナナモレモモ”をはじめ、さまざまなアーティストのライブやレコーディングなどで幅広く活動しているレフティ・ベーシスト、わかざえもんに登場いただく。ライブはもちろん、自宅録音での仕事も多いという彼女は、Helixのサウンド、操作性、拡張性、さらに2022年11月に公開された大型のファームウェア・アップデートのいずれをとっても、そのクオリティに満足しているという。
最新テクノロジーとこれまでLine 6が培ってきたノウハウをすべて投入した“最高のギター・プロセッサー”を実現するべく、6年にも及ぶ開発期間を経て2015年にリリースされたHelixシリーズ。現在までにHelix/HXファミリーを合わせてフロア・タイプ
パワフルなデュアルDSPパワーによるHXモデリング・サウンドは、自然な倍音やコンプレッション感など、名機と言われるアンプやエフェクター独特の特性を余すことなく再現。特に、2022年11月にアップデートされたHelix 3.50ファームウェアでは、IRベースのまったく新しいキャビネット・エンジンによる24種類(ベース用はAmpeg B-15やSVT AVなど4種)の新しいキャビネットが追加され、圧倒的にリアルなサウンドを出力できるようになった。さらに、最大12種類(ベース・キャビネット用)
サウンド面のみならず、Helixシリーズの入出力系統のフレキシブルさもベーシストには注目のポイントだ。Helixには、ひとつのプリセットにつき、アンプ・モデルやエフェクトなどを並べるパスがふたつ用意されており、各パスはシリーズ/パラレルで信号経路を設定することが可能。さらに、それらの出力先をアンプにつなぐ1/4"やライン出力のXLRに設定できるので、パラレル設定で原音とエフェクト音の経路を分けて出力したり、アンプ・シミュレーターのあるなしで出力を分けたりと、レコーディングにおいてもライブにおいても原音やライン音が重視されるベースには重宝する機能を備えている。
自由度の高いエフェクト・ループを活用すれば、“どうしても”というこだわりのエフェクターやプリアンプもHelixのシステムに取り入れることができ、複数のアナログ・エフェクトで巨大なボードを組んだときに発生する可能性のあるパッチ・ケーブルのトラブルなども回避できるとなれば、Helixがもたらす可能性・利便性は無限大だ。
ファームウェアがアップデートされて、
私の成長に合わせて一緒に成長してくれるように感じています。
Helixはここ2年ほど使っています。もともとはアナログのエフェクターで大きなボードを組んでいたんですけど、そのボードが重いっていうのと、エフェクターとエフェクターをつなぐケーブルとかのトラブルが続いた時期があったんです。それで、思い切って自分の足下を全部デジタルにしちゃおうかなと思ったんですよね。HelixはHX Editという無料のアプリを使えばパソコン上で音作りができるので、ちょうど、DTMに力を入れ始めた時期でもあったし、普段パソコンで見ているような画面で音作りができるところがすごいなって思いました。家での作業みたいな感覚で、すごく音作りをしやすいっていうのが第一印象ですね。ライブでも便利で、ちょっと前だとキャビネットを置かないライブもあったので、そういうときはXLRのアウトからキャビとかアンプ・シミュレーターを使ったサウンドを出して、1/4のアウトからキャビネットを通さないラインの音を出して、それを卓のほうで混ぜてもらうっていう使い方をしていました。ライブだけじゃなくて、私は家でベースを録ることが多いので、同じように2系統を録ってミックスするっていう使い方もしています。
サウンドに関しても、イメージにあったカチカチな、いわゆるデジタル感みたいなことには全然ならなかったし、私が食わず嫌いしていた時期のデジタルとは全然違ったなっていう印象ですね。今はサウンドの中心がHelixで、場合によってセンド/リターンに好きなプリアンプやお気に入りの歪みエフェクターを組み込んだりもします。そうやってつないだエフェクターも、Helixで切り替えをアサインしておけば、かけたりかけなかったりもできますし、すごく便利に使っていますね。Helix内の基本的な音作りとしては、EQ(10 Band Graphic)、コンプ(Rochester Comp)、歪み(Obsidian 7000)、アンプ・シミュレーター(Ampeg B-15 NF)を使っています。Obsidian 7000は特にお気に入りで基本の音として常にかかっていて、今回のデモ演奏だとさらに歪ませるためにもうひとつ追加で入れました。アンプは実機も所有しているB-15Nのヘッドとキャビネットですね。B-15Nのシミュレーターはすごく特徴を捉えていて、B-15Nってこういう音だよねっていうのをかなり再現できていると思います。
今回、ファームウェアがアップデートされて3.50になって、キャビのエンジンがまったく新しくなったそうなんです。今回のデモ演奏では、その新しくなったキャビネットを使いました。今まで使っていたB-15のキャビネットは、ちょっとしたモワッと感が消えないなっていうところがあったんですけど、新しいものはその部分をうまく克服して、さらにリアルになったんじゃないかなと思います。新しいシステムのキャビはベース用は4つが追加されていて、あとは12種類あるマイクの位置や角度も変えられるので、音作りでさらに追い込めるんじゃないかな。アップデートで新しいエフェクターも追加されて、今回のデモ演奏では早速新しいオクターバーのBoctaverを使ってみたんですけど、こうやってバージョンアップで新しいエフェクターが増えたり、DSP消費量をグッと抑えられるようになったりとか、私の成長に合わせて一緒に成長してくれるように感じていて、これからのバージョンもすごく楽しみだなって思っています。
今回のデモ演奏では、手前の段のフットスイッチを“スナップショット・モード”、奥の段を“ストンプ・モード”にして使いました。スナップショットのほうには、ひとつ目の音が素の音、ふたつ目にコーラスとフランジャーをかけ合わせたスペイシーな音、3つ目にオクターバー、4つ目にディストーションっていう風にアサインしています。ストンプ・モードの段には、デモ演奏では使わなかったんですけど、その都度自分が使いたい音、例えばトレモロとかを、フット・スイッチを押し続けている間だけエフェクトがオンになるような“Momentary”機能でアサインしたりしています。フットスイッチのLEDの色も自由に変えられるので、私は自分のイメージで空間系は青、ピッチ系は紫みたいにして、視覚的にパッと見てわかりやすいようにしていますね。ライブ中にとっさに踏み替えをしなくちゃいけない時もあるので、すごく便利です。
Helixを使い始めたことで、試してみたい音色とか、“こういう音作りにしたら自分のベースだとどんな音がするんだろう”みたいなものをその場ですぐに試すことができたりとか、自分の表現の幅が広がっていくっていうのがありますね。あとは、家でレコーディングしたときに作り込んだ音をそのままちゃんと現場に持っていけるので、“家で聴いてきた感じと今日のリハの音が違うな”みたいなことがなくて、いつでも自分の音が出せるっていうのが利点だと思います。重たいボードをゴロゴロするのも大変だし、このコンパクトさで自分の思う音が出せるっていうのがすごく魅力ですね。
わかざえもん「このコンパクトさで、どこでも自分の音が出せるし表現の幅が広がる。だから、Helix」
価格:オープン
わかざえもん
1997年9月29日生まれ。中学3年でベースを手にし、17歳よりサポート活動を開始。これまでに片平里菜、河村隆一、ずっと真夜中でいいのに。、つるの剛士などの活動に関わる。2019年5月にはマキシマム ザ ホルモンが行なったバンド・フランチャイズ化、コロナナモレモモ(マキシマム ザ ホルモン2号店)のベースにも抜擢。また、自身のYouTubeチャンネルにて公開した演奏動画も話題を呼んでいる。