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- 2024/11/16
バッファ&クリーン・ブースター
エフェクター・ファンのバイブル『THE EFFECTOR book』(シンコーミュージック刊)。最新刊の“Vol.55”の中から「現行“バッファ&クリーン・ブースター”試奏」を紹介します。
ギターからアンプまで続く、ギター信号の長い旅……。ピックアップで生まれた信号は、長いシールド・ケーブルを伝わり、たくさんのエフェクターを搭載した巨大なペダルボードを通過したのち、やっとの思いでアンプの入り口にまでたどり着く。その道中でノイズの侵入と劣化のリスクに晒された結果、エネルギーを失ってすっかり弱々しくなっている、なんてこともしばしば。
それを回避するのがバッファであり、その代用ともなるのがクリーン・ブースターだ。そんなギター・サウンドにおける守護天使を坂本夏樹が分析する!
今なお世界中に多くの愛用者を増やし続けている“EP-Booster”は、その名の通りブースターですが、その太くパワー感のある音色を気に入り、バッファ/プリアンプとして常時オンで使っている方も多いですよね。そんなバッファとしての使用にフォーカスして進化したとも言える同ブランドの“Super Clean”は、そうした人に強くおすすめしたい、明らかなアップデートを感じます。
まず“GAIN”の調整幅が大幅に細分化されたことにより、システムに合わせた最適な音量を簡単に設定できるようになりました。サイドに設置されたDIPスイッチの効きも良いので、楽器を持ち替えた際の音色バランスの維持にもバッチリ。原音にかなり忠実で味付けをほぼ感じることのない音色ですが、真空管アンプが適度に鳴っている時に得られる絶妙なコンプ感が存在するので、これを繋げば、ほかはいつも通りの機材なのに弾きやすくなったと感じる人が大多数でしょう。“EP-Booster”と比べるとブースト量こそ抑えられていますが、+12dBもあればまず不足を感じることはありません。バッファとしてのみならず、原音に忠実な形で音を作り込めるクリーン・ブースターとして活躍することも間違いなしです。
[Specifications]
●コントロール:Gain ●スイッチ:ON/OFF、High Cut/High Mid Boost/Low Mid Boost/Bass Boost、Buffered/True Bypass(内部) ●端子:Input、Output ●サイズ:38mm(W)×92mm(D)×53mm(H) ●電源:006P(9V電池)/9-18VDC ●価格:22,000円(税込) (問)03-3408-6007/PCI Japan
エンプレスのエフェクターは、スタジオ機器に匹敵する音質の高さから、現場では多くのプロ・ミュージシャンたちに愛用されています。本機の仕上がりも、期待を裏切らない高音質な感触。豊かな立体感、解像度の高さ、クリアな輪郭に、一聴して誰もが上質な個性を感じるでしょう。また、そもそものS/N比もかなり良いのですが、ここに搭載されている“NOISE FILTER”が強力。使用する楽器によってはどうしても発生してしまうノイズを完璧に抑えてくれます。この手のフィルターは、最大設定にすると音色が変わってしまうタイプも多いのですが、本機ではまったく気になりません。
そして、そんなクリアでノイズレスな音色を最大限に活かす上では、この音質にシステム全体を内包してしまうのが一番。センド&リターンを搭載してある点に現場の需要をよく把握していると感動しました。また、“BOOST”もとてもクリーンに持ち上がるので、アンプ側で少しだけボリュームを上げたい時にも足下だけで解決できてしまいます。現場で本当に使えるシステムへとたどり着く近道は、本機を基点に構築することかもしれません。すべての機能に即効性があり、音質面の基礎値を確実に底上げしてくれる逸品です。
[Specifications]
●コントロール:Boost、Input Loading ●スイッチ:Boost、Input、Noise Filter ●端子:Guitar In、Amp Out、Loop In、Loop Out、Tuner Out ●サイズ:63.5mm(W)×114.3mm(D)×50.8mm(H) ●電源:9VDC ●価格:19,800円(税込) (問)042-519-6855/アンブレラカンパニー
