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VOX presents 全日本ワウ選手権ファイナル・イベント・レポート

VOX / WACATCON ZICCA

  • 文:山本彦太郎 動画撮影・編集:川村健司

ファンキーなカッティングに使っても良し。エモーショナルなリード・プレイに使っても良し。独特のエフェクト効果でギター・プレイを表情豊かに彩ってくれるのがワウ・ペダルだ。そのワウ・ペダルの魅力や可能性を改めて問うプレイヤーズ・コンテスト『全日本ワウ選手権』の模様をお届けしよう。

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VOX presents 全日本ワウ選手権とは

 ワウ・ペダルのオリジネイターであるVOXが主催したコンテストで、ワウ・ペダルを使用したパフォーマンスであればプロ/アマ、ソロ/バンド、楽器問わず誰でも応募可能。実際、キーボードや三味線での応募もあったそうだ。応募開始以降100名以上のエントリーがあり、YouTubeやTwitter、Instagramなどに投稿された演奏動画による予選を勝ち抜いた5名が選出。本来はライヴ・パフォーマンスによる最終審査が昨年3月に行なわれる予定だったが、コロナ禍により延期され、ようやく10月30日(土)に都内にあるコルグのスタジオ、G-ROKS 1st.でファイナル・イベントを開催することができた。Charを審査員長に迎えたこの最終決戦の模様を見ていこう。

ファイナリスト5名が実演!

 ライヴ・パフォーマンスによる最終審査に進んだのはすべてギタリストで、坂本 学、冷泉モズク、Chayumu-ちゃゆむ-、みゅうとし、MOT GUITARの5名が順に演奏。トップ・バッターながら堂々のソロ・ギターで魅せてくれた坂本以外はバッキング・トラックに合わせた演奏だったが、ラテン風味の冷泉モズク、Charゆずりのロック・ギターを披露したChayumu-ちゃゆむ-、テクニカルなデジロック風のみゅうとし、シティ・ポップのMOT GUITARと音楽性はさまざま。その中でワウ・ペダルも様々な表情を見せてくれた。ワウの足さばきもよく見えたが、リズムやフレーズに合わせて操作するという、ワウ・ペダルならではの魅力も十分に伝わったのではないかと思う。

マルキオーネのセミアコにVOXのBig Bad Wahを合わせ、ソロ・パフォーマンスを披露した坂本。パーカッシヴな指弾きや歪みを加えたアグレッシヴな速弾きなど、一番手ながら堂々の演奏だった

ラテン・ロック風のオケで情熱的なプレイを聴かせてくれた冷泉モズクはナビゲイターのSTタイプとVOXのV847という王道の組み合わせ。ワウ・ペダルも様々な泣きを聴かせてくれた

Chayumu-ちゃゆむ-は、名前の由来でもあるCharの影響を大きく受けた王道のロック・ギターで、背面弾きパフォーマンスも披露。アトリエZの根元 要モデルとVOXのV845という組み合わせだ

葛城哲哉に師事しているという“みゅうとし”は、VOX V847ほか数台のワウ・ペダルを並べてのパフォーマンス。ハイゲインな歪みとワウ・ペダルによる切り裂くようなトーンが印象的だった

大阪からエントリーしたMOT GUITARはAltero Custom Guitarsの3シングルTLタイプと、VOXのV847でのパフォーマンス。ワウを絡めたリズムが軽快なシティ・ポップ風インストを披露した

 ファイナリスト5名のパフォーマンスが終了し、いよいよ最優秀賞の発表となったが、審査員長であるCharの「音楽で勝ち負けを決めることはできない」という提案もあり、急遽ジャンケンで決定することに! その結果、トップ・バッターとしてソロ・パフォーマンスを披露した坂本学が見事『全日本ワウ選手権』最優秀賞となった。ちゃぶ台返し的な展開ではあったものの、確かに5人のパフォーマンスに優劣はなく、また、指弾きのヒッティングやヴォリューム奏法に合わせたワウ・プレイなど、各人の自由なワウの使いこなしを堪能することができたかと思う。

急遽ジャンケンで決定することになった最優秀賞争奪戦を勝ち抜いたのは、坂本 学。まさかの展開に驚き喜びつつも、「人前でライヴ・パフォーマンスできたことが何より嬉しい」と語っていた

最優秀賞受賞者に贈られた“黄金のワウ”。また、ファイナリスト5名には、新真空管Nutubeを用いたVOXの歪みエフェクターVALVENERGYシリーズから1台が副賞として贈呈された

坂本 学 × Char
スペシャル・セッション

最優秀賞の坂本 学とCharとのセッションの模様。澤田浩史(b)とZAX(dr)による自然発生的なリズムから、坂本とCharによる奔放なギターのぶつかり合いと語り合いが繰り広げられた

 最優秀賞の坂本 学には、賞状と“黄金のワウ”に加え、Charとのセッションという特典が与えられた。Charが何気なく爪弾くE7(♯9)コードにすぐさま反応し、澤田浩史(b)とZAX(dr)がゆるやかなグルーヴを紡ぎ出す。坂本はワウをからめたR&B風のコード・プレイからスタートし、ジャズ・ロック的なリード・プレイなどを披露。引き出しの多さが印象的だった。それを受けたCharはアームも駆使したリード・プレイや坂本へのフレーズ・パスなど余裕のプレイ。最後には坂本とCharが向かい合い、ギターで語り合うかのようなアドリブ合戦も披露された。

イベントの最後には、Char、澤田、ZAXによるスペシャル・ライヴが行なわれた。クリームの「ホワイト・ルーム」、ジミ・ヘンドリックスの「紫のけむり」からCharの「からまわり」へのメドレーなどが披露され、会場を大きく盛り上げた

イベントの司会を務めたのは、音楽ライターであり、InterFM『THE DAVE FROMM SHOW』のDJを務めるジョー横溝。軽妙なトークで出場者の緊張を和らげつつ、Charへのツッコミ役もこなした

ステージ脇の審査員席でコメントするChar。クリームがきっかけとなったワウ・ペダルとの出会いや、初めて買ったワウ・ペダルは京王技術研究所(現コルグ)のモデルだったなど、興味深いエピソードも披露された

VOX / WACATCON ZICCA

 VOXとCharのコラボレーションにより誕生したカスタム・ワウ・ペダル。従来のモデルより可変帯域を低く設定したうえ、ゲインのアップや可変ピークの鋭さなどを調整したことで、パワフルかつ重心の低いサウンドを実現した。軽めのスイッチ感や、オフ時にはトゥルー・バイパスとなる点も本機の特徴。バック・プレートには和風の波型イラストと共に“脇役音”というデザイン・ロゴが記されているが、リズム/リード問わず多彩に活躍してくれるワウ・ペダルだ。

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デビュー45周年を飾るCharのオリジナル・アルバム発売中!
Char『Fret to Fret』

2021-0913-char.jpg【曲目】
 ①Stylist
 ②You
 ③Creepin’
 ④Infant Elefant
 ⑤Walking On Air
 ⑥Gacha Gacha
 ⑦Rushing’ kiz
 ⑧Change
 ⑨Fret To Fret
 ⑩Mr. Liar
 ⑪Moving Again

 【メンバー】Char(vo,g)、ロバート・ブリル(d)、佐藤準(k)、他
 ZICCA ZRFF-01 3,000円 2021年9月29日発売

 Char公式WEB『Fret to Fret』特設サイト https://www.zicca.net/fret-to-fret/#1

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