AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
Marshall / SV20H、SV20C
60年代にイギリスで生まれ、ロック・ミュージックの発展に大きな役割を果たしてきたマーシャル・アンプ。本連載では、普段からマーシャルを愛用するギタリストに現行製品を試奏してもらうとともに、それぞれの“マーシャル・アンプ愛=マーシャルな訳”を聞いていく。第4回目は、福岡時代から74年製の1959を愛用するNUMBER GIRLの田渕ひさ子が登場。普段はアンプをクリーンに設定してペダルで音作る田渕に、1959の系譜を継ぐ20Wクラスのアンプ・ヘッドSV20Hとコンボ・アンプSV20Cの2台を、アンプ直のドライブ・サウンドやクリーン・セッティング+ペダルでのサウンドなど、様々なパターンで試奏してもらった。
・00:00〜Opening Demo
・01:20〜SV20H Crunch(ギターのボリュームを絞って演奏)
・01:59〜SV20H Drive(EarthQuaker Devices /ArrowsとDunesを2台同時に使用)
・03:13〜SV20H Impression
・05:35〜SV20C Crunch(EarthQuaker Devices / Dispatch Masterを使用)
・06:32〜SV20C Drive(途中からEarthQuaker Devices / Westwoodを使用)
・07:38〜SV20C Impression
・10:37〜Total Impression
弾いた時の爆発力がすごい。
SV20Hは、5Wのほうが自分がいつも弾いてる感じに近い音がするなと思ったのと、自分のマーシャルの好きなところでもあるキレイな倍音が出ていますね。良いアンプなので、弾く人のニュアンスが細部にわたって出ます。上手いも下手も目立つみたいな。20Wのほうがそのニュアンスが強い気がしていて、5Wのほうが全部がギュッとしてる音の印象でした。スピーカーは今回12インチが一発(SV112)でしたけど、ローも出るし、ハイもキレイで、パワーがある。弾いた時の爆発力がすごいなと思いました。
各ツマミは全部、普段使っているマーシャルの2倍くらいになりました。いつもチャンネル・リンクしてLOUDNESS 2をBASSの代わりに足しているんです。で、“ちょっとローを下げようかな”っていう時にBASSツマミを下げているんですけど、SV20Hも同じ使い方がそのままできますね。エフェクターとの相性もめちゃくちゃ良かったです。今日は自分も持っているモデルを使わせてもらったんですけど、歪みの感じがきめ細かく出るし、フィードバックもキレイだし、倍音やハイが気持ち良いですね。
歪みがナチュラルにやってくる感じ。
SV20Cのほうがよく歪む感じがします。ボリュームは歪みに向かって上がっていくというか、歪みがナチュラルにやってくる感じがしました。中域に粘りがあって、サステインもあって、すごく気持ちの良い音でしたね。気持ちが良かったので、SV20Hよりもローをけっこう出しました。アンプ直で弾いたり、歪みエフェクターをあまり使わない人はコンボのほうが合うかもしれないです。“ギター&ボーカルの方にどうでしょう?”って思いました。足下がシンプルな人に合ってるんじゃないかな。
空間系エフェクターの乗りも最高です。ちょっと温かいアナログっぽいディレイを使ったんですけど、ハイが立ったアンプのサウンドとの相性がすごく良いなと思いました。歪みの前に空間系をかけると、残響音が歪んだり、あんまりエフェクトが効かないこともあるんですけど、すごくキレイに響いていましたね。ファズっぽいセッティングのペダルも使ったんですけど、アンプ自体に太さがあるので、ローがすごく出るファズにも、ギュッと濃縮したような音が出るファズにも、どっちにも合うと思います。余裕のあるアンプですね。
自分のマーシャルは100Wで、すごく音が大きいんですね。入るスタジオのサイズによっては音量を出すとボーカルの方が自分の歌を聴こえなくなる時もあって、そういう場合ギリギリOKの小さい音でやるんですけど、“本当はもうちょっと出せばマーシャルの良いところが出るのにな!”って惜しい時があって。なのでSV20Hはそういう時に使いたいです。バンドによって“ニュアンスの違うものが欲しい”ってなったらSV20Cですね。でも、レコーディングだったら両方良いと思います。
良い音が聴こえてくるとプレイも調子に乗れる。
だからうしろでデカい音で鳴っていてほしい。
──ひさ子さんは福岡時代に74年製1959を購入して、それ以来ずっとメイン・アンプとして使っていますよね。
メイン・ギターを買った福岡の楽器屋さんがあって、ギターを買ったその何週間かあとにそのマーシャルのヘッドが入荷したんですね。店主の方から“良いギターを買ったなら、良いアンプも買いたまえ”と言われて買いました(笑)。その前にキャビネットは買ってあったので、“たぶんあなたが持っているキャビに合うよ”っていう感じで薦めてもらいましたね。それまではスタジオに置いてあるアンプをずっと使っていたので、最初に音を出した時は“全然違う!”って思いました。ギターもほぼ同時に買ったので、それとセットの音かもしれないですけど、“デカくてキレイな音”みたいな第一印象です。
──自分の1959を持ち込めない時は、現場に置いてあるマーシャルを使うことが多いんですよね?
