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  • あのロングセラーサンプラーがあらゆる面で強力に進化!

Roland SP-404MKII × tajima hal

Roland / SP-404MKII

多彩なエフェクトとパターン・シーケンサーを搭載したRolandの人気サンプラーSPシリーズ。SP-404SXの発売から12年を経て、満を持して“SP-404MKII”が登場した。デモンストレーターは横浜を拠点として活動するビートメイカーtajima halだ。

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Roland SP-404MKII

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 SPシリーズの歴史は、1997年発売のDr.SamplerことBOSS SP-202から始まる。その翌年にはRoland SP-808が発売され、当時はRoland/BOSSの両ブランドで展開していた。その後、BOSS SP-303/SP-505と続き、SP-404以降はRolandブランドに統一。パソコンと連携して楽曲制作できるSP-606、ルーパーを搭載したSP-555も台頭したが、結果的にSP-404シリーズがSPブランドを継承し、音楽制作/DJ/ライブ/舞台音響/ラジオ収録など、さまざまなシーンで活躍中だ。

 特に昨今は、ビート・クリエイターからの評価も高く、ビートライブやLo-Fi HipHopという新しいカルチャーを生み出し世界的なムーブメントになっている。そんな中、満を持して登場したのがSP-404MKIIだ。

高解像度ディスプレイと新しいつまみの追加により作業効率が向上!

 ディスプレイに有機ELが採用されたことにより、詳細な波形やパラメーターなど、多くの情報を表示できるようになった。これだけでも従来のSP-404シリーズと大きな差があるが、新しく[VALUE]つまみが追加。上から押して「Enterボタン」としても活躍する。増分値を送るタイプのロータリー・エンコーダなので、内部のパラメーターとフィジカルな操作子の値にズレが生じない。

高解像度ディスプレイにより細かな波形表示も可能になった。起動時のオープニング画面やスクリーン・セーバーもユニークで面白い

さまざまな場面で活躍する[VALUE]つまみ。右手で操作しやすい場所に配置されている、回した時のクリック感が小気味よい

 例えばSample Editモードの場合は[CTRL1]:スタートポイント、[CTRL2]:ループのON/OFF、[CTRL3]:エンドポイント、[VALUE]:波形表示の拡大/縮小、トリミングやノーマライズなどの処理で使用する。ディスプレイには各つまみの役割が表示されているので、直感的なアクションが起こしやすい。

ディスプレイには各つまみに割り当てられた機能が表示されているので、直感的に操作ができる

MENU画面でサンプル加工を選択している様子。このような時にも[VALUE]つまみが活躍する

パターン再生時にパッド演奏やエフェクト使用が可能に

 従来のSP-404では、パターン・シーケンサー・モードにすると、エフェクターが使えなかったり、パッドでサンプルを鳴らせなかったりといういくつかの制限があった。ビートライブの多くは、ステップ・シーケンサー使わず、リアルタイムでワンショット/ループ再生やエフェクトを駆使するなど、それぞれのパフォーマーが工夫しながら行なっていた。

 SP-404MKIIではこれらの問題がすべて解消。ステップ・シーケンサーを再生させながらエフェクトを使用することはもちろん、パッドでサンプルを鳴らすこともできる。新機能のChomatic Modeを使えば、1つのサンプルに音階をつけた演奏も可能だ。しかもパターン再生時のリサンプリングが可能になったので、パターン・シーケンサーで作った曲を2ミックスのオーディオ・データにまとめることができるようになった。非常にパワフルな仕様だ。

tajima hal氏のデモンストレーションでは、パターン・シーケンサーを再生しながらリアルタイムにパターン変更やエフェクト処理などが行われているのがわかる

Chomatic Modeは1つのサンプルを16パッドで半音ずつ音階を変えて演奏可能。ちなみに[VALUE]つまみを回すとキーの範囲を変更できる

2系統のエフェクトを使い分けられる柔軟なBUS FX

 高品位かつ実用的で定評のあったエフェクトも、SP-404MKIIでさらに進化。定番のDJFX Looperやテープエコーをはじめ、Vinyl Simulatorも2タイプ(SP-303とSP-404)収録。Lo-Fi HipHopにかかせないLo-fi/Cassette Simulatorや、外部入力に対して使えるVocoderやAuto Pitch、Guitar Amp Simulatorなど、合計40種類ものエフェクトが用意されている。

【エフェクトのかけ方】[BUS FX]ボタンでエフェクトを割り当てたいバス(BUS1かBUS 2)を切り替え、エフェクト・ボタンを押す

エフェクト・ボタンにはあらかじめ5つが割り当てられているが好きなエフェクトを割り当てることができる

5つのエフェクト以外はMFXから[MFX]ボタン+[VALUE]または[CTRL3]つまみで選択できる。つまみの代わりに[MFX]ボタン+[パッド[1]~[16]でも選択可能。ディスプレイにはパッドで選択できるエフェクトが表示されているのがわかる