本機には、レコーディングからステージまでさまざまな最先端ツールを送り出し続けているブランドだからこその設計がうかがえます。現代の音楽環境でいかに役立てられるかをよく考えてあるのでしょう。音色は実にクリーンで原音に忠実ですが、アンサンブルでほかの楽器にかき消されない力強さを兼ね備えています。音色の味付けが力強い機器は響きが中域にまとまりがちですが、本機は適切にマスタリングされたかのようにフラットで広いレンジが特徴。レンジの広いクリーン・トーンを主体にアンサンブルを組みたい時などにも効果的なのでは。2つのトグル・スイッチで方向性を定め、“Z-TONE”ノブによってインピーダンスのマッチングを追い込めば、従来のトーン調整では到達できない、原音そのものと感じるピュアな音色を送り出すこともできます。
しかも、そんな信号をXLR端子で出力できるので、ノイズレスなまま直接インターフェイスやミキサーに送ることも可能な点が素晴らしい。ブースト機能も搭載しているので、もうひと押しが欲しい時にほかにエフェクターを追加する必要はありません。多様化する昨今の出力環境であっても、本機ならば楽器本来の持つ音色を最大限に送り出してくれます。
[Specifications]
●コントロール:Gain、Z-Tone、Boost ●スイッチ:Bypass、Boost、Passive/Active、JFET/Pure、GND Lift ●端子:Input、Main Out、Link、Balanced Out ●サイズ:108mm(W)×120mm(D)×58mm(H) ●電源:006P(9V電池)/9VDC ●価格:25,080円(税込) (問)03-6240-1213/フックアップ
フレデリック・エフェクツは、世界中の楽器好きが血眼になって探しても簡単には入手できないレアな機材の特徴を的確に捉えることに定評があります。そんなブランドが「通すだけで音が良くなる」と評価の高い名機のバッファ部分に的を絞って組み上げたモデルだけに、こだわり方が半端ではありません。ナチュラルで味付けの少なさをうたうバッファであっても、こだわりの強い方であれば微かな変化を感じてしまうこともあるでしょう。しかし、そんな時は逆に本機のような味付けのあるものを楽しむ方が精神衛生に良かったりします。
中低域のパワー感が欲しい場合は“K”がおすすめ。もとになったモデルの特徴に肉薄する太さとはっきりとした輪郭が共存していて、特にシングルコイルPUとの相性が良いように感じました。“C”では全帯域の解像度が増すので、パワー感の強い楽器で演奏してもコードなどに分離の良さが感じられるようになります。この空間の広がり感は、まさにもとになったモデルの特徴そのもの。オリジナル機は誰もが簡単に導入できる機器ではありません。しかし、本機であればそんな2大名機が持つ魅力的な音色を切り替えながら使うというぜいたくが可能です。
[Specifications]
●コントロール:なし ●スイッチ:K/C ●端子:Input、Output ●サイズ:60mm(W)×42mm(D)×30mm(H) ●電源:9VDC ●価格:open price(市場想定税込価格:11,990円前後) (問)info@lep-international.jp/LEP INTERNATIONAL
まずはデザインのインパクトが強力。世の中にはさまざまな意匠をまとったエフェクターが存在しますが、このブランドのモデルだけは一眼で必ずわかりますね。見た目のインパクトだけでもかなりのものですが、プラグインしてみたところ、そのインパクトよりも強烈な音質の良さに、さらなる衝撃を受けました。とにかくクリアでクリーン。ここまでノイズレスな音色をこのサイズのエフェクターで体感できるとは思いもしませんでした。ブラインドだと、S/N比が整えられたラック・システムと聴き分けられないかもしれません。スイッチで切り替えられるギター/ベース、どちらのモードの音色も明瞭で、モード名にとらわれずに気に入った方を選択して一切問題ないでしょう。いずれのモードでもバッファと聞いて誰もがイメージするノイズレスではっきりとした力強い音色を想像以上の高水準で得ることができます。
