AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
Fender / Acoustic
5月6日発売のアコースティック・ギター・マガジン別冊ムック『はじめましてのアコギ弾き語りブック』連動特集をお届けしよう。これからアコギを始めたい、弾き語りがウマくなりたい……そんな初心者にピッタリな、低価格帯のフェンダー製アコースティック・ギターを7モデル厳選! シンガーソングライター/ギタリストのReiを招いて、その実力を検証してみよう。
フェンダー・オリジナルの抱え込みやすいニューポーター・シェイプが採用されたモデル。トップは単板のスプルースで豊かな音量を生む。写真のアイス・ブルー・サテンに加え、カラーも6種類がラインナップ。フェンダー伝統のマッチング・ヘッド&片側6連のペグ・レイアウトも美しい。カッタウェイもあり、高い演奏性も魅力だ。
【Specifications】●トップ:シトカ・スプルース単板 ●サイド&バック:マホガニー ●ネック:マホガニー ●指板&ブリッジ:ウォルナット ●スケール:650mm ●指板幅:43mm ●ピックアップ:フィッシュマン ●価格:56,100円(税抜価格:51,000円)
私が使っているニューポーターの現代版ということですよね。マッチング・ヘッドとペグのレイアウトがフェンダーらしいデザインで好きです。コードを弾いても、音の歯切れがいいですね。空ピックのニュアンスもよく出るので、パーカッシブなフレーズを弾きたい時に似合う音色です。
スモール・ボディ・シェイプ&ショート・スケールが特徴のマリブ・プレイヤー。こちらもトップは、ソリッドのスプルース。サイド&バックはマホガニーが採用されている。写真はアークティック・ゴールドだが、6タイプのフィニッシュがある。チューナー内蔵のフィッシュマン製ピックアップも付き、幅広いユーザーにオススメ。
【Specifications】●トップ:シトカ・スプルース単板 ●サイド&バック:マホガニー ●ネック:マホガニー ●指板&ブリッジ:ウォルナット ●スケール:612mm ●指板幅:43mm ●ピックアップ:フィッシュマン ●価格:56,100円(税抜価格:51,000円)
小さなボディだとミッド・レンジがもの足りないギターもありますが、このサイズでリッチな音が鳴ることに驚きました。フィニッシュも、フェンダーらしくて好感が持てます。それからピックアップを通した音も、すごく使いやすいと思いました。演奏の細かなニュアンスもきっちり拾ってくれます。ライブでも使えるモデルです。
カッタウェイが付いたドレッドノート・シェイプが採用されたレドンド。単板のシトカ・スプルース・トップ、マホガニー・サイド&バックの組み合わせで作られたボディからは、レンジの広い豊かな音色が得られる。またグラフテック製のナットが使われ、サステインも長い。ピックアップも付き、汎用性に優れたギターと言える。
【Specifications】●トップ:シトカ・スプルース単板 ●サイド&バック:マホガニー ●ネック:マホガニー ●指板&ブリッジ:ウォルナット ●スケール:650mm ●指板幅:43mm ●ピックアップ:フィッシュマン ●価格:56,100円(税抜価格:51,000円)
大きなボディということもあり、鳴りが豊かでとても迫力のあるサウンドですね。マホガニー・サイド&バックの影響か、音が柔らかく温かみが感じられます。ハイポジションでソロを弾くことも多いので、カッタウェイが付いていると、とても弾きやすいですね。ソロも歌の伴奏も弾きたい方には、とてもオススメのモデルです。
求めやすい価格ながらソリッド・スプルースがトップに使われ、コストパフォーマンスに優れたスタンダードなドレッドノート・モデル。ウォルナットが使われた指板は、エッジが滑らかに加工された“イージー・トゥ・プレイ”と呼ばれる仕様で、握りやすくポジション・チェンジもスムーズに行なえ、高い演奏性を確保している。
【Specifications】●トップ:スプルース単板 ●サイド&バック:マホガニー ●ネック:マホガニー ●指板&ブリッジ:ウォルナット ●スケール:643mm ●指板幅:43mm ●価格:33,660円(税抜価格:30,600円)
倍音も感じられて、立ち上がりも早く、バランスの良いモデルですね。トラディショナルなルックスですが、自分が思い描いているフェンダーらしい音が鳴っています。音に少しコンプが乗ったというか塊になって飛ぶ感じで、バンド・サウンドにもよく馴染むはず。初心者の方には、ギターが楽しく感じられる音だと思います。
ドレッドノートよりも小ぶりなコンサート・サイズのボディ・シェイプで、抱えやすく弾きやすいため、初心者にもオススメのモデル。トップはスプルース単板。サイド&バックはマホガニーという組み合わせ。ネックはマホガニー製で、スケールは約643mmとなる。ほど良いテンション感で、指板エッジの加工も含め演奏性も高い。
【Specifications】●トップ:スプルース単板 ●サイド&バック:マホガニー ●ネック:マホガニー ●指板&ブリッジ:ウォルナット ●スケール:643mm ●指板幅:43mm ●価格:33,660円(税抜価格:30,600円)