 またSP-404MKIIは、エフェクトを“バス”という音声の通り道に割り当てる仕様に変更され、複数のエフェクトを同時に使用できるようになった。バスは、パフォーマンスに適したエフェクトをサンプル個別にかけられるBUS1BUS2、本体から出力される音全体にかけられるBUS3BUS4を備えている。

 工場出荷時のバス・ルーティングは、下図の(1)BUS1の後、BUS2を経由するBUS FX Type Aで、サンプルがすべてBUS1に送られるよう設定されているので、バスについてあまり深く考えなくても直感的にエフェクト・ボタンを押せばエフェクトが簡単にかけられる。この状態で任意のサンプルをBUS2に送るように設定すれば、BUS1を経由しないので、BUS2に割り当てたエフェクトだけがかかるという仕組みだ。

 また、ルーティングを下図の(2)BUS FX Type Bに変更すると、BUS1とBUS2に割り当てられたエフェクトの位置が変化。例えばリズムだけにフィルター、シーケンス・フレーズにはディレイといったように、2つのエフェクトを完全に分けて使用することができる。

 一方、BUS3、BUS4はUTILITY MENU画面で設定するがパターン・シーケンサー再生中にはこの設定モードに入れないので、コンプレッサーやカセットシミュレーターなど、リアルタイムに操作する必要のないエフェクトを割り当てると良いだろう。

(1)バスルーティング BUS FX Type Aを選択した際の画面

(2)バスルーティング BUS FX Type Bを選択した際の画面

BUS3にEqualizer、BUS4に303Vinyl Simを割り当てた様子の画面

叩きやすくなったパッド

 パッドはマルチカラーになり、12から16へと数も増えた。色はカスタマイズできるので、サンプルのカテゴリ別にパッドを色分けするのも良い。質感は従来のような厚みはなく、押し込むタイプでもないので、一般的なパッド・コントローラーと遜色ない印象だ。しかもこれまでのSPシリーズの中で1番反応が良く、フィンガー・ドラムもやりやすい。

 パッドはベロシティーに対応になったが、FIXED VELOCITY機能を使えばベロシティを固定して従来のSP-404のようにベロシティーを付けずに演奏することも可能。ベロシティーを段階的に変更できる16VELOCITY機能も装備している。

パッドの色は128段階で変更可能。明るさやベロシティ・カーブ、連打性の感度なども調節できる

リサンプリングの概念を覆すスキップ・バック・サンプリング

 これは演奏した音声を最大25秒さかのぼってサンプリングできる機能で、“最終出力の手前にレコーダーが常に回っている状態”をイメージするとわかりやすい。これは、同社シンセサイザーFantom-Sシリーズ、Fantom-Xシリーズ、Fantom-Gシリーズにあった機能で、SP-404MKIIに実装されたことによって再び注目を集めている。

 良いテイクは突然生まれることがある。そういう時に限って“あっ録音していなかった!”ということはよくあるもの。そんな時[MARKボタン]を押すだけでキャプチャーできるのは本当に便利だ。

 短いリサンプリングであれば、スキップ・バック・サンプリングを使った方が手っ取り早いかもしれない。SP-404MKIIの強力なサンプル編集機能(Chop、Reverse、Speed/Pitchなど)と多彩なエフェクトと組み合わせれば、無尽蔵にオリジナル素材が簡単にできてしまう。これまでのリサンプリングの概念を大きく変えることになるだろう。

一定以上のオーディオ・レベルを検出すると専用メモリーに録音を始めると[MARK]ボタンが点滅する

点滅している[MARK]ボタンを押すと、専用メモリーに録音された波形が表示されるが、この状態で[EXIT]ボタンを押すとデータが失われてしまうので、パッドへの割り当てが必要([REC]ボタン→パッド)

曲同士を簡単にミックスできるDJ Mode

 DJ Modeは、その名の通りSP-404MKIIを2デッキ+ミキサーのDJ機器のように扱える機能。これまでのSP-404とは違った使い方ができて面白い。16パッドは曲の再生やテンポなどをコントロール、[CTRL1]つまみと[CTRL2]つまみで音量調節してミックスできる。もちろん任意の曲をヘッドフォンに出力できるCUEモニターも可能だ。

DJ Modeへの切り替え方:バンク[D/I]ボタンと[E/J]ボタンと同時に押す

サンプルの試聴が可能なCUEモード

 [SHIFT]ボタンを押しながらパッド[3]を押すとCUEモードに切り替わる。この状態でパッドを叩くとDJ modeのCUEモニターと同様、ヘッドフォンだけに出力される。パッドにどんな音が入っているかヘッドフォンで試聴ができるので、さまざまなシチュエーションで重宝されるだろう。