そして、メーカーHPの本機の商品紹介はぜひとも読んでいただきたい。単純にハイ・グレードなパーツで構成するのではなく、試して聴き分けて選定し、発見を繰り返しながら製作するという、物作りに対する真摯な姿勢があるからこそ導き出せた音色であることがわかります。
[Specifications]
●コントロール:なし ●スイッチ:Mode(Guitar/Bass) ●端子:Input、Output ●サイズ:39mm(W)×93mm(D)×33mm(H) ●電源:9VDC ●価格:13,970円(税込) (問)h-ozawa@kbf.biglobe.ne.jp/Sound Project "SIVA"
大きく複雑なエフェクター・システムを組む方が増えるにつれ、さまざまなメーカーからバッファがリリースされるようになってきました。その多くはバッファ機能を研ぎ澄ませたモデルですが、ブースト機能などを追加してさらに利便性を追求したモデルも目立ち始めています。本機はそんな中でも珍しい、ブースターに加え、ブレンド機能、スプリット出力を可能とするセンド・リターンが搭載されたタイプ。ファズやコンプなどを使う際、エフェクト音に芯を加えたい場面でブレンド機能は非常に有効です。つまり、本機ならばそれが可能ということですね。肝心の音色に関しても、膨らみとしっかりしたパワー感がありつつ、飽和しない締まりのある輪郭に整えられているので、ブレンダーとしての使用においても大きな効果を感じ取れるでしょう。この元気の良いはっきりとした音質は、アンサンブルの中でも聴き取りやすく、多くの方が演奏しやすいと感じると思います。
そして、センド&リターン端子を搭載しているので、信号の出入口を整えた上でシステム全体のキャラクターをまとめ上げることも可能。ブースト機能も備えるので、チューブ・アンプに対するプリアンプとして味付けに使うのもおすすめです。
[Specifications]
●コントロール:Loop Blend、Buff/Boost ●スイッチ:Send Phase Flip、Bypass ●端子:Input、Output、Send/Output2、Return ●サイズ68mm(W)× 115mm(D)×54mm(H) ●電源:9VDC ●価格:open price(市場想定税込価格27,500円前後)(問)ゼンブジャパン/06-6441-2263
本機はそれぞれ単体使用もできるコンプレッサーとブースターの複合機なので、名称通りの用途に効果的なのは当然として、バッファ的な使用を追求するのにもおすすめです。“BOOST”は2つのスイッチで幅広い6通りの音色を作ることが可能で、プリ、ポスト、どちらのブーストにも完璧に対応。各音色がそれぞれ特徴的なキャラクターを宿しているので、誰でもお気に入りのポジションがすぐに見つかるでしょう。そんな音色の音量をニュートラルに設定すれば、バッファとしても活躍してくれます。本体の設定でバッファード・バイパスも選択可能なので、音色のベーシックを整える機器としてペダルボードの先頭に配置するのもアリ。その際、基本の音にもう少し押し出しを加味する目的で“COMP”を足すという使い方も有効でしょう。
そして本機ならではのユニークな機能がエクスプレッション・ペダルでボリューム操作ができること、MIDIにより300ものプリセットをセーブ&リコールできる点でしょう。これはスイッチング・システムに組み込んでの使用においてとても効果的。世界中のプロから愛されているストライモンだからこその設計だとうなずけます。
[Specifications]
●コントロール:Boost、Dry、Level、Compression ●スイッチ:Boost、Comp、Boost EQ、Comp Type、Boost Type ●端子:In、Out、Volume、Fav/MIDI ●サイズ:102mm(W)×117mm(D)×67mm(H) ●電源:9VDC ●価格:open price(市場想定税込価格:39,050円前後) (問)support@allaccess.co.jp/オールアクセスインターナショナル