ドレットノート・モデルよりも、音域が高いほうにシフトしていますね。それが良さでもあり、単音で弾いた際には際立つことがあると思います。曲によっては、低域がスッキリしていたほうが良いこともあるので、この音が欲しくなる場面があるはずです。カポをハイフレットに付けても、音詰まりすることなく演奏できました。
約612mmスケールと子どもや女性でも演奏しやすく、小ぶりで持ち運びに便利なパーラー・サイズのギター。今回試奏したモデルは、マホガニー・トップ、マホガニー・サイド&バックという仕様だが、スプルース・トップもラインナップしている。フェンダー・オリジナル・デザインのヘッド、さらにブリッジが個性を高めている。
【Specifications】●トップ:マホガニーorスプルース ●サイド&バック:マホガニー ●ネック:ナトー ●指板&ブリッジ:ウォルナット ●スケール:612mm ●指板幅:43mm ●価格:27,500円(税抜価格:25,000円)
小さいボディですが、クオリティが高いですね。マホガニー・トップということもあって、音に温かさを感じます。このモデルにしか出せない音があると思います。レコーディングとかにも使えそうです。これで南国的なイメージの明るい曲を弾いてみたい。サイズ感も良くて弾きやすく、ドライブに一緒に連れて行きたいですね。
トラベル・ギターと呼べるほど、小さなボディが印象的なレドンド・ミニ。スケールは約578mmとかなり短く、子どもでも弾きやすい。このサイズながら、レギュラー・チューニングで演奏でき、音量もしっかりと出る。スプルース・トップ、マホガニーのサイド&バックと本格的な仕様で、フェンダーらしいデザインも嬉しい。
【Specifications】●トップ:スプルース ●サイド&バック:マホガニー ●ネック:ナトー ●指板&ブリッジ:ウォルナット ●スケール:578mm ●指板幅:43mm ●価格:27,500円(税抜価格:25,000円)
作りが良くて、プロの方がツアー先で運指を確かめるために使ったり、作曲の時にも手軽に手に取れるギターとして役立ちそうです。十分な音量は出ますが、フルサイズほどではないので、あまり音が鳴らせない環境の方にもオススメです。このサイズ感は、まさにどこにでも持っていけるアコギの魅力が詰まっていると思います。
私はフェンダーの“ニューポーター”という、1967年製のギターを使っていますが、ほかのメーカーと一線を画すような流儀がアコギ作りにもあると感じています。それが新しいモデルにも表われています。それにどのモデルも、ビギナーに最適なラインナップだと思いました。
多くのユーザーが満足できるバーサタイルなラインナップですし、初心者だけでなくプロが現場で使っても使えるだけの良さを感じることができました。特にピックアップを通した音色や音圧感は、さすが長年多くの人に愛されるエレクトリック・ギターを作り続けてきたブランドだな、というこだわりが感じられました。
最初に手にした楽器の音像や弾き心地は、長く影響されると思いますので、楽器作りを理解しているブランドのギターを1本目に手にすることは、ある意味で正解だと思います。それにフェンダーはいい意味で、神経質にならずに扱えるタフな作りの楽器。そういった点も、初心者の方に安心してオススメできる点ですね。手軽に持ち運んで、みんなで楽しんで弾けるギターだと思います。
あと普段エレクトリック・ギターをメインで弾く方でも、ナットの幅やネック・グリップが握りやすいので、違和感なく移行できると思います。ワンステージでエレキもアコギも弾く人には、とても使いやすいはず。個人的には、マホガニー・トップのソノラン・ミニがカワイイと思いましたが、どのモデルにもフェンダー社の歴史と風土が感じられました。
本記事は、2022年5月6日発売の『はじめましてのアコギ弾き語りブック』にも掲載されています。これからアコギを始めたい、弾き語りがウマくなりたい、そんなビギナーのためのアコースティック・ギター・マガジン別冊ムックです。大石昌良、崎山蒼志、ひとみ(あたらよ)、森山直太朗、川崎鷹也、片平里菜、須田亜香里(SKE48)への取材、ポイントを厳選した弾き方講座、オススメのモデル紹介、15曲の弾き語りスコア集を掲載しています。スコア集は一般的な譜面と違い、原曲の良さを生かしながら、初心者が押さえやすいコード・フォームを選んであります。楽しんで弾けるようになるコツを凝縮しているので、ぜひ本書を片手にアコギ・ライフを楽しんでください!
Rei
シンガーソングライター/ギタリスト。幼少期をNYで過ごし、4歳よりクラシック・ギターを始め、5歳でブルーズに出会い、ジャンルを超えた独自の音楽を作り始める。2015年、長岡亮介(ペトロールズ)を共同プロデュースに迎え、1st ミニ・アルバム『BLU』をリリースし、国内外のフェスに多数出演。2021年には1st『REI』のInternational Editionが、US/Verve Forecast レーベルより全世界配信。2022年4月に細野晴臣や藤原さくらを含む、コラボレーション・アルバム『QUILT』をリリースしたばかり。