AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
Markbass / Little Mark IV
小型軽量なベース・アンプでアンプ界に新たな潮流をもたらしたMarkbass(マークベース)が、2021年にブランド創立20周年を迎え、同社の人気アンプ・ヘッド・シリーズ“Little Mark”の最新機となる“Little Mark IV”をリリースした。現在ではアンプのほか、ベース本体、ペダル型プリアンプ、弦と多種多様な製品ラインナップを展開し、ベース・シーンの中核を担う同社の最新モデルの実力を、マークベース・ユーザーであり、ソロ・アーティストとして活動するほか、ももいろクローバーZやYOASOBIのベーシストとしても注目を集めるやまもとひかるのレビューとともにお届けしよう。
小型ベース・アンプ・ヘッドの先駆けとして、世界各国のトップ・ベーシストから愛され続けるマークベース。同社の人気アンプ・ヘッド・シリーズ“Little Mark”の最新モデルとして登場したLittle Mark IVは、現代音楽における流動的なトレンドやプレイヤー・ニーズを昇華し、ブランドの持つ20年の歴史から導き出された音色・操作性を持ち合わせた最新型のフラッグシップ・モデルだ。
同社のベース・アンプの特徴でもある、ロー、ミッド・ロー、ミッド・ハイ、ハイから成る4バンドEQは効果や帯域が見直され、中心周波数は低いほうから68Hz、360Hz、800Hz、10kHzに。幅広い音楽ジャンルとプレイ・スタイルに的確に対応できるようブラッシュアップが施されているほか、従来モデルにはなかったミュート機能をフロント・パネル左上の専用プッシュ・スイッチに設けるなど、機能面も拡充されている。Little Markシリーズをはじめ、従来モデルの多くに搭載されていたVLE(ヴィンテージ・ラウドスピーカー・エミュレーター)とVPF(バリアブル・プリシェープ・フィルター)は、それぞれ“OLD SCHOOL”と、ロータリー・スイッチでの切り替えによる“scooped-mid”に置き換えられており、3ウェイのロータリー・スイッチはscooped-midのほか、バランスのとれた“flat”、オプションのデュアル・フット・スイッチを使用し、ミュートとscooped-midを即座に切り替えできる“FSW”を搭載するなど、より直感的な音作りを可能にするとともに、操作性も向上している。
リア・パネルにはエフェクト・センド/リターン、チューナー・アウト、プリ/ポスト切り替えとグラウンド/リフトを備えたXLRバランス出力の各端子が装備されており、従来モデルと同様に、録音時などに効果を発揮する充実した入出力端子が設けられている。出力は最大500W/4Ωと、数値上は先代機と遜色ないが、独自開発されたクラスD方式のMPT(Mark Proprietary Technology)パワーアンプにより、同社のアンプの特徴でもある、楽器本来の音色を損なうことなくリアルな低域再生を可能にしている。パワーアンプ・セクション内部に採用された新設計のBI-BAND LIMITERは、従来のリミッターと比較し、速く、ダイナミックなレスポンスが特徴で、ハイエンドかつ自然なサウンドを生み出す。素早くダイナミックに演奏に追従することで、大音量時でも頭打ち感のない自然なアタックを演出してくれる。また、これだけの機能を幅276mm/奥行250mm/高さ83mm/重量2.45kgというコンパクトな筐体に凝縮している点はマークベースの御家芸とも言うべきもので、さすがのひと言だ。
私は普段からマークベースを使っているのですが、私が使っているアトリエZのベースともすごく相性がいいんです。私のベースはアクティヴのレンジが広くて輪郭もくっきりした音で、マークベースは原音をクリアなまま太くしてくれるというか、ちょっと足らないなと思うところを的確に補ってくれるイメージ。ミドルの密度をキュッと上げてくれます。
Little Mark Ⅳを使ってみて、マークベースらしさや、私の好きな部分がちゃんと継承されているなと感じました。そのなかでフロント・パネルにミュート・スイッチが搭載されたところとか、今までの“VPF”と“VLE”のツマミが新たに“OLD SCHOOL”と、スイッチ切り替えによる“scooped-mid”に振り分けられていたりと、使いやすくもなりましたね。OLD SCHOOLは上のトレブリーな帯域がカットされるイメージで、丸く柔らかい、雰囲気のあるモコモコした音が作れます。scooped-midはその名のとおり、ミッドをカットして一気にドンシャリな音が作れます。スラップのときとかに使えば、派手な映える音になりますね。フットスイッチでscooped-midとミュートを足下で切り替えられるのも便利な機能です。
新しく搭載されたBI-BAND LIMITERはアタック感やパンチ感がしっかり出せるけど、決して潰れている感じはなく、パキッとかかる印象です。4バンドEQの効きも良くて、クセもないからすごく使いやすい。ベースの音をそのまま素直に表現してくれるイメージです。ミッドがローとハイに分かれているので、より細かく音を作り込める点もいいですね。個人的にはミッド・ローとミッド・ハイをブーストしつつ、scooped-midを入れた音が好みでした。アンプ自体でもしっかり色をつけられるので、足下で作った音をさらにより良くしたいときに微調整がしやすいし、とにかく使い勝手がいいアンプだと思います。
バック・パネルにはセンド/リターンのほか、プリ/ポストEQ、グラウンド/リフト・スイッチもついているので、宅録のときとか、私のようにライヴでDIを使わずにアンプからPAさんに直接信号を送るようなプレイヤーにも効果的ですね。あと、小型かつ軽量なのも嬉しいポイント。電車とかの移動で機材を持ち運びたいプレイヤーにもお薦めできます。
価格:¥104,500 (税込)
やまもとひかる
14歳でベースを始め、動画サイトへのベース演奏動画の投稿をきっかけに、高い演奏テクニックが国内外から注目を集める。2019年にはキタニタツヤが書き下ろした楽曲「DOGMA」にてベース&ヴォーカリストとしてソロ・デビューも果たす。2021年2月には自身初の書下ろし楽曲「NOISE」を発表。2022年5月13日には4thデジタル・シングル「ツキカケラ」をリリースしている。アーティスト活動の傍ら、YOASOBIを始めとするサポート・プレイヤーとしても活躍中。