アンプやプリアンプがリリースされるやいなや、耳の肥えたミュージシャンたちを一瞬でとりこにして、一躍トップ・ブランドの仲間入りを果たしたベンソンが作るクリーン・ブースターだけに、ただの1ノブ・ブースターに仕上がっているわけはありません。心臓部に配置されたゲルマニウム・トランジスタが中域に立体感と良好な音抜けを与え、音量をしっかりと持ち上げた上で、かなり太く押し出してくれます。そう書くと、中低域を中心にブーストされるのかと思うかもしれませんが、そこにはアンプ・ブランドだからこそのマジックがあります。ブーストして膨らんだ中低域には濁りや鈍りが混じることも多いですが、中低域のレンジを広げ、音像が大きくなるようにチューニングすることで、太いのに速さを感じる音色に演出。これは真空管アンプが最適な音量で鳴っている時に近い感触で、小音量でも音色に安定感を持たせたい時、本機をバッファ的に使うのも有効でしょう。
そして、中低域に広がりのある自然なエアー感は、ピエゾPUなどライン感の強い音色をアンサンブルになじませる上でも役立ちます。例えば、アコースティック・ギターの響きとの相性も抜群なのではないでしょうか。
[Specifications]
●コントロール:Boost ●スイッチ:ON/OFF ●端子:Input、Output ●サイズ:60mm(W)×110mm(D)×50mm(H) ●電源:006P(9V電池)/9VDC ●価格:open price(市場想定税込価格:25,300円前後) (問)pa_info@mixwave.co.jp/ミックスウェーブ
シンプルで効果のわかりやすいエフェクターは、デザイナーが意図した音色に迷わず到達することができます。本機の個性は、気持ち良いまでに明るくカラッと乾いた音抜けの良さ。低域が膨らみすぎるフロントPU、小音量だとくぐもった音色になってしまうコンボ・アンプなど、鈍い出音にハリとキレを与えたい時、特に大きな効果を発揮してくれます。この特徴はマイナス方向への操作時にも得られるので、アンプ側の操作では難しい微妙なボリューム調整にも有効でしょう。バッファとして音量をニュートラルに設定しつつ、真空管アンプと組み合わせて使用すると、ギター側ボリュームでの音量や歪み量を調整する際にも反応性の向上が期待できそう。アンプとの組み合わせで好みのノブ位置を探し、プリアンプとしてアンプの個性をさらに際立たせるのも面白いかもしれません。
モデルによっては飽和しやすい真空管アンプの中低域に締まりと輪郭を与え、濁りを軽減してくれるので、音作りの基本をアンプで行なっている方にはぜひ試していただきたい1台と言えます。ブースターとしても充分な音量感とキャラ立ちの強いパンチ力を備えるので、もうひと声押し出しが欲しい時にもおすすめ!
[Specifications]
●コントロール:Level ●スイッチ:ON/OFF ●端子:Input、Output ●サイズ:64mm(W)×121mm(D)×57mm(H) ●電源:9VDC ●価格:open price(市場想定税込価格:15,400円前後) (問)0570-056-808/ヤマハミュージックジャパン
ビンテージ・エフェクターからのインスパイアではなく、現代的でワイドなレンジ感&力強さ、解像度の高さを基調としつつ、温かな音色も併せ持つモデルは、探してみると意外と見つかりにくいもの。その点、本機はトーンを絞った感じではない、明瞭さを保ったまま中域に厚みを感じる音色をオーバルトーンならではの高音質な個性でまとめています。こういう機器を探していた方も多いのではないでしょうか。歪み系ペダルの後段にクリーン・ブースターを配置してリード・トーンを作っている人には、本機の特性が特に使いやすいと感じました。ブースターやバッファで強調され過ぎてしまうことの多い高域帯もまろやかに押し出してくれるので、歪みを加えずに中域を伸びやかにブーストしたい時に最適。
そして、内部スイッチの切り替えにより、音量を上げずに温かな音色を加えられる“ATTENUATE”モードを選択可能で、システム全体の音色を本機の特性でまとめたい時にはもちろん、アンプやスピーカーの特性で高域が出すぎてしまう場合の補正にも効果的です。ワウの半止め感や、箱物ギターのアコースティックな膨らみ具合の再現など、プリセット・トーンとして使用しても面白いかもしれませんね!
