AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
BOSS / GX-100
最先端テクノロジーを駆使し、そのリアルなサウンドや直感的な操作感で人気を博したBOSSのフロア型アンプ/エフェクト・ユニット、GT-1000。そのGT-1000のクオリティを引き継ぎ、このたび新たに登場したのがGX-100だ。今回、Survive Said The ProphetのギタリストであるTatsuyaとIvanにGX-100を使ったデモ演奏を依頼。ヘヴィかつモダンなギター・サウンドを駆使してハイ・クオリティな楽曲を生み出す彼らは、GX-100をどのように扱ったのだろうか?
BOSSのマルチ・エフェクト・プロセッサーと言えば、ハイエンドのGTシリーズと、コンパクト・エフェクター感覚で扱えるMEシリーズの二本柱だったが、このたび、GTシリーズのサウンド・クオリティとモダンかつスマートな操作性を兼ね備えた第三の柱、GX-100が登場した。
GX-100での新たな試みとしてまず注目したいのが、高精細なカラー・ディスプレイ。これはタッチ・パネルとなっており、スマホやタブレット感覚で各種パラメーターの調整などの操作を行なうことができる。エフェクト・チェイン内のアンプ/エフェクト・タイプや設置位置の変更などもドラッグなどの操作で簡単に行なえ、マルチ・プロセッサーならではの複雑な操作が苦手な人でも扱いやすいだろう。Windows/Mac対応の専用エディター“BOSS TONE STUDIO for GX-100”も用意されており、PCの大画面でのサウンド・メイクが可能。さらにオプションのBluetooth Audio MIDI Dual Adaptor(BT-DUAL)を装着すれば、iOS/Andorid版のBOSS TONE STUDIOが使用可能になり、ワイヤレスでのエディットも行なえる。操作のたびに屈む必要がなくなり、サウンドをアンプから離れた位置でモニタリングしながら調整する、といった使い方まで可能になる。
次に肝心のサウンド・クオリティだが、スピーカーまでもを含むアンプ全体の相互作用を徹底的に再現した“AIRD”を採用し、フラッグシップであるGT-1000を継承するリアルな音色を実現。23種類のアンプ・タイプ(ベース用含む)、13種類のスピーカー・タイプ、16種類まで保存可能な外部IRデータ、5種類のマイク・タイプ、154種類のエフェクト・タイプ(ベース用含む)などにより、納得の音作りができるはずだ。エクスプレッション・ペダルも搭載しており、ワウやペダル・ベンドなどはもちろん、パラメーターをアサインすることでリアルタイムの音色変化(例えばディレイのタイム変化など)をコントロールすることも可能。また、GTシリーズでおなじみのCTLスイッチ(本機ではC1、C2スイッチ)やカレント・ナンバー機能も搭載し、複数のパラメーター変更などを一括で行なうこともできる。例えばバッキング用のメモリーでリード時にゲイン・アップとディレイ追加などをスイッチにアサインしておけば、1つのメモリーで柔軟な音色変化を簡単に実現できるわけだ。
1系統のセンド&リターン、MIDIイン&アウトなどにより外部エフェクターとの連携も十分。AMP CTL端子でギター・アンプのチャンネル切り替えなども制御でき、ライブ・システムの中枢を担えるのはもちろん、USB接続でオーディオ・インターフェースとしても使用可能。リアルかつ豊富な音色を宅録でもフル活用できる。群雄割拠のフロア型マルチ・プロセッサー・シーンに、大きな旋風を巻き起こしそうな1台だ。
実機だと低音が潰れてしまったりもするんですが、
GX-100はしっかり再生してくれました。
──Tatsuya
──GX-100を使ってみた第一印象を教えてください。
Ivan 使いやすかったですね。踏み替えのシステムも馴染みがあるし、画面の表示を見るだけで操作できたので初心者でも扱いやすいと思いました。
Tatsuya アンプやエフェクトの種類も多くて、これだけで音作りしやすかったし、タッチ・パネルで直感的にいじれる。“面白く遊べるな”っていう印象です。
──今回のデモンストレーションの音作りはどのように進めたんですか?
