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- 2024/11/16
Fender / Acoustasonic Player Telecaster
2019年の登場以来、プロ/アマ問わず多くのギタリストの話題に上がったのが、フェンダーが打ち出したハイブリッド・ギター、“アコスタソニック・シリーズ”だ。エレクトリックからアコースティックまで幅広いサウンドが得られる斬新なモデルだが、2021年、よりリーズナブルなモデル“Acoustasonic Player Telecaster”がラインナップ! このモデルの真価を吟味すべく、Awesome City Clubのatagiとモリシーが本器をレビュー。(動画の公開は終了しました)
手軽さと本格仕様を合わせ持った
“アコスタ”シリーズのニュー・モデル
話題沸騰のフェンダー・アコスタソニック・シリーズに、よりライトな仕様に適したリーズナブルなモデル、アコスタソニック・プレイヤー・テレキャスターが加わった。フォルムのほか、ウォーターフォール・サウンドホールやコンター加工といった基本的な構造はアメリカン・アコスタソニック・テレキャスターを踏襲しているものの、変更点がいくつかある。まず、指板はエボニーからローズウッドへ、ピックアップの駆動はUSB充電式から9Vバッテリーへ。そして、ピックアップがN4 Noiseless™とアンダーサドル・ピエゾの2つに、また、ボイス・セレクターが3ウェイになるなど、シンプルさと直感的な操作性を追求した。
そのN4 Noiseless™ピックアップはハム・ノイズを抑えてフェンダーのオーセンティックなエレクトリック・トーンを実現し、一方のアンダーサドル・ピエゾはホロウ・ボディと相まって十分な音量と温かく豊かなアコースティック・トーンを提供……それぞれが十分に成り立つ仕組みなのだが、3ポジションとブレンド・ノブの組み合わせによって、エレクトリックとアコースティックの幅広いトーンを奏でられるという点はアコスタソニック・シリーズならでは(コントロール図解参照)。
自宅での爪弾きから、ステージ・パフォーマンス、そしてレコーディングなど、あらゆるシチュエーションで、ジャンルを問わずに使用できる。弾き手をインスパイアしてやまない、夢のギターだ。
歪みペダルを踏んでも問題ないほど
“エレキの音”がする。
──モリシー
──手に取った時の第一印象はどうでしたか?
atagi 僕は初めて触りましたが、塗装の質感が僕らの持っているギターとは違いますね。薄いんですよ。木の質感そのままというか。手に吸い付く感じや温度感が良いなぁと。
モリシー このマットな感じが良いんだよね。
atagi うん、サラっとしている。
──モリシーさんはどう感じました?
モリシー アコギのようなゴツい感触がないから、弾いていてストレスがないんですよね。そこが一番好き。初心者の人にも良いと思いますよ。
atagi 確かに。これはエレキ弦を張っても大丈夫なんですよね。だから、もしアコギ弦で押さえるのが辛いって人がいたら、エレキ弦を張れば楽になるんじゃないかな。あと、このボディの軽さだよね。
モリシー 軽い。片手で全然持てますよ。
──ルックスはいかがでしょうか?
atagi カワイイですねー。めちゃくちゃカワイイ。
モリシー フィニッシュが独特だし、1つ1つが個性的ですね。弾いててテンションが上がりますよ。
atagi ほかのカラー・バリエーションも見させてもらいましたが、ちょっと尖ったモダンっぽいものもあれば、レトロな印象のものもありますよね。何かしらは自分好みのカラーが見つかりそうだなと。
モリシー 確かに。その色、似合ってるね(※atagiが試奏した個体のカラーはバタースコッチ・ブロンド)。今日の服装にも合ってる(笑)。
atagi (笑)。
モリシー 僕はウッディな感じが好きなので、パッと見た時にコッチだなと思いました(※モリシーが試奏したのはシャドウ・バースト)。
atagi そうね。今日は現場に着いたらこの2本が置いてありましたけど、シャドウ・バーストのほうはモリシーだなと。
──アコスタソニックは例えば家にいる時、生音で弾いても楽しいと思います。生音のサウンドはどんな印象でしたか?