[Specifications]
●コントロール:Middle-Treble Boost ●スイッチ:ON/OFF、Full/Attenuate(内部) ●端子:Input、Output ●サイズ:45.7mm(W)×96.5m(D)×50mm(H) ●電源:9VDC ●価格:16,940円(税込) (問)contact@ovaltone.net/Ovaltone
シンズ・ミュージックが現場の最前線から絶大な信頼を得ている理由、それは現場で即戦力となる実力を備えていること。本機も操作系こそシンプルにまとめられていますが、コントローラーのそれぞれに必要充分な機能が詰まっていて、プレイヤーが音作りに迷うことなく、演奏に集中させたいという意思を感じます。2つのコントローラーのうち“PRESENCE”は、単純に高域の調整というよりも、全帯域に対する最適なバランスをシームレスに整えるような操作感。1つのノブだけとは思えないほど、接続する楽器本来の音色にアジャストすることができます。“BOOST”はパワフルな増幅量を持つので、ギター側ボリュームを絞ることによってマイナス方向へ調整することも可能。そうすることで、音のハリを保ちつつ音量を簡単に下げることができます。このプラス/マイナスの幅こそが現場で必要とされる対応力に繋がるのです。
本機は厳密にはバッファではなくブースターですが、ビンテージ・ファズが持つ歪みの挙動に影響を与えてしまうバッファが多い中、その問題もクリアしているので、既存のシステムが持つ音色の基本を整える機器としてかけっぱなしで使っても良いかもしれません。
[Specifications]
コントロール:Presence、Boost ●スイッチ:ON/OFF ●端子:Input、Output ●サイズ:42mm(W)×92mm(D)×56mm(H) ●電源:9VDC ●価格:24,200円(税込) (問)03-3862-5041/モリダイラ楽器
「キミのバイパス音、痩せてない?」なんて指摘されると、たいていの人は「オレのバイパス音って痩せ細っているのかも……」という疑念が払拭できなくなり、しばらくは疑心暗鬼の日々が続くと思います。もしちょっとマナーの悪い対バン相手に遭遇したら、帰り際に「あんたの出音、けっこー痩せてるよな!」と言い放ってみてください。相手はしばらくの間、猛烈に落ち込むと思います。それでだいぶ溜飲が下がるんじゃないでしょうか(笑)。“音痩せ”っていう言葉は、ギタリスト殺しのNO.1マジック・ワード、プレイヤーのハートをむしばむ呪いの成分に満ちているんです。恐ろしいですよね!
誰もが自分の出音に対して音痩せ疑惑を抱いてしまうのには理由があります。それは単に判別が難しいから。乱暴なことを言えば、ケーブルだろうがペダルだろうが何かを繋げばギターの出音が変化してしまうのは間違いありません。シールドの長さでハイ落ちの度合いが変わるぐらいですから(ぜひ実験してみてください)。要は、そうした変化を「痩せ」と捉えるのか、それとも「それも音作りの一環」と考えるかの違い。音痩せが気になる場合、バッファや同様の効果を持つ機器を使って、ハリのある出音を取り戻すことは充分に可能なんですよね。
バイパス音とはエフェクトを掛けていない状態のことであり、アンプ直とイコールの音ではありません。言い換えるならば、自身の音作りにおいて最も基本となる音色のこと。先頭にバッファをかましてドーピングするのもアリだし、クリーン・ブースターをかけっぱなしにして対処するのでも良いかもしれません。つまり、良いバイパス音は作れるわけです。それさえ認識していれば、“音痩せの呪い”を解くことはそう難しい話ではありません。合言葉は「バッファ入ってるんだから大丈夫」。これで呪い返しは成立です。もう何を言われても怖くありませんよね!
でもまあ、バッファを入れていようが何をしていようが、そもそもの音作りがなっていなければ全然ダメ。音抜けの悪いサウンドメイクは、音痩せよりもタチが悪い症状です。そこに特効薬はありません。そういう意味でも、今回は「耳を鍛えましょう」っていうのが裏テーマ。痩せている痩せていないの判断を下すのは、最終的には自分の耳です。そのあたりの感じ方を誌面から学び取ってくださいませ!(下総淳哉/THE EFFECTOR book)
本記事はシンコーミュージック刊『THE EFFECTOR book Vol.55 NO EFFECTS ISSUE 2022』での特集企画「現行“バッファ&クリーン・ブースター”試奏」を転載したものです。今号ではなんと「バイパス音」を大特集! どんな高価なエフェクターを使うおうが絶対に避けることができない“バイパス音の呪縛”。つまり、エフェクトをかける前の“素の音”が良くなければ、せっかくのエフェクターもポテンシャルを発揮できないという誰もが見落としがちな「バイパス音」を徹底的に検証。50ページに渡って「正しいバイパス音のあり方」を掘り下げています。必読!
項数:112P
定価:1,980円(税込)
問い合わせ:シンコーミュージック
『THE EFFECTOR book Vol.55』のページ・サンプル
坂本夏樹(さかもと・なつき)
チリヌルヲワカ、She Her Her Hers、Over The Topでのバンド活動を経て、スタジオ・ミュージシャン、プロデューサーとして、Creepy Nuts、DE DE MOUSE、HOME MADE 家族、たんこぶちん、酸欠少女さユり、新山詩織など、数多のライブ、レコーディングに参加。