Tatsuya もともと入っていたメモリーを自分なりにアレンジしていきましたが、割と早くイメージに近いものを選ぶことができましたね。
Ivan そうだね。メモリーの名前も“ジェント系”とかわかりやすく音色を提示してくれているし、そこから自分好みの音にしやすかったです。
Tatsuya 今回2人とも使っている“AMBIENT CLEAN”っていうメモリーは、名前のどおりアンビエントが強いクリーン。ジャケ買いじゃないですけど、名前に引きつけられて試してみたら良い音で、そういう見つけ方もしやすかったですね。それと、僕たちはドロップA♯チューニングを使っていて、実機だと低音が潰れてしまったりもするんですが、GX-100は歪ませてもしっかり再生してくれました。
Ivan まったく問題なかったよね。それにピックアップを切り替えた時の音色の変化なんかもストレートに再現されていたし。
Tatsuya ギターのボリュームを絞ればちゃんとそれに追随してくれる。これってデジタル機器だとよくある問題で、フルテンだと良い音なんだけど、絞ると“アレ!?”ってなったりする。そういう点ではGX-100は満足度が高いです。
GX-100のシステムは馴染みがあるし使いやすい。
──Ivan
──今回使ったメモリーの解説をお願いします。
Tatsuya フット・スイッチの[4]にアサインしたのはイントロやラストのサビ前で使ったクリーンの音色で、“AMBIENT CLEAN”をアレンジしたものです。[1]は“RICH CHORUS DS”を元にアンプ・タイプを変えたりコーラスをオフにしたバッキング用の音色。[3]は“PROG LEAD TONE”を元にしたクランチ音色で、リバーブを強めにしています。[2]はリード用で[1]の音色にクリーン・ブースターとディレイ、リバーブを足して作りました。[1]と[2]はエフェクト・チェインを分岐させて、違うアンプ・タイプを使って歪みを混ぜたりもしています。リード用の音色だと原音感を出すために歪み9対クリーン1を混ぜるなんてこともよくやるんですが、GX-100はそういう使い方もできるっていうのが確認できましたね。
Ivan [1]にアサインしたクリーン音色は同じく“AMBIENT CLEAN”をアレンジしたもので、ディレイとリバーブが多めですね。[3]はバッキング用でジェント系のメモリーを使ったハイゲインな音色。[2]はリード用の音色ですが[C1]スイッチに付点8分のディレイをアサインして、リードの途中からエフェクトを足せるようにしています。個人的にエフェクトのバンクは1つで完結させたいので、[C1]と[C2]スイッチでエフェクトなどを足したりできるのは便利です。それと[4]はほぼ“SYNTH LEAD”というメモリーのままですが、こういう通常ではあまり作る機会のない音色で冒険できるっていうのもマルチ・プロセッサーの良いところですね。
──GX-100をどう使っていきたいですか?
Tatsuya スタジオ・ワークの場合、フル・セットの機材を持って行くのが大変な時もありますし、ギター1本とGX-100で納得いく音が作れそうっていうのは良いですね。それと正直言って、“これでライブできちゃうな”と思いました(笑)。
Ivan 個人的には、フット・スイッチの踏み替えの練習ができるっていうのは大きいですね。家では1音色ずつ音を作ったり録音したりすることが多いですけど、ライブだとそれを切り替えていくわけで、その練習も必要。GX-100のシステムは馴染みがあるし使いやすいですから、そういう要望にも応えてくれるのはありがたいです。
TatsuyaとIvanが動画内で使用しているシールドは、BOSSから発売されているBIC-Pシリーズ。高品位な素材を採用し、独自のバランスでチューニングを施した最高峰のケーブルだ。プラグがストレート-ストレートの3m(BIC-P10)と5.5m(BIC-P18)、そしてプラグがL型-ストレートの3m(BIC-P10A)と5.5m(BIC-P18A)をラインナップしている。
価格:オープン
Tatsuya
たつや●ロックをベースとしながらポップスやEDM、ヒップホップ、R&Bといった様々なジャンルの要素を活かした音楽性を備えたSurvive Said The Prophetのギタリスト。多彩な楽曲にフィットするフレキシブルなプレイは実に魅力的。
Ivan
あいゔぁん●香港出身。帰国子女のYosh(vo)と共にSurvive Said The Prophetが“インターナショナル・バンド”と呼ばれる所以となっている。優れたギター・ワークはもちろん、バンドのあらゆるアート・ディレクションを手がけている。