そうです。スタジオでもライブハウスでもマーシャルがあればマーシャルを使うので、そこに置いてあるJCM800、JCM900、JCM2000なんかを使いますね。マーシャルは、“はいはいはい……”ってすぐセッティングできるというか、使い慣れている安心感があります。
──持ち運びや管理が大変な真空管アンプを使い続ける理由は?
運ぶのが大変なんですけど、真空管アンプは真ん中の艶、キレイなハイ、倍音のサステインが好きですね。パワーがあるのでエフェクターをいっぱい踏んでも応えてくれます。女子なので、うしろにデッカいマーシャルがドーンとあることによって“舐められないんじゃないか”みたいなのが最初はあったんですよ(笑)。そういう部分もあるし、真空管アンプのちょっと温かい部分とか、空気も一緒に鳴っている感じとかが好きで、良い音が聴こえてくるとプレイも調子に乗れるので、その部分を一番大事にしたいんです。だからうしろでデカい音で鳴っていてほしい。それを聴きながら“あ〜良い音!”ってギターを弾くと、一番良いプレイができると思っています。
──最後に、ひさ子さんにとってマーシャルとは?
カッコ良くて、歴史があって、敷居が高い。ギタリストにとって憧れのブランドです。
名機1959をより手軽に扱いやすく!
スタック・タイプとコンボ・タイプを用意
ジミ・ヘンドリックス、ジミー・ペイジ、エディ・ヴァン・ヘイレン、スラッシュ……60年代から現在
にいたるまで、数々のギタリストが大型の真空管マーシャル・アンプで“時代の音”を作り上げてきた。そ
んな伝統的なサウンドを自宅やスタジオなどもっと手軽に幅広い環境で楽しめるよう開発されたのが、
出力を20W/5Wで切り替え可能なSTUDIOシリーズだ。
その中のSTUDIO VINTAGEは、通称“プレキシ・マーシャル”と呼ばれる、60年代後半に誕生した4
インプット仕様の100Wアンプ・ヘッド1959をベースにしたモデル。ヘッド・タイプにSV20Hと、コン
ボ・タイプのSV20C、そしてキャビネットSV112とSV212をラインナップしている。
オリジナルのマーシャル1959やリイシューの1959SLPは、その何物にも代えがたい素晴らしいサウンドの
一方、100Wという大出力やボディ・サイズにより、持ち運びや音量コントロールの面での利便性や汎用
性は決して高くなかった。
このSV20Hは、そんな1959のサウンドとフィーリングを再現しつつも小型軽量化を実現。出力も20W
と現代シーンのニーズに適したサイズ感に設定されたうえ、スイッチ1つで5Wにも下げることが可能
で、様々なシチュエーションに合わせた使い方ができる。オリジナルにはないセンド/リターン端子も
搭載されており、より現代的に進化したモデルとなった。12インチのスピーカーが搭載されたマッチン
グ・デザインのキャビネット、SV112、SV212もラインナップ。
こちらのSV20Cは、SV20Hと同じアンプ・ヘッドに10インチのセレッション製Vタイプ・スピーカーを1発
搭載したコンボ・タイプ。特に音量を上げた際に、スタック・アンプとはまた一味違ったコンボ特有の“箱鳴り”サウンドを楽しむことができる本機は、一体型でコンパクトというアドバンテージだけでなく、サウンド面でも独自の魅力を備えたアンプだ。また、アンプ・ヘッド同様スピーカー・アウトが搭載されているので、エクステンション・キャビネットの増設や他スピーカー・キャビネットへの接続も容易に行なえる点も見逃せない。
このたびSTUDIOシリーズのアンプが特別仕様にて発売! SV20HとSV112はバーガンディ・スネイク、SV20Cはネイビー・ブルーという個性的な外装にチェンジ。数量限定なので、気になる方は早めのチェックを!
価格:オープン
価格:オープン
田渕ひさ子(NUMBER GIRL)
たぶち・ひさこ●福岡県出身。1995年にNUMBER GIRLに加入。2002年に解散するも、2019年に再結成を果たす。自身がボーカル&ギターを務めるバンドtoddleを始め、2003年にbloodthirsty butchers、2011年にLAMAへ加入するなど幅広く活動。2018年からはPEDROのギターも担当している。