Positive Grid Spark LIVE meets Toshiki Soejima & Naho Kimama
- 2024/12/13
Universal Audio / UAFX Dream '65 Reverb Amplifier
ユニバーサル・オーディオの圧倒的な技術力が注ぎ込まれたギター・ペダル=UAFXシリーズから、期待大のアンプ・シミュレーターが発売された。数々のレジェンドたちに愛された“あのトーン”をモデリングしたという触れ込みだが、一体どんな実力の持ち主なのか? 試奏者に山岸竜之介を迎え、2ヵ月連続で探っていく。前編は宅録などでの使用を想定し、ライン録音&モニター・スピーカーから出力した山岸のインプレッションをお届け!
ブラック・フェイス期の忠実な再現!
ナチュラル度満点のアンプ・シミュレーター
待望のアンプ・シミュレーターが登場だ。筐体ロゴのデザインからイメージが付くと思うが、本機は60年代半ばの“ブラック・フェイス”期のコンボ・アンプを忠実にエミュレートした機種。ユニバーサル・オーディオの高度なモデリング技術で、ボリューム・アップさせると自然に歪んでいくあの挙動も極めてナチュラルに再現している。
ボリュームやブースト、2バンドEQなどシンプルなコントロール類は“直感派”にも嬉しいレイアウトだが、MODとスピーカーのタイプ切り替えスイッチが特筆すべきポイントだ。スピーカー・タイプはそれぞれ、GB25=ビンテージのCelestion Greenback、OXFORD=Oxford 12K5-6、EV12=Electro-Voice EVM12Lという設定で、本器をアプリ(UAFX Control)に登録すれば、さらに3つのタイプが無料で追加可能。オリジナル・アンプのカスタマイズをモデリングしたというMODの種類はLEAD/STOCK/D-TEXの3つで、BOOSTノブを上げることで音色が変化する。例えばLEADならツマミ10時〜12時でミドルが加わり、12時以降はパワー・アンプの出力補正といった具合で、各モードにセッティングがある。また、甘いトレモロとスプリング・リバーブも本機の醍醐味であり、それらと各スイッチとの組み合わせを種々試せば、サウンドメイクの幅はかなり広いだろう。すでに巷では熱い視線を注がれている本機。2020年代の名機となる日も近いか?
“やっぱり実機のアンプだよね!”
という方にもオススメしたいです。
──試奏してみて、このペダルの第一印象を教えて下さい。
まず、この操作性がシンプルで良いですね。初めて触っても、すぐに自分の出したいサウンドにアクセスできる感じが好きです。
──今回は宅録などでの使用を想定し、本機のアウトプットからDIを通ってミキサーにつないで、モニター・スピーカーから出力してもらいました。音の印象はいかがでしたか?
小さいアンプのスピーカーから出力した音をマイク録りしたような感じがありますね。良い意味でコンプ感がなくて、強弱もちゃんと作れるのでミスったらバレるけど、上手かったらちゃんと上手いと思われる。だから素直なペダルなんだなと。
──ライン出力でしたが、サウンドに迫力があって、リアルな印象を受けました。
クリーンが特に良い音でしたね。良いスタジオで録音したような感じというか。宅録でも十分に使えそうですし、ライブでも全然いけますよ。
──ブラック・フェイス期のアンプをモデリングしたペダルですが、再現性はどう感じましたか?
ベースとなったアンプの実機を弾いた経験は少ないんですけど、僕の頭の中のイメージで鳴っている“スプリング・リバーブ感”と凄く似ている感じがします。あとVOLUMEツマミを上げることによって歪むところも。実機のキャビネットとスピーカーから鳴っている音とは、どうしても違いがあるものですが、例えば1日かけて研究していけば、より実機の音に近づけられる気がします。
──歪みやリバーブのサウンドはどうでしたか?
コードで“ジャーン!”と弾くのにピッタリなんじゃないでしょうか。リバーブもスプリングということで、コード弾きと相性が良い気がしますね。普段、僕はデジタル・リバーブを使うことが多いのですが、良い意味でこのコントロール不能な感じの響きが面白かったです。何だか懐かしく、実家に帰ってきたような気持ちになりました(笑)。
──スピーカー・タイプの切り替えスイッチは、GB25とOXFORDのモードを試していましたね。
ユニバーサル・オーディオはスピーカーの再現性が高いと思うんですよ。今回弾いたGB25も“グリーンバックってこういう音だよな!”っていうイメージどおりのサウンドでした。あらかじめ調整された良い音を選択できるので、凄く使いやすい。
──なるほど。
あとはレコーディングでも便利ですね。アンプでレコーディングをしていて、ブースで100点の音を作っても、マイクを通した音をコントロール・ルームで聴くと、ローやハイの音域が違う印象を受けることがあるんです。でも、これだとコントロール・ルームで録音も調整もできるし、スピーカーやヘッドフォンから出ている音がそのまま録れるわけですよね。そのあたりは実機より便利だと思います。
──最後に、どんなプレイヤーにオススメしたいですか?
DTMをしている人にはもちろんですが、“やっぱり実機のアンプだよね!”という方にもオススメしたいですね。これをライブに持って行ってPAに送れば、家でヘッドフォンを通して作った音が鳴るわけです。あとライブでよくある悩みとして、会場に置いてある真空管がヘタったアンプに歪みエフェクターを突っ込むと、どうしても音のクオリティを保てない場合があるんですよね。そういう時にこれをアンプのセンド/リターンにつないだら、便利に音作りができると思います。その点、僕はこういうテクノロジー推しですね。ブルース・ロックが好きで、かつては”アンプが鳴っていないと!”派でしたが、テクノロジーに切り替えた人間なんです(笑)。本機がそのきっかけになる1台になればと良いなと思いますね。
──アンプのセンド/リターンにつないだサウンドについては、次回の後編で聞かせて下さい! 今日はありがとうございました。
価格:オープン
山岸竜之介
やまぎし・りゅうのすけ◎2013年にムッシュかまやつ(g)、KenKen(b)と共にLIFE IS GROOVEを結成。自身の楽曲の作詞・作曲は山岸自身が行なう。ジャズ・ピアニストの小曽根真と共演し、レコーディングに参加。また、ギタリスト/アレンジャー/プロデューサーとして、様々なアーティストのレコーディング、ライブに参加するなど幅広く活躍中。