CUEモード時の画面。通常と異なる画面で視覚的にミスを防ぐことができる。なお[CTRL3]つまみはヘッドフォンへのCUEとメイン出力のバランスを調節できる

内部メモリーとファイル構成

Roland SP-404MKII製品ページより

 SP-404MKIIは、1度に使用できるサンプルとパターンを1つのプロジェクトとして16個のプロジェクトを本体に保存できる。内部メモリーの容量は16GB。これはすべてのプロジェクトで1サンプルあたり30秒(約60MB)以上は使用できる計算になる。バックアップはSDカードやコンピューターでも行なえるので、データの保存環境も充実していると言えるだろう。

SP-404MKIIアプリとRoland Cloud

 本体はコンピューターとUSB-Cで接続し、SP-404MKIIアプリ経由でサンプルとパターン・シーケンサーのデータ(SMF)のインポート/エクスポート、サンプルの編集(再生区間、ループ、エンベロープなど)なども可能になった。

 SP-404MKIIアプリはクラウド・ベースのプラットフォーム「Roland Cloud」からフリー・ダウンロードで入手可能。Roland Cloudはプラグイン音源やソフトウェアを入手できる有料メンバーシップ・プランのほか、単体ごと購入できるLifetime Keyも用意されているが、SP-404MKIIユーザーは製品登録すると6ヶ月間のRoland Cloud Proメンバーシップが無料で入手できる。SP-404MKII用のサウンド・ライブラリ以外にもSP-404MKIIでも使えるサウンドパックが入手できるので是非活用して欲しい。

SP-404MKII製品登録方法はこちら

SP-404MKIIアプリ。プロジェクト内のサンプル、パターンの状態を一度に確認することができる。ファイルはドラッグ&ドロップで簡単にインポート可能。サンプルの編集もできる

Roland Cloudブラウザ画面

iOSデバイスも使用できるオーディオ・インターフェース機能

 SP-404MKIIは付属の電源アダブタでも駆動するが、単3乾電池(ニッケル水素/アルカリ)6本のほか、USBバスパワー経由でも駆動する。モバイル・バッテリーも使用できるので、さまざまな場所でも電源に困ることはないだろう。

 さらにコンピューターやiOSデバイスで使用できる2イン/2アウトのUSBオーディオ・インターフェース機能も装備。パソコンやiPhone、iPadからの音声をサンプリングすることも容易だ。ちなみにSP-404MKIIには、マイク入力/ライン端子、エフェクト、ジングルや効果音を鳴らすパッド、オーディオ・インターフェースと、配信で必要な音響機材がこれ1台に集約されている。SPシリーズの新しい活用方法にも期待できそうだ。

総括

 性能や機能が、従来のシリーズとは桁違いに向上しているのがお分かりいただけただろうか。しかも従来の操作性を崩すことなく、ここまでの進化を遂げていることに驚くばかりだ。

 特にスキップ・バック・サンプリングのポテンシャルは非常に高く、ユーザーの使い方次第で製品の価値がもっと上がるかもしれない。SP-404MKIIはこれまでのユーザーにもこれからのユーザーにも満足いただける製品になるだろう。

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製品情報

Roland / SP-404MKII

価格:オープン

【発売日】
2021/11/19
【スペック】
●外形寸法:177.5 (幅) × 275.8 (奥行) × 70.5 (高さ) mm ●質量(AC アダプターを除く):1.1kg
【問い合わせ】
ローランドお客様相談センター https://roland.cm/contact
【製品ページ】
https://www.roland.com/jp/products/sp-404mk2/
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プロフィール

tajima hal (タジマ ハル)
横浜を拠点に東京都内、神奈川で活動するビートメイカー。LAやヨーロッパのビートミュージックに影響を受け、2008年よりInstrumental Hiphop/Beatsに重きを置いた楽曲制作を始める。2013年から2014年の間、活動拠点をドイツ/ベルリンに移す。その間にパリで出演したラジオ局Le Mellotronでのライブ動画がYoutubeで話題となった。初のオフィシャルリリースとなる「tones」を2015年にベルギーのUrban Wavesよりリリース。2017年には初のヨーロッパツアーを行い、2019年には二度目のヨーロッパツアーでフランス、スイス、ポルトガルなどの10都市を回った。同年Fuzzo ScopeによるΔKTRのリリースツアー in Californiaに参加。老舗レコードストアFat beatsでのインストアイベントやKPFK Radio Stationでライブパフォーマンスを行なう。ビートミュージックに焦点を当てたレーベルHermit City Recordingsを主宰し、主に国内のビートメイカーの作品をカセットテープでリリースしている。

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