モリシー まず音量ですが、アパート住まいの人がジャカジャカ弾いてても苦情は来なそうかな。でも“弾いてる!”って感じはあるから、生音でも楽しめますよ。あとは録音する場合、マイクで生音を録っても面白いかも。ラインの音も出しつつ、エアでマイクを立ててやったりとか。僕も家ではそういう録り方をしているんですよ。
atagi へ~そうなんだ。自分は普通のアコギよりも細やかな音がする印象でした。そういう繊細なプレイをしたい人、聴きたい人もいると思うから、そこにも合いますよね。
──音色を選択できるボイス・セレクターは3ウェイですが、各サウンドはどうでしたか?
atagi こんなことを言うと怒られるかもしれないけど……(笑)、最初はアコスタソニックをアコギとエレキの中間的な位置付けだと思っていたんです。で、最初にアコギの音を出したら、思っていたよりリッチな音がするんだなと。しかも、ギター・アンプにつないでもそういう音が出るのが面白くって。
モリシー うん、そうだね。僕もアコギにした時の音がすごく気持ち良かったです。で、そこからエレキの音に切り替えた時の違和感がなく、ビックリしました。何だろうな、歪みペダルを踏んでもまったく問題ないくらい“エレキの音”がしている。さらにボイス・セレクターをイジると良い塩梅の音を作れるから、自分だけのサウンドを探せますよね。アコギとエレキが両方鳴っている曲、っていうイメージで弾きたい時にもピッタリです。色々と新しい音を作れるから、まだまだ研究していきたいですね。
atagi 僕はボイス・セレクターをセンターにした時に発見をしたんですけど、アンプのリバーブとの相性がめちゃくちゃ良いんです。アコギとエレキのブレンド加減を半分くらいに設定したんだけど、そうするとエレキのパリッとしたプレゼンスの音域がリバーブと相性抜群で。エレキのみ、アコギのみでは絶対に出せない音になったと。これ、ぜひ使って下さい(笑)。
──モリシーさんはUSA製のアコスタソニック・ジャズマスターを持っていますよね。そちらはボイス・セレクターが5ウェイだったり、ピックアップにコンタクト・マイクを搭載しています。今回のテレキャスターは逆に機能が絞られていますが、どのような違いを感じましたか?
モリシー アコスタソニック・ジャズマスターのほうは、リアルを追求しているというか……アコギのピックアップの種類も2つあるから、使い勝手が良いんですね。逆にこっちは機能が絞られている分、選択肢が少ないから“正解”が見つかりやすい。もし勢いよく弾こうとなれば、テレのほうがすぐに良い音が出せるし、迷わないかな。あとは家で何か思い付いて、すぐに録ろうってなった時にも便利だし、ライブでもハコに置いてあるアンプでやる時には良いですね。もちろん、ジャズマスには迷う楽しみがあるので、用途によって使い分ける感じですかね。
何年か後には、アコスタソニックが
当たり前のものになっているかも。
──atagi
──革新的なコンセプトを打ち出したアコスタソニックというギターからは、フェンダーの強い野心がうかがえます。そういう姿勢でモノを作ることに関して、ミュージシャンとして感じることはありますか?
atagi フェンダーって、もともとそういう姿勢だったわけですよね。それまでセット・ネックだったギターをボルト・オンにしたり、大胆なことをやってきて、それがスタンダードになっていくという。だから、ギター・メーカーらしくて良いなって感じがします。
モリシー 楽器を弾く人間からすると、アグレッシブにモノ作りをしている姿勢に共感しますね。“ギターの音はもう出尽くしている”って言われたりもしますが、こういうギターを見るとまだまだ新しい音があると感じます。音を追求する野心、みたいな。ミュージシャン側もインスピレーションが湧きますね。
atagi 確かに、アコスタソニックは相当振り切りましたよね(笑)。でも、ドンドン浸透してきているのは肌で感じるし、モリシーはもちろん、ほかのアーティストさんが現場で使っているのも見かけます。今は思い切った取り組みだと思われているけど、何年か後には当たり前のものになっているんだろうなって気がしますね。
モリシー アコギとエレキの垣根がなくなったらすごいことですよね。“アコースティック・ギターって何?”と言われてしまうかもしれない(笑)。
──最後に、このギターの魅力をひと言ずつお願いします。
モリシー 本当に良いギターなのでぜひ手にとってみてください、ってことが一番ですね。
atagi 一緒に持って、どこかへ旅に出たくなるギターなのかもしれないね。
モリシー ああ~良いね。軽いし、音も最高ですから。良い相棒になると思います。
価格:¥187,000 (税込)
atagi & モリシー
atagi、モリシー、PORINからなる3人組グループ、Awesome City Clubのメンバー。2013年に結成。ポップス、ロック、ソウル、R&B、ダンス・ミュージックなど、メンバー自身の幅広いルーツをミックスした音楽性で活動中。2022年3月9日には4枚目のフル・アルバム『Get Set』